4月25日(月) 北海道5区補欠選挙の結果は何を示しているか [選挙]
もったいなかったですね。衆院北海道5区補欠選挙の結果です。
もっと早く、もっと全面的な野党共闘が実現していたなら、勝利することができたのではないでしょうか。その威力と可能性を示すに十分な結果であったと思います。
注目の選挙結果は次のようになっています。両者の差は1万2355票で、和田候補が当選しました。
和田義明 135,842 自新=[公][こ]
池田真紀 123,517 無新=[民][共][社][生]
この選挙区では、小選挙になってから自民党は一度しか負けたことがなく、町村さんの議席を引き継ぐべく立候補した娘婿による「弔い選挙」です。当初は、ダブルスコアで自民有利と見られ、楽勝だと言われていました。
それなのに、野党候補が横一線にまで追い上げ、接戦になりました。池田真紀候補による「巻き返し」の結果です。
民進党の枝野幸男幹事長は「幅広い市民の皆さんに支援をいただき、接戦に持ち込めたことは次に向けて大きな一歩になった」と述べ、共産党の小池晃書記局長も「自公を追い詰めた。野党共闘の力が大きく発揮された」と語ったように、このような「巻き返し」が可能になったのは野党共闘の候補として足並みが揃ったからです。当選しなかったのは残念ですが、ここまで善戦・健闘できたのは野党の選挙共闘と市民選挙の力があったからであり、そのことを高く評価したいと思います。
この結果について、新聞報道では「一定の効果」だと評価されています。しかし、効果は「一定」ではなく、絶大なものであったと言うべきでしょう。
「夏の参院選に暗雲」とか「野党共闘の出足をくじいた」などと報じた新聞もありました。しかし、元々自民党が持っていた議席で勝って当然の選挙ですから、それを野党が奪取できなかったと言って、どうして「暗雲」が漂ったり、出足がくじかれたりするのでしょうか。
「戦術練り直し」などという見出しもありました。しかし、ここまで追い上げることができた戦術を「練り直す」必要はないでしょう。もっと、効果的に全面的に駆使できるようにするという形での「練り直し」は必要でしょうけど。
この選挙結果から分かることの第1は、自衛隊関係者のいない都市型選挙区であれば、野党候補者は勝利できるということが示されたことです。他の都市型選挙区でも野党共闘が実現すれば勝利できるということになります。
北海道5区は札幌市厚別区、江別市、北広島市、石狩市、千歳市、恵庭市の都市部と二つの町村によって構成されています。このうち、千歳・恵庭の二つの市と町村以外では池田候補の得票が上回りました。しかし、和田候補が千歳市で1万1152票、恵庭市で6385票、合計1万7537票多く得票し、町村でも1767票多かったために、池田候補を振り切ることができました。
つまり、自衛隊関係者の多い千歳と恵庭の両市での得票がこれほど上回らなければ、池田候補が当選していたことになります。端的に言えば、和田さんは自衛隊と農村の票に助けられて当選したわけです。
第2は、野党共闘の選挙によって民進党の支持者も共産党の支持者も逃げ出すことはなかったということです。これは出口調査によって、はっきりと示されました。
共同通信の調査では、自民支持層の87・2%、公明支持層の89.0%が和田候補に、民進支持層の95.5%、共産支持層の97.9%が池田候補に投票したそうです。一番歩留まりが悪かったのが自民支持層で、良かったのは共産支持層でした。
つまり、自党の候補者から逃げ出した割合が最も多かったのは自民党支持者で、共産党と共闘したら逃げ出すと言われていた民進党の支持者はほとんどそうしませんでした。しかも、無党派層では73.0%が池田候補に投票したように、無党派層に浸透するうえで野党共闘の威力は極めて大きかったということが実証されました。
第3は、このような野党共闘が新たな段階に達したということです。選挙戦最終盤の23日に、民進党の前原誠司元外相や細野豪志元環境相らが共産党の小池晃副委員長や穀田恵二国対委員長、生活の山本太郎代表らと札幌市で街頭演説を行うという「事件」がありました。
民進党の「保守派」も野党共闘に踏み切った象徴的な姿であり、これは今後の衆院での共闘の可能性をも生み出す大きな出来事でした。しかし、残念ながら野党4党トップそろい踏みの演説は最後まで実現しませんでした。
このような政治的「事件」がもっと早く起きていれば、トップの揃い踏みのような形でさらに大きな「事件」を起こしていれば、選挙情勢は変わっていたかもしれません。選挙共闘が「一定の効果」にとどまったとすれば、このような限界があったからです。今後、「練り直し」が必要であるとすれば、このような限界を突破し、さらに全面的な共闘へと発展させていくという点でしょう。
現在、参院選に向けて32ある1人区での野党候補の一本化は18に達し、20を超えるのは確実になっています。民進党の枝野幹事長は「候補を一本化する戦略に自信を持った」とし、共産党の小池書記局長も「参院選に向けた足がかりはしっかり築けた」と強調しています。
この言葉を誠実に実行していくことが必要です。32の1人区の全てで共闘を実現し、それを衆院の小選挙区にまで波及させることが今後の課題です。
同日選になれば、一挙に政権交代まで実現できる可能性が生まれます。たとえ同日選にならなくても、次の衆院選での政権交代を展望できるようになるでしょう。
今回落選した池田真紀さんはガッカリしているでしょうが、遠からずリターン・マッチの機会が訪れるにちがいありません。力を落とさず、体を休めて選挙戦の疲れを癒し、次の機会に備えていただきたいと思います。
もっと早く、もっと全面的な野党共闘が実現していたなら、勝利することができたのではないでしょうか。その威力と可能性を示すに十分な結果であったと思います。
注目の選挙結果は次のようになっています。両者の差は1万2355票で、和田候補が当選しました。
和田義明 135,842 自新=[公][こ]
池田真紀 123,517 無新=[民][共][社][生]
この選挙区では、小選挙になってから自民党は一度しか負けたことがなく、町村さんの議席を引き継ぐべく立候補した娘婿による「弔い選挙」です。当初は、ダブルスコアで自民有利と見られ、楽勝だと言われていました。
それなのに、野党候補が横一線にまで追い上げ、接戦になりました。池田真紀候補による「巻き返し」の結果です。
民進党の枝野幸男幹事長は「幅広い市民の皆さんに支援をいただき、接戦に持ち込めたことは次に向けて大きな一歩になった」と述べ、共産党の小池晃書記局長も「自公を追い詰めた。野党共闘の力が大きく発揮された」と語ったように、このような「巻き返し」が可能になったのは野党共闘の候補として足並みが揃ったからです。当選しなかったのは残念ですが、ここまで善戦・健闘できたのは野党の選挙共闘と市民選挙の力があったからであり、そのことを高く評価したいと思います。
この結果について、新聞報道では「一定の効果」だと評価されています。しかし、効果は「一定」ではなく、絶大なものであったと言うべきでしょう。
「夏の参院選に暗雲」とか「野党共闘の出足をくじいた」などと報じた新聞もありました。しかし、元々自民党が持っていた議席で勝って当然の選挙ですから、それを野党が奪取できなかったと言って、どうして「暗雲」が漂ったり、出足がくじかれたりするのでしょうか。
「戦術練り直し」などという見出しもありました。しかし、ここまで追い上げることができた戦術を「練り直す」必要はないでしょう。もっと、効果的に全面的に駆使できるようにするという形での「練り直し」は必要でしょうけど。
この選挙結果から分かることの第1は、自衛隊関係者のいない都市型選挙区であれば、野党候補者は勝利できるということが示されたことです。他の都市型選挙区でも野党共闘が実現すれば勝利できるということになります。
北海道5区は札幌市厚別区、江別市、北広島市、石狩市、千歳市、恵庭市の都市部と二つの町村によって構成されています。このうち、千歳・恵庭の二つの市と町村以外では池田候補の得票が上回りました。しかし、和田候補が千歳市で1万1152票、恵庭市で6385票、合計1万7537票多く得票し、町村でも1767票多かったために、池田候補を振り切ることができました。
つまり、自衛隊関係者の多い千歳と恵庭の両市での得票がこれほど上回らなければ、池田候補が当選していたことになります。端的に言えば、和田さんは自衛隊と農村の票に助けられて当選したわけです。
第2は、野党共闘の選挙によって民進党の支持者も共産党の支持者も逃げ出すことはなかったということです。これは出口調査によって、はっきりと示されました。
共同通信の調査では、自民支持層の87・2%、公明支持層の89.0%が和田候補に、民進支持層の95.5%、共産支持層の97.9%が池田候補に投票したそうです。一番歩留まりが悪かったのが自民支持層で、良かったのは共産支持層でした。
つまり、自党の候補者から逃げ出した割合が最も多かったのは自民党支持者で、共産党と共闘したら逃げ出すと言われていた民進党の支持者はほとんどそうしませんでした。しかも、無党派層では73.0%が池田候補に投票したように、無党派層に浸透するうえで野党共闘の威力は極めて大きかったということが実証されました。
第3は、このような野党共闘が新たな段階に達したということです。選挙戦最終盤の23日に、民進党の前原誠司元外相や細野豪志元環境相らが共産党の小池晃副委員長や穀田恵二国対委員長、生活の山本太郎代表らと札幌市で街頭演説を行うという「事件」がありました。
民進党の「保守派」も野党共闘に踏み切った象徴的な姿であり、これは今後の衆院での共闘の可能性をも生み出す大きな出来事でした。しかし、残念ながら野党4党トップそろい踏みの演説は最後まで実現しませんでした。
このような政治的「事件」がもっと早く起きていれば、トップの揃い踏みのような形でさらに大きな「事件」を起こしていれば、選挙情勢は変わっていたかもしれません。選挙共闘が「一定の効果」にとどまったとすれば、このような限界があったからです。今後、「練り直し」が必要であるとすれば、このような限界を突破し、さらに全面的な共闘へと発展させていくという点でしょう。
現在、参院選に向けて32ある1人区での野党候補の一本化は18に達し、20を超えるのは確実になっています。民進党の枝野幹事長は「候補を一本化する戦略に自信を持った」とし、共産党の小池書記局長も「参院選に向けた足がかりはしっかり築けた」と強調しています。
この言葉を誠実に実行していくことが必要です。32の1人区の全てで共闘を実現し、それを衆院の小選挙区にまで波及させることが今後の課題です。
同日選になれば、一挙に政権交代まで実現できる可能性が生まれます。たとえ同日選にならなくても、次の衆院選での政権交代を展望できるようになるでしょう。
今回落選した池田真紀さんはガッカリしているでしょうが、遠からずリターン・マッチの機会が訪れるにちがいありません。力を落とさず、体を休めて選挙戦の疲れを癒し、次の機会に備えていただきたいと思います。
2016-04-25 16:38
nice!(1)
トラックバック(0)