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6月20日(金) 「ワールドカップ狂想曲」の陰で進行している憂慮すべき事態 [社会]

 予想通り、「ワールドカップ狂想曲」が続いています。NHKニュースをはじめとしたマスコミは、サッカーによってハイジャックされてしまったようなものです。
 その陰で、憂慮すべき事態が進行しています。こちらの方は予想通りというより、予想を上回るようなひどさです。

 明治大学では、日本ジャーナリスト会議(JCJ)とマスコミ9条の会が開く予定だった集会が開催1週間前になって利用を断られました。大学側は「学生の安全を第一に考えた」と言っていますが、反対する側が脅せば集会の開催を妨害できるという前例を示したようなものですから、明治大学の評判は地に墜ちてしまいました。
 このところ目立っていた地方自治体による憲法集会への後援拒否と似たような「事なかれ主義」の誤りだと言うべきでしょう。「安全を守る」「面倒を避ける」ということで集会の後援や会場提供を拒否すれば、それを狙って騒ぎを起こし妨害する勢力を励ますことになるでしょう。
 これで民主主義が守れるのでしょうか。集会・結社の自由、表現の自由を擁護すべき自治体や大学の責務を果たしていると言えるのでしょうか。

 東京都議会では、議員に対する許されざる野次が投げかけられ、大きな波紋を呼んでいます。昨日の都議会で、晩婚化や晩産化の対策について質問した女性都議に対して、「お前が早く結婚すればいいじゃないか」「産めないのか」などというセクハラ野次が男性都議から飛ばされました。
 その時は笑い声が出て誰も問題にする人はいず、議会が平穏に閉会されたといいます。その後、ウェブ上で「セクハラだ」との議論が高まり、都議会には1千件を超す批判が寄せられました。
 野次は自民党会派の方から聞こえたそうですが、自民党は発言者を特定せず幕引きを図ろうとしています。周りにいた人は誰が野次ったのか分かるはずですし、録画映像の音声の声紋を分析すれば個人が特定されます。きちんと調査して責任を取らせるべきでしょう。

 集団的自衛権の行使容認をめぐっては、昨日、安倍首相と公明党の山口代表との党首会談が開かれ、今国会中の閣議決定が断念されました。しかし、首相の外遊出発前の7月4日に間に合うよう、与党合意を月内に実現したいとしています。
 他方で、政府・自民党は、国連安全保障理事会決議に基づいて侵略行為などを行った国を制裁する集団安全保障について、日本が武力行使できるようにする方向で調整に入りました。歴代内閣が集団的自衛権の行使とともに認めてこなかった集団安全保障での武力行使を認めれば、日本の安全保障政策の根本的な転換になります。
 ついに出てきた、ということでしょう。安倍首相はもともとこのような形での武力行使を可能にし、国連安保理事会の常任理事国になることを狙っているのですから……。

 このようななかで、イラクでは戦闘が激化し内戦状態に陥っています。大量破壊兵器の開発・保有という濡れ衣を着せてフセイン政権を無理やり倒してしまったことのツケが、このような形で回ってきたわけです。
 紛争は力では解決できないこと、そのようなことをすれば社会の分断と敵意を高め、かえって問題を紛糾させ解決を遠のかせることが、またも実証されようとしています。そのようなときに、安倍首相は紛争を力で解決するために武力介入するための準備を進めているわけです。
 なんという勘違い。なんという時代錯誤でしょうか。

 国際紛争を武力ではなく対話と交渉で解決するという理念を掲げ、国際政治の先頭を走ってきたのが戦後の日本です。それは、経済大国でありながら軍事大国にはならないという世界史的な実験に踏み出すことを意味していました。
 憲法9条に基づく「専守防衛」という国是こそが、そのような理念や国の在り方を象徴するものだったはずです。それをぶち壊して力の政治(パワーポリティクス)へと逆戻りさせようとしている安倍首相こそ、戦後日本の在り方を否定し、世界史的実験を妨げる「平和の敵」にほかなりません。

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