SSブログ

4月21日(火) 暴走を阻止する平和運動の課題 [論攷]


〔下記の論攷は、『婦民新聞』第1488号、2015年4月10日号、に掲載されたものです。〕

 二月十一日、都庁支部の支部総会で、五十嵐仁さん(元法政大学教授)が「安倍政権の行方と平和運動の課題」と題して行なった講演を紹介します。

 安倍首相が目指すのは新しい「富国強兵」政策。アベノミクスで経済を立て直し、そこで得た富を使って強兵―軍事力・安全保障面での発言力を高めて世界で大きな顔をしたいというもの。そのために、改憲と集団的自衛権行使によってアメリカとともに戦争できる国をつくろうとしている。
 改憲・集団的自衛権行使容認の「この道」を進もうとした矢先に起きたのが、IS(イスラム国)による日本人の人質殺害事件だった。安倍首相はこれに便乗して軍事力を強化しようとしているが、反面、その道がいかに危険かを国民に示すことにもなった。平和国家としてあり続けるか、安倍首相の目論む「海外で戦争できる国」に変わるのか。その歴史的分岐点が二〇一五年だ。
 これまで日本はテロ組織の標的になることは少なかった。それは平和国家としてのイメージと信頼があったからだ。これは戦後七十年かけて培ってきた国際社会での日本の資産だと言える。
 それをもたらしたのは戦争への反省だった。多くの国民が命を失って手に入れた平和憲法であり九条だ。ところが、自衛隊のイラク派遣から、そのイメージは変わり始めた。
 このようななかで、改憲がスケジュールに上ってきた。さし当り九条以外の環境権や緊急事態条項など一致できるところから段階的に進めようとしている。憲法審査会の再開、改憲試案のとりまとめ、参院選での三分の二以上の議席確保、国民投票へという目論見だ。
 「戦争する国」づくりに向けての既成事実化が進んでいる。集団的自衛権行使容認の法制化が後半国会の焦点になる。自衛隊の「戦力」化や在日米軍基地の強化、特に辺野古新基地建設が強行されている。
 しかし、国民は事実を知らされていない。世論対策や情報統制でマスコミの自粛ムードが拡大しているからだ。教育による「戦争する心」作りも始まり、愛国心の涵養、教育委員会や教科書への介入、道徳の教科化などが進められている。
 このような攻撃が強まれば反発や抵抗も大きくなる。国民は不安や危惧を抱くようになり、世論が変わりはじめた。
 草の根での「共同」も広がり、多様な運動が拡大している。自民党による改憲国民運動との草の根での対決も始まった。一斉地方選挙は参院選の前哨戦だ。日本会議所属議員を落選させ、護憲勢力を増やす必要がある。
 事実を知り、教訓を学び、正しい情報を発信しよう。女性の口コミは大きな武器になる。できる範囲で可能な形で行動することだ。身を置くことで頭数は増やせる。
 若者と女性のエネルギーを最大限に発揮し、高齢者の知恵と経験を生かしてほしい。九条を守り平和国家・日本を次の世代に手渡すことが、今を生きる私たちの責任だ。

拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』(学習の友社、定価1300円+税)刊行中。
購入ご希望の方は学習の友社http://blogs.yahoo.co.jp/gakusyu_1/folder/197776.htmlまで。


nice!(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

トラックバック 0