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6月15日(日) 日本を本当にぶっ壊そうとしているのは安倍首相ではないのか [首相]

 恐れていた事態が生じました。今朝のNHKニュースがワールドカップのサッカーの試合に乗っ取られてしまったからです。
 これからますます通常のニュースは影が薄くなるでしょう。それを幸いに、トンデモナイ事態がどんどん進んでいくということにならなければ良いのですが……。

 それはともかく、通常国会最終盤になって、大きな政策転換が目白押しです。規制改革会議や経済財政諮問会議の報告や答申でも、重大な方向転換が示されようとしています。
 サッカーに熱狂していて良いのでしょうか。「パンとサーカス」によって国を滅ぼしたローマ人の轍を踏んではなりません。
 このままでは、日本は滅びへの道を選ぶことになってしまうのではないかと心配です。安倍首相は、意識的にそのような方向への舵を切ろうとしているのですから……。

 まず、専守防衛という国是が投げ捨てられようとしています。経済大国でありながら軍事大国とはならず、平和国家として非軍事の領域で国際貢献するというのが、戦後の日本の在り方でした。
 集団的自衛権の行使容認をめぐる与党協議は、このような国の在り方、平和国家としての国の形を作り変えようとするものです。それは、かえって周辺諸国との緊張を高め、日本の安全を脅かし、国際的な信頼を損なうものとなるでしょう。
 安倍首相は「地球の裏側まで行くことはない」「他国の領土、領空、領海には行かない」と言っていたのに、ホルムズ海峡の機雷封鎖を想定した事態への対応を与党協議に含めることを求めました。おそらく、安倍首相は地球儀を見たことがないのでしょう。

 安全保障に関する国是の転換だけではありません。改正国民投票法の成立によって改憲に向けての手続きが定められました。
 混合診療解禁によって国民皆保険の解体に道を開こうとしています。また、医療・介護総合法の成立によって福祉サービスに対する国の公的責任を放棄しようとしています。
 教育の分野では、改正地方教育行政法によって教育委員会への政治介入を強め、教育の中立性と自主性を弱めようとしています。改正学校教育法と改正国立大学法人法によって大学の自治とそれを支えてきた教授会自治が奪われようとしています。

 労働の分野では、改正労働者派遣法によって「生涯ハケン」に道が開かれ、無期限・直接雇用の原則が否定されようとしています。「残業代ゼロ」のホワイトカラー・エグゼンプションが導入されれば、時間管理による労働という大原則にも風穴があけられるでしょう。
 農業の分野では、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加によって農産物の関税が一気に引き下げられようとしており、それでも生き残れる強い農業を作るという口実で農協が解体されようとしています。日本政府は、農業や中小企業などの国内産業を保護する責任を投げ捨てたようです。
 安倍首相は、一方で、日米同盟のために日本の若者の命を差し出し、他方で、アメリカの巨大ビジネスのために日本の市場を差し出そうとしています。そうなれば、日本人の命と健康がアメリカの軍産複合体によって食い物にされることは避けられません。

 安倍首相は、自らドリルとなって岩盤規制に穴をあけると宣言しました。その「岩盤」は日本列島の下にあって社会を支えてきたものではありませんか。
 それを根本的に打ち砕いて転換しようとしているのが安倍内閣です。それは、これまでの政策展開の量的な継続ではなく、原理や原則の質的な転換を伴っている点で、先行するどの政権とも異なっています。
 「自民党をぶっ壊す」と言った小泉元首相は、構造改革によって「日本をぶっ壊す」ことになると批判されました。しかし、それはまだ序の口にすぎず、本当に日本をぶっ壊そうとしているのは安倍首相なのではないでしょうか。

 その矛先が向けられているのは憲法9条だけではありません。国民の生命と生活、労働と権利を守るすべての条項に対する全面的な総攻撃が始まっていると理解すべきでしょう。
 集団的自衛権行使容認の必要性を説明するとき、口を開けば安倍首相は「国民の生命と財産」を守るためだと強調します。しかし、現に今、その安倍首相によって、「国民の生命と財産」が危機に瀕しているのです。
 「国民の生命と財産」は、安倍首相の夢想の産物にすぎない戦時においてではなく、現に国民が生活している平時において守られなければなりません。そのために全力を尽くすことこそ、政治家としてのあるべき姿ではないでしょうか。

 戦争になったらどうするかを考えるのは軍人の仕事です。それに対して、戦争にならないためにどうするかを考えるのが政治家の仕事なのです。
 安倍首相は政治家としての本分に立ち返り、デフレ不況からの脱却、周辺諸国との関係改善、原発事故と放射能汚染水対策、大震災からの復旧・復興など、緊急の課題に取り組むべきです。これらの課題の解決にこそ、そのエネルギーと時間、資力と脳みそを使ってもらいたいものです。
 そうでなければ、こう呼ばれることになるでしょう。安倍首相ではなく、安倍将軍と……。

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