SSブログ

1月17日(木) 総選挙の結果と革新運動の展望 [論攷]

〔下記の論攷は、『新潟県革新懇ニュース』第145号(2013年1月12日付)に掲載されたものです。〕

 野田首相は民主・自民・公明3党の談合によって国民が望まない消費税の増税を決め、その見返りとして「近いうち」の解散を約束し、民主党の望まない「自爆解散」に追い込まれ、予想通り「自爆」した。これが今回の総選挙であった。
 その結果は、ご存知の通り。民主党の壊滅に助けられた自民党の「大勝利」である。これは民主党の「オウン・ゴール」であり、政権交代への裏切りに対する手厳しい懲罰にほかならない。自民党は「勝った」のではなく、「勝たせてもらった」のである。

小選挙区制のカラクリによる虚構の勝利

 前回の総選挙より、自民党は小選挙区で166万票、比例代表区でも219万票、得票数を減らしたのに、議席数はそれぞれ173議席増、2議席増で、合計294議席となった。支持の高まりや広がりのない虚構の勝利だったと言える。
 それが可能になった要因の第1は、民主党の自壊である。前回総選挙での公約を破り、約束しなかった消費増税を強行し、党の分解を引き起こした。総選挙をやれば敗北必死と考えた党員の反対を押し切って野田首相は「自爆解散」を「決断」し、議席を四分の一以下に減らして自滅した。
 第2は、投票率の低下である。総選挙の投票率は59.32%と戦後最低を記録した。棄権した人のほとんどは、前回民主党に投票した人たちだったにちがいない。投票した人は有権者の6割弱だが、うち自民党は小選挙区で43%、比例代表区で28%を獲得した。有権者全体の比率では、小選挙区で25%、比例代表区ではたったの16%にすぎない。
 第3は、「第三極」と言われた反自民・非自民中小政党の乱立である。自民党、民主党、「第三極」(維新・みんな・未来)が「三つどもえ」となって自民党が当選した168小選挙区のうち、109選挙区では民主党と「第三極」候補の得票合計が自民党を上まわっていた(『毎日新聞』12月18日付)。これによって自民党は「漁夫の利」を得ることができた。
 しかし、何よりも大きいのは、小選挙区制のカラクリである。相対多数を得れば当選できるこの制度によって自公政権は325議席という巨大与党を手に入れ、再可決可能な衆院の三分の二を超えた。他方で、約3730万票が議席に結びつかず、死票率は56%と半分以上となった。

ますます重要になる革新運動の役割

 安倍新政権は、国土強靱化を名目とした旧自民党型の利益政治、自助努力と規制緩和を基調とした新自由主義政策、力の外交と軍事力強化をめざす改憲・タカ派路線の「ワースト・ミックス(最悪の組み合わせ)」を実行しようとしている。いずれ国民の願いや周辺諸国と衝突し、矛盾と混迷を深めるに違いない。
 国民は政権投げ出しという「前科」を持つ安倍首相の再登板を大きな危惧を持って見つめている。総選挙でも白紙委任が与えられたわけではない。もし、安倍新首相が勘違いして暴走を始めれば、大きな抵抗が生ずることだろう。
 来年夏には、前回の政権時に大敗北して辞任の一因となった参議院選挙が控えている。総選挙で改憲に向けての衆議院の壁(改憲発議を可能にする三分の二議席以上)を突破した安倍首相は、この選挙で参議院の壁の突破をめざすことだろう。9条改憲に結びつく、この目論見を許してはならない。革新運動の役割と責任はますます重要になっており、悪政阻止に向けた国民運動の展開が求められている。
nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0