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6月3日(日) 通常国会最終盤で急浮上してきた解散・総選挙の可能性 [政局]

 「先生は落研(おちけん)ですか?」と尋ねられました。昨日の日本民主法律家協会のシンポジウム「国会と選挙はどうあるべきか」が終わったときです。
 落語みたいな話だったということでしょうか。「面白かった」ということなら、それはそれで結構なことなんですが……。

 さて、注目の野田・小沢の再会談です。会談は午前11時前に始まり、輿石幹事長も同席しました。
 会談終了後、野田首相は記者団の取材に応じ、3者会談で「内閣改造も明日行うことを伝えた」、「(小沢氏に)賛同を得ることはできなかったが、今国会中に(社会保障・税)一体改革法案を成立させると言ってきた。政党間、特に自民党との協議は進めさせて頂くと伝えた」と述べました。協議にあたって、「小沢先生のご意向を踏まえることはない」とも語っています。
 予想通り平行線、というより「決裂」といった方が良いかもしれません。これで、野田首相は小沢グループを切り捨てて、自民党などとの連携路線を本格的に追求することになるでしょう。

 通常国会の会期は21日までですが、野田さんは18 日からG20出席のためメキシコを訪問し、帰国は早くても20日ですので、事実上、15日までがタイムリミットになります。この時までに、消費増税を含む「一体改革」関連法案の会期内での成立か、会期の延長か、結論を出さなければなりません。
 民主党の執行部からは、「消費税法案の採決は15日」との見通しも流されているそうです。その頃には特別委員会での審議も、野田さんが「採決のメド」としてきた100時間に達する見込みだからです。
 しかし、民主党内はまとまっていませんし、野党との協議も時間切れになる可能性があります。法案採決も会期延長も見通しが立っているわけではありません。

 野田首相から秋波を送られている自民党は、さしあたり様子見を決め込むのではないでしょうか。消費増税法案の成立に協力するか、それとも野田内閣を解散・総選挙に追い込むか、という二つの選択があり得るからです。
 修正協議で対案のハードルを低めれば、野田首相に丸呑みされ、増税法案に反対できなくなります。この過程で解散・総選挙が約束さえれるかどうかは不明で、消費増税の責任だけを分担させられるというリスクがあります。
 もし、民主党内での対立が高まり、小沢グループが明確な反旗を翻せば、内閣不信任案を提出するかもしれません。民主党内での亀裂が大きくなれば、可決される可能性が出てくるからです。

 小沢さんは、できれば消費増税法案の採決を先延ばしし、秋の民主党代表選挙で反転攻勢に転じたいと考えているでしょう。輿石幹事長は、その意を受けて、密かにサボタージュ戦術を実行しています。
 しかし、野田さんが自民党との連携に走り、採決を強行しようとすれば、真正面から激突せざるを得なくなります。自民党案の「丸のみ」などの妥協に抵抗し、早期の採決に反対するにちがいありません。
 野田さんが自民党に擦り寄ろうとすればするほど、この抵抗は強まり、反対派は小沢グループだけではなく鳩山グループや中間派に拡大する可能性があります。もし、内閣不信任案が提出されれば、それに賛成するかもしれません。

 こうして、昨年と同様のシーンが繰り返される可能性が出てきます。しかし、野田さんが退陣を約束して党内の結束を回復するというような「奇策」はもう通用しません。
 もし、採決を強行すれば、小沢グループは反対に回るでしょう。これらの人々を除名すれば、民主党は衆院での多数を失います。
野党はいつでも内閣を打倒できる力を獲得するわけです。除名された小沢グループは新党結成を模索し、政局は解散・総選挙含みで緊迫するちがいありません。

 ここでも、カギを握っているのは輿石幹事長です。野田さんは、この「置き石」を取り除いて、消費増税関連法案の採決強行へと突っ走ることになるのでしょうか。それとも、この「石」にけつまずいて転んでしまうのでしょうか。
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