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4月6日(日) 「中国と対立しては経済復活はありえぬ」という元駐日カナダ大使の日本への忠告 [国際]

 『朝日新聞』4月4日付に、注目すべきインタビュー記事が掲載されました。「中国と対立しては経済復活はありえぬ 見極めて利用せよ」という元駐日カナダ大使であるジョセフ・キャロンさんの忠告です。
 以下、私が共感した発言部分を紹介することにしましょう。いずれも、極めて重要かつ有効な指摘だと思われるものばかりです。

 「隣国である中国と韓国に対し、対立を深めるようなアプローチは、日本経済の復活という目的に逆行します。例えば、観光産業を考えても、外国人訪問客の7割以上はアジアからきており、うち韓国、中国、台湾、香港からが大半です」
 「安倍首相がめざす経済的な目標は長期的な視点を持たなければ達成できないもので、10年以上の時間が必要です。それは、アジアで台頭する隣国、中国との力強い関係がなければ決して実現しない。安倍首相の政策には根本的な矛盾が内包されています」
 「歴史認識問題からは、もう離れましょう。歴史論争は、韓国と中国を逆に利しているように見える。アジアの国々の中で最も重要なソフトパワーを持っているのが日本ですが、その力をそいでいます」
 「他の国とは違う、実に多くの誇るべきことがあるではないですか。ナショナリズムにこだわり過ぎることが、日本の長期的な利益に役立つとは思えません」
 「一般的に言えば、たとえ同盟国であれ、米国との利害が一致するわけではありません。米国の関心と国益を見極め、それをどう利用して自国の利益に結びつけるか。これが鍵になるでしょう」
 「日本にとって、中国や韓国を無視するといったような選択はもうありえません。福沢諭吉の時代の『脱亜入欧』といった政策は、絶対にできない」
 「次世代こそ、本当の意味での国際人、コスモポリタンになる必要があります。日本の人口は今後、減少し続けるのですから、現在の経済規模とソフトパワーを維持するために、足を踏み出さなければなりません」

 どの発言も、私からすれば当然の話ばかりです。しかし、このような当たり前の話が改めて強調されなければならないほどに、日本の内外政策は歪み、とりわけ中国外交は危機的な状況に落ち込んでいます。
 世界の眼から見て現在の日本がいかに特異で愚かな方向に舵を切りつつあるかが、これらの発言から浮かび上がってくるようです。政治によって経済の足を引っ張り、過去を美化しようとするあまり未来をぶち壊しているというのが現在の日本であり、「安倍一族」のやり方なのです。
 そのような過ちを拒み是正できなければ、この国は終わりです。戦後、70年近くにわたって営々と築いてきた「平和国家」としてのあり方も、周辺諸国との友好関係も、「現在の経済規模とソフトパワー」も、全て捨て去られようとしているのですから……。

 先人の苦労を水の泡としてしまうような行為を愚行と言わずして何と言うべきでしょうか。日本の「戦後」を葬り去ろうとしている極右勢力の愚行を、戦後政治を担ってきた保守リベラル勢力は黙って見ているつもりなのでしょうか。

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