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5月30日(水) 衆院倫理選挙特別委員会での意見陳述 [選挙制度]

〔以下は、衆院政治倫理の確立・公職選挙法改正特別委員会(衆院倫理選挙特別委員会)の参考人質疑(23日)で私が行った意見陳述の要旨です。5月26日付『しんぶん赤旗』に掲載されました。〕

 1993年に本を書いて小選挙区制を批判し、連用制の問題点も指摘しました。小選挙区制に問題があることはこのときから明りょうでした。過ちを改めるには今が絶好のチャンスだと思います。
 小選挙区制は最悪の選挙制度であり、ぜひ廃止してもらいたい。
 小選挙区の制度的欠陥は第1に、多数と少数が逆転するからくりが仕組まれていることです。イギリスでは1951年と1974年の二度、総得票数と議席数が逆転しています。民主主義を口にするなら認めてはなりません。
 第2は、少数(の得票)が多数(の議席)に読み替えられるという問題です。2009年総選挙で、民主党は47%の得票率で74%の議席を得ています。
 第3に、多くの死票が出て選挙結果に生かされません。09年総選挙では、46%が死票になっています。
 第4に、「過剰勝利」と「過剰敗北」によって選挙の結果が激変します。
 第5に、政党規模に対して中立ではなく、小政党に不利になります。このように、小選挙区制は人為的に民意を歪める根本的な欠陥をもっています。
 実際にどのような問題が生じてきたか。
 政権の選択肢が事実上、2つしか存在しません。小選挙区で当選するための「選挙互助会」的な政党ができました。「風向き」によって短期間で多数政党が交代します。二大政党の間の有権者を奪い合うために相互の政策が似通ってくる。地域や民意とも離れ、議員の質も低下しています。
 制度改革についての議論では、連用制が提案されています。しかし、頑張ってほしいと有権者が小選挙区で票を投ずるほど、比例代表では減ってしまいます。民意が歪められ「正当に選挙された国会における代表者」という憲法前文に反する可能性があります。
 比例定数の削減案も出ていますが、日本の国会議員は国際的に見ても多くない。現在より少なくするのは反対です。身を切る改革と言われているが実際は民意を切る改悪です。比例定数の削減は小選挙区の比率を高め、問題点や害悪を増大させるだけでしょう。
 小選挙区の「0増5減」案は当面の緊急避難であり、人口移動が続けばいずれまた是正が必要になります。抜本的改革を先延ばしする口実であってはなりません。
 民意の反映か集約かという論争も以前からありました。選挙は民意を議会に反映するためのもので、その民意を討論によって1つの方向に集約していくのが国会の役割です。議会で民意を集約するべき議員自身が選挙での集約などと言うのは自己否定にほかなりません。
 今日、「政治改革神話」が崩れ、見直しの議論がされているのは歓迎すべきことです。小選挙区制を廃止して比例代表制的な選挙制度に変えることで、より民主的で本当に国民の願いが国会に反映されるような選挙制度に改革していただきたいと思います。


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