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11月18日(水) パリ同時多発テロでの憎悪の連鎖と復讐の応酬を避けなければならない [国際]

 悲しむべき事件が起きました。パリでの同時多発テロです。
 またもや、何の関係もない多くの人命が犠牲にされ、パリの町は悲しみに包まれています。

 テロの首謀者は「イスラム国(IS)」と見られています。シリアからの指示によってベルギーで計画され、7人の実行犯が少なくとも6か所を襲撃し、129人を殺害しました。
 許されざる蛮行であり、テロの実行犯を強く糾弾するものです。亡くなられた方に対して、心からのお悔やみを表明します。
 命を落とした一人ひとりにはかけがえのない人生があり、愛する人々がおり、豊かな将来があったはずです。それが、突然、理不尽な力によって奪い去られてしまったわけで、その無念さはいかばかりだったでしょうか。

 これにしてフランスのオランド大統領は「戦争」を宣言し、最大規模の空爆によって報復しました。その気持ちは分かります。
 しかし、空爆によって落とされる爆弾の下には、一般の市民はいないのでしょうか。「イスラム国」の兵士には、その死を悲しむ家族や友人、恋人などはいないのでしょうか。
 攻撃に対して反撃し、それによってまた新たな攻撃が触発され、そしてまたそれに反撃する。このような憎悪の連鎖と復讐の応酬によって問題は解決されるのでしょうか。

 武力対決と力による応酬は、問題を拡散させ、複雑化し、解決を困難にしてきました。軍事や警察的な対応だけでテロを防ぐことは不可能です。
 迂遠であるように見えても、テロの土壌をなくすための政治的外交的な解決に力を尽くさなければなりません。それが結局は、根本的な解決につながる道なのだということを、9.11同時多発テロ以来の経験が教えているのではないでしょうか。
 一時の怒りに駆られて、難民の受け入れを拒んだり、宗教的な対立を強めたりすれば、それこそISの思う壺です。何がテロの防止と問題の解決につながるのか、冷静に、慎重に考えて対応する必要があるでしょう。

 このようなテロの脅威に対しては、日本も例外ではありません。今回のパリでの襲撃では「SUSHI MAKI」という日本食レストランも銃撃されていたようです。
 すでに今年の初め、ISに拘束された2人の日本人が殺害されました。そのとき、ISは「アベよ、お前の悪夢を始めよう」という声明を出しています。
 戦争法成立後の10月にバングラデシュで日本人が殺害されるという事件も起きました。現地のIS支部を名乗る団体が犯行声明を出し、反政府勢力とされる3人の犯人が逮捕されています。

 悲しみに包まれているパリは、これからの東京になるかもしれません。戦争法によってアメリカとの同盟を強め、反ISの有志連合の一員として名前を挙げられている日本は、「敵」として狙われる危険性を高めています。
 そのようなリスクを悪用して恐怖心をあおりながら、テロ対策を口実に国民監視を強めようとする動きもあります。このような策謀を許してはなりません。
 自由な民主社会こそがテロの標的なのです。それを防ぐということで自由と民主主義を制限することは本末転倒です。

 かつてブッシュ米大統領は、9.11同時多発テロに対して「対テロ戦争」を宣言してイラクとアフガンへの武力介入を始めました。それは結果的にISという鬼子を生み出し、国際社会に対するテロの脅威を高めることになっています。
 今日、オランド仏大統領はパリ同時多発テロに対して同様の「戦争」を宣言しました。これによって、ブッシュ米大統領が犯したと同様の過ちを繰り返さないことを願うばかりです。

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