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10月24日(金) 周辺諸国との良好な関係こそが本当の「抑止力」 [国際]

 「抑止力」とは何でしょうか。それは危機の発生を防ぎ、安全を確保するための力のことです。
 そのためには軍事力を強めることが必要だというのが、一般的な考え方です。しかし、果たしてそうでしょうか。

 軍事力を強めれば、それによって押さえつけようとする相手方も対抗しようとするでしょう。お互いに相手を力で押さえつけようとすれば、軍事力拡大の競争に陥ってしまいます。
 互いに軍事力を拡大する結果、かえって状況は不安定になり、偶発的な衝突の可能性も増大し、安全は低下することになります。こうして、安全保障のパラドクスが生じます。
 現在の日本と中国との関係が、その典型だと言えるでしょう。軍拡のために国費が無駄遣いされ、安全が低下するというわけですから、完全に誤った政策だと言わなければなりません。

 それでは、危機の発生を防ぎ、安全を確保するための力を強めるためにはどうすれば良いのでしょうか。それは、決して難しいことではありません。
 周辺諸国との衝突の可能性を減らすために、良好な外交関係を樹立すれば良いのです。それによって危機の発生が防がれ、安全が高まるのであれば、これこそが本当の「抑止力」だと言えるでしょう。
 二度の世界大戦で激しく闘ったドイツとフランスですが、今では戦争することは考えられず、以前は日本の「仮想敵国」とされていたソ連ですが、ロシアとなった今、軍事的に衝突することはあり得ません。それは外交的に良好な関係にあるからです。

 
 日本の周辺諸国との間でも、このような外交的に良好な関係を打ち立てれば、日本の安全はずっと高まるに違いありません。今では多くの問題を抱えている中国や韓国との間でも、以前はそうだったということを思い出す必要があります。
 それが今日のような形にまで悪化してきたのは、端的に言えば従軍慰安婦など歴史認識の問題と靖国神社参拝問題のせいです。これらの問題をむしかえし、悪化させたのは安倍首相その人です。
 安倍首相は、従軍慰安婦問題で形式的にはその責任を認めた「河野談話」を継承すると言いながら、実質的には従軍慰安婦の存在そのものを否定しようとしています。また、靖国問題でも侵略戦争と植民地支配を反省した「村山談話」を表面的には受け入れつつ、それを実質的に否定する靖国神社への参拝や真榊の奉納を続けています。どちらも、「2枚舌」的対応であり、周辺諸国の不信感と怒りを買う結果になっていることは明らかです。

 かつて、鳩山元首相は沖縄米軍基地が「抑止力」であることを認め、「国外、最低でも県外移設」という主張を取り下げましたが、これは全くの誤りでした。緊張緩和と友好親善こそが、本当の「抑止力」なのです。
 その「抑止力」を低下させているのは、従軍慰安婦など歴史認識の問題と靖国神社参拝問題で間違った対応を取り続けている安倍首相自身です。危機への「抑止力」を高め、日本の安全保障を確実にするための最善の策は、安倍首相が退陣することだと言うべきでしょう。

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