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2月25日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月25日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:失われた30年の失政 東証高値更新に34年かかったことの方がニュースだ

 実質賃金を比べると、21世紀に入って下がっているのは、先進7カ国で日本だけである。

 昨年の春闘の賃上げ率は3.6%で「30年ぶりの上昇率」と岸田首相は胸を張るが、89年の5.17%を大幅に下回る。当時も物価は上昇していたが、賃金の伸びが上回り、89年の実質賃金は前年比1.9%増。昨年の実質賃金は2.5%減で、前年比マイナスは2年連続だ。もはや「安いニッポン」どころか、「貧しいニッポン」と化している。

 内需をアテにできない大企業もすっかり外需頼み。34年前に5割未満だったトヨタの海外販売比率は現在8割超。89年末に時価総額世界一だったNTTは今やグループ約900社の3分の2が海外企業だ。約34万人のうち海外従業員がほぼ半数を占める。こうした大企業にすれば、「貧しいニッポン」を決定づけたアベノミクスの円安誘導の大失策も、まぶしく映ったことだろう。

 「海外投資家が好感する『収益改善』の由来は、円安と値上げ。バブル期超えは庶民生活の犠牲の上に立っています。メディアも『34年ぶり』がニュースになる裏側に目を向けるべきで、この間、自民党政治は大企業と米国の顔色だけをうかがい、国民には見向きもしない。それを如実に示すのが裏金20年です。安倍派の裏金が5年間で6億円超に上るのも、優遇策の見返りに大企業がパーティー券を大量に購入したおかげ。内部留保を500兆円以上も貯め込み、賃金も上げず、設備投資もせず、円安政策にあぐらをかき、自民党と癒着すれば大企業は株高で安泰。このフザケタ構図を一変させるには自民を下野させるしかありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 この相場もまた自民の失政のせいで「うたかたの夢」で終わらないことを祈るばかりである。

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