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10月30日(水) 『東京新聞』の「こちら特報部」にコメントが掲載された [日常]

 昨日の午後です。研究所に電話がかかってきました。『東京新聞』の「こちら特報部」の記者の方だと仰います。
 ということで、取材を受け、私のコメントが掲載されました。記事のリードは次のようになっています。詳しくは、記事をご覧下さい。

 安倍政権が、特定秘密保護法案とセットで成立を急ぐ「国家安全保障会議(日本版NSC)」創設関連法案。迅速な危機対応のために必要というが、真の狙いは日米同盟の強化と軍事的な一体化だ。NSCの創設は、集団的自衛権の行使などと合わせ、海外の軍事行動に道を開くことになりかねない。

 この記事は、私の話したことを上手にまとめています。言いたいことはかなり盛り込まれていますが、いくつか付け加えておきましょう。

 第1に、国家安全保障会議(日本版NSC)の設置理由についてです。『東京新聞』の記事でも引用されているように、これについて安倍首相は「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、首相官邸の司令塔機能を強化するために必要不可欠だ」と強調しました。
 しかし、これは嘘です。記事でも書かれているように、「NSC創設は、第1次安倍内閣時代から続く安倍首相の宿願」であり、昨今の中国や北朝鮮の動向によって「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増」したから、というわけではありません。
 第1次安倍内閣によって提出されたNSC設置関連法案は次の福田内閣によって廃案になっていますが、それは必要ないと判断されたからです。それによって、どのような不都合があったというのでしょうか。

 第2に、「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中」という認識があるのなら、どうしてそれを緩和するための努力をせず、逆にその「厳しさを増す」ような対応を取っているのでしょうか。
 もし、北朝鮮の軍拡を抑制しようとするのであれば、中国や韓国との提携や協力は欠かせません。しかし、安倍首相は、このような提携関係を強めるのではなく、関係悪化に繋がるような言動を繰り返しています。
 安倍首相は中国や韓国に対して「ドアは常にオープンになっている」と言っていますが、両国からすれば、部屋の中で刀を研いで待っているように見えるのではないでしょうか。本当に部屋の中に入ってきてほしいと願っているのであれば、閣僚の靖国神社参拝や自身の真榊の奉納などは慎み、誤った歴史認識だと批判されるような言動を控え、改憲や集団的自衛権の行使容認、日本版NSCの新設、特定秘密保護法の制定、武器輸出三原則の緩和、日本版海兵隊の創設、自衛隊の国防軍化など、「右翼の軍国主義者」ばりの戦争準備を直ちに中止するべきでしょう。

 第3に、政治のエネルギー、時間、お金を無駄使いせず、本当に必要不可欠な問題に集中するべきだということです。特定秘密保護法案について、自民党衆院議員の村上誠一郎元行革担当相は「財政、外交、エネルギー政策など先にやるべきことがあるのに、なぜ安倍晋三首相の趣味をやるのか」と述べて、今国会での成立を目指す安倍内閣の姿勢を痛烈に批判したといいます。
 「まさに、その通り」と言いたくなります。先に挙げた「右翼の軍国主義者」ばりの政策は、周辺諸国の警戒感を高め、緊張の緩和ではなく激化を招く恐れがあります。そのような不要で無駄な政策展開によって、政治的資源を浪費するような愚かなことは直ちに止めるべきでしょう。
 これらは「戦争オタク」とも言うべき「安倍晋三首相の趣味」にすぎず、周辺諸国との関係改善や緊張の緩和、日本の安全に資するものではありません。「戦争オタク」の「趣味」にうつつを抜かすことはすぐにやめ、デフレ脱却、震災からの復旧・復興、原発の事故処理と汚染水対策に全力を尽くすべきではないでしょうか。

 政治のエネルギーと時間は限られています。それを、どの分野に、どのように効果的に投入するかは、トップリーダーの決断力にかかっています。
 現在の日本が本当に直面し、解決しなければならない問題は何なのか、それにどう取り組むのか。安倍首相には、たちの悪い「趣味」によって国政を停滞させたり混乱させたりするのではなく、課題の選択と進むべき方向を間違えないようにしてもらいたいものです。

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