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4月5日(土) 集団的自衛権行使容認によって日本の安全は高まるという安倍首相の嘘 [集団的自衛権]

 権力者は大きな嘘をつきます。朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」で描かれたように、空から降ってくる焼夷弾は怖くないから逃げずに消化せよと嘘をつきました。
 アジア解放のための戦争だ、王道楽土の満州に移住すれば楽な生活ができる、戦争には勝てるなどというのも、真っ赤な嘘でした。
 最近の例では、原発事故は収束したという野田前首相、汚染水は完全にコントロールされているという安倍首相、5000万円は生活費だという猪瀬前都知事、8億円は選挙資金ではないという渡辺みんなの党代表の大嘘があります。そして、新たに集団的自衛権の行使が可能になれば、日本の安全が増すかのような嘘がつかれようとしています。

 ご用心。騙されてはなりません。
 集団的自衛権というのは、日本が攻撃されていなくても戦争に加わることを意味しています。そんなことをすれば、直ちに日本は戦争の当事者となって攻撃されるだろうということは、子どもでも分かるはずの道理ではありませんか。
 そのような道理が、「安保法制懇」にかき集められた「有識者」に分からないのでしょうか。自民党などの政治家に理解できないということは、充分、理解できることではありますが……。

 昨日の『朝日新聞』の2面に、集団的自衛権が行使容認された場合についての「3つの想定」が出ていました。いずれのケースも実際にはあり得ない荒唐無稽でリアリティに欠けた想定ですが、一応、それぞれのケースがあり得ると仮定して、コメントしておきましょう。

 ケース1がペルシャ湾での機雷除去で、「集団的自衛権の行使を認めれば、戦闘中でも日本は機雷を除去できるようになる」というわけです。しかし、戦闘中の機雷除去は極めて危険ですから湾岸戦争の時も戦闘が終了してから行われました。
 停戦後の機雷除去であれば、湾岸戦争後の機雷除去に日本も加わったように、集団的自衛権の行使容認は必要ありません。集団的自衛権が認められて戦闘中にできることになれば、このような危険な作業が要請され、それを断ることができなくなるでしょう。
 海上自衛隊は極めて危険な状況での活動を強いられ、日本ははっきりとイスラム社会の敵となって標的とされます。安全が増したとは言えず、アルジェリアでの人質殺害事件などのようなテロ行為に巻き込まれる危険性が高まるのは明らかです。

 ケース2は朝鮮半島での有事で、「自衛隊の艦艇が公海上で米軍艦艇に補給ができるようになる」し、「米艦が攻撃を受けた際には、近くの自衛艦が一緒に反撃することも可能になる」というわけです。もし、そうなったら、北朝鮮は「待ってました」とばかりに、日本にミサイルを撃ち込んで来るでしょう。
 韓国だけを攻撃して日本への攻撃を手控えた北朝鮮に、格好のミサイル攻撃の口実を与えることになる危険性が、なぜ考慮されないのでしょうか。まさに、これは攻撃されていない日本を戦争に巻き込む、とてつもなく危険な道ではないでしょうか。
 「もし朝鮮半島で戦争が起きた時、……自衛隊が出口の見えない地上戦に参戦する可能性」があるというのも、戦争への道にほかなりません。今の日韓関係からして、自衛隊の陸上部隊の派兵を韓国政府が求めるかどうかは分かりませんが、そこまで戦況が悪化した時には、すでに日本も標的とされ戦場になっているでしょうから……。

 ケース3は南シナ海で中国と東南アジア諸国との緊張が高まった場合です。集団的自衛権の対象国が、フィリピン、マレーシア、インドネシア、インドなどに拡大する可能性があるというわけです。ASEAN諸国が現在の対外政策を採る限り、中国との間でことを構えるという想定は荒唐無稽です。
 そうなったとしても、集団的自衛権の行使容認によって日本は何ができるのでしょうか。中国と東南アジア諸国間との紛争に、軍事的に介入するのでしょうか。
 もし、そのようなことをしたら、日本の未来はありません。南シナ海での紛争があったとしても、そこから距離を置いて中国との関係を悪化させたり緊張関係を高めたりすることは可能な限り避けるべきで、そのためには集団的自衛権の行使容認も、その対象範囲を広げることも厳に慎まなければなりません。

 この最後の中国との関係についても、昨日の『朝日新聞』に興味深いインタビュー記事が掲載されていました。これについては、明日のブログで紹介することにしましょう。

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