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11月15日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月15日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:上川外相も米国のいいなり 飛び交う「ポスト岸田」候補たちにはガックリだ

■菅政権末期と横並び

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「モラルや道徳を問われる文科政務官は不倫パパ活疑惑、法令を誰よりも順守しなければならない法務副大臣は選挙買収を疑われ、税の専門家でもある財務副大臣は納税逃れの常習犯。職務に関わるところで問題を抱えている人物をこれほど多く任命したのも、辞任ドミノを招いたのも前代未聞でしょう。よりによって、なぜそのポストに就けたのか。平然と引き受けた側もどうかしていますし、国会議員の資質があるのかも疑わしい。せめて不祥事発覚直後にスパッと切ればいいものを、世論の出方を見るまで判断ができないあたりが岸田首相の程度をよく表している。今の岸田政権は、橋本政権末期と麻生政権末期をドッキングしたような状態です。橋本元首相は恒久減税で右往左往し、参院選で惨敗して退陣した。麻生元首相は解散時期を逃し、みるみる求心力を失って政権交代を招いた。岸田首相も『増税メガネ』を打ち消そうと掲げた所得税などの減税でさらに疎まれ、年内解散を封じ込められた。この先、浮上の目があるとは思えません」

 内閣支持率はつるべ落とし。大手メディアの世論調査では軒並み下落し、政権運営の危険水域である2割台沈没が大半だ。NHKの調査(10~12日実施)でも、支持率は先月より7ポイント減の29%に下落。政権発足後初めて30%を割り込み、不支持率は8ポイント増の52%だった。いずれも死に体化していた菅前政権の末期と横並びだ。菅前首相はそれから1カ月足らずで退陣を表明。同じ光景を再び見ることになるのか。武田元総務相は先週収録のCS番組で「ビジョンと旗をきちっとあげないと、支持率は上がらない予感はしますね」と岸田に注文をつけ、「政権が弱く、支持率が下がった時は新たな候補者にアドバンテージが出やすいことがある」とチクリとやっていた。武田は岸田から自民党ナンバー2の座を追われた二階元幹事長の側近で、菅とも近い。

 上川は岸田よりマトモかもしれないが、4歳年上。今年古希を迎えた。第1次安倍政権、福田政権、第2次安倍政権、菅政権、そして岸田政権と入閣し通しなのは、オッサン社会での立ち回りのうまさと表裏一体。ついでに言えば、米国のポチでもある。米ハーバード大ケネディスクールで政治行政学修士号を取得し、米上院議員の政策スタッフを務めた米国通の国際派との評価もあるが、深刻化するパレスチナ情勢をめぐる動きは米国隷従そのものだ。

 「女性を前面に押し出せば危機を乗り越えられるなんていう発想は、女性蔑視の最たるもの。女性起用を人気取りの道具としか考えない自民らしい失礼千万ですよ」(五十嵐仁氏=前出)

 「ポスト岸田」で飛び交う面々のアホらしさ。そうして迷走首相が粘り腰で居座るのは、国民にとって絶望しか生まない。


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