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6月16日(木) 舛添東京都知事を辞任に追い込んだ力は何か [スキャンダル]

 昨日、舛添東京都知事は21日をもって辞職するとの意向を表明し、都議会で辞職願が全会一致で可決されました。不信任決議案の採択が確実になり、さすがの舛添さんも観念したということでしょう。
 五輪・パラリンピックを控え混乱させたくないと言って粘っていましたが、そうであるならもっと早く辞任を決断するべきだったのではないでしょうか。舛添さん本人は追及されている問題の重大性に気が付かず、背後で支えていた自民党と公明党の与党もこの問題の深刻さに思いが至らなかったために対応が後手に回ってしまいました。

 遅きに失したとはいえ、舛添東京都知事の辞職が確定して良かったと思います。一時は、不信任案が採択されても辞職せず、都議会を解散するのではないかとの観測があったほどですから。
 選挙を一回やれば50億円かかると言いますから、都議選に都知事選と2回もやったら100億円になります。都知事の公私混同と都民の税金の無駄遣いが批判されているのに、それを是正するためにまた選挙で無駄遣いするということになってはやりきれません。
 しかも、2回連続で「政治とカネ」の問題が生じ、任期の半分ほどで辞任して選挙ということになりました。猪瀬さんや舛添さんを都知事候補として担ぎ出して当選させた人々に、このお金を負担してもらいたい気分です。

 私は5月14日のブログ「こんな人は都知事になんかなるべきではなかったのだ」で、「あきれ返るばかりです。背広を着た『公私混同』そのものではありませんか。公金を何だと思っているのでしょう。舛添都知事は」と書いて批判し、「こんな人は、もともと政治家としての資質に欠けていたと言わざるを得ないでしょう。都知事などになるべき人ではなく、とっとと辞任してその職を去ってもらいたいものです」と、辞職を要求しました。
 それから約1ヵ月になります。この時点でさっさと辞職していれば、五輪などへの影響はもっと小さくて済んだのではないでしょうか。
 「第三者委員会」に丸投げして時間稼ぎをしたり、のらりくらりと言い訳したりして、何とか逃げ延びたいと考えていたのかもしれません。この往生際の悪さが都民の怒りを増幅させ、都政に混乱をもたらし、五輪などへの悪影響を拡大させてしまいました。

 しかし結局、辞任せざるを得ないところに追い込まれたのは、第1に舛添さんの公私混同や政治資金の私的流用が弁解できないほどにひどいもので、与党としても弁護することが難しかったからです。当初、自民党と公明党は知事を擁護する姿勢を示していましたが、全容が明らかになるにしたがって腰が引けていきました。
 それに輪をかけたのが舛添さんの姿勢であり、対応の仕方です。疑惑に対して真摯に向き合い誠実に回答して真実を明らかにするという姿勢は最後まで見られませんでした。
 そのために都民の怒りが爆発し、都庁に寄せられた苦情や意見は約3万1000件に達し、担当課の電話がふさがると別の課の電話番号を調べてかけてくるなど「苦情があふれ出る」(都職員)状況で、その批判の矛先は与党にも向かいました。最終的に、自民党まで不信任案を提出せざるを得ないところに追い込まれた背後には、常識では考えられないような公私混同のひどさとそれに対する都民の批判の高まりがありました。

 第2に、共産党が果たした役割の重要性を指摘しておく必要があります。舛添辞任に至った問題のそもそものきっかけになったのは、共産党が調査して明らかにした高額の海外出張費問題だったからです。
 代表質問や総務委員会での質疑など一連の追及も厳しく、他党をリードする役割を果たしました。早くから百条委員会の設置を要求して真相解明に積極的な姿勢を示し、不信任案の提出に向けて先鞭をつけ、市議会などでも決議を上げて都民の怒りを代弁してきました。
 他の党はこれに引っぱられる形となって曖昧な対応が取りづらくなり、知事も観念せざるを得ないところに追い込まれました。都議会で舛添辞任を実現する最大の力となったのは共産党議員団であり、前回の都議選で躍進して野党第1党となった威力が十分に示された結果だったと言えます。

 第3に、参院選とリオデジャネイロ五輪・パラリンピックの直前だったというタイミングの問題も大きかったと思います。疑惑の追及を曖昧にして先延ばしできるような状況ではなかったからです。
 リオ五輪は8月5日から始まり、その4年後の7月24日の開会式から東京オリンピックが開かれます。これらの行事には開催地の代表として都知事が参加しなければならず、選挙と重ならないようにする配慮が必要でした。
 しかも、6月22日からは参院選が公示され、与党としてはできるだけ選挙に悪影響が及ばないように対応する必要がありました。自民党や公明党が結局「舛添切り」に転じたのは、参院選で「舛添の巻き添え」となることを恐れたからです。

 しかし、これで自民党や公明党には「お咎めなし」ということにして良いのでしょうか。このような都知事を推薦して都政の混乱をもたらしたのは、今回が初めてではありません。
 石原、猪瀬、舛添と過去3代続いた都知事は、いずれも都政をないがしろにし、政治とカネの疑惑を引き起こしました。このような都知事候補者を推薦し、与党として支えたのは自民党と公明党ではありませんか。
 与党は候補者難もあって舛添さんに引導を渡すことをためらったようですが、自民党と公明党の責任は極め大きく、もはや都知事候補を立てたり推薦したりする資格はありません。政治家や行政官としてだけでなく、人間としても、その資質を見誤った責任を自覚し、今回は知事候補を立てるのを自粛したらいかがでしょうか。

 前回の都知事選挙で、公明党の山口代表とともに舛添推薦の演説を行った安倍首相の責任も免れません。あの時は舛添さんが最善だと考えて都民に推薦したけれど、「あの時の約束とは異なる『新しい判断』」で今度は別の候補者を立てればいいとでも考えているのでしょうか。
 今度の都知事選は、革新都政奪還と都政刷新の大きなチャンスになります。ぜひ、野党共闘の流れを受け継いで共同候補を擁立していただきたいものです。


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