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7月5日(月) 政権交代に向けてステップからジャンプへ―都議会議員選挙の結果について [選挙]

 注目の東京都議会議員選挙の結果が明らかになりました。各政党の獲得議席は以下のようになっていますが、ほぼ予想された結果です。

自民 33
都民 31
公明 23
共産 19
立民 15
維新 1
ネット 1
無・他 4

 秋の総選挙での政権交代に向けて、立憲野党は4月の3選挙でホップ、今回の都議選でのステップと勢いをつけてきました。今回の選挙での成果を踏み台に、野党連合政権の樹立による政権交代に向けて大きくジャンプすることが必要です。

 今回の選挙で目につく特徴の一つは、自民党の敗北です。前回の都議選で歴史的な惨敗を喫し、今回は復調すると見られていた自民党ですが、公明党との合計でも都議会の過半数を獲得できませんでした。
 その最大の要因は自民党に対する批判が予想以上に大きかったことにあります。今回の33議席は2009年の38議席を5議席も下回り、前回に次いで歴史上2番目の少なさでした。
 自民党は前回と今回、2度続けて敗北したのです。2009年の場合、その直後の総選挙でも惨敗して政権交代に結びつきました。今回もそうしなければなりません。

 第2の特徴は、都民ファーストの会が31議席を獲得して踏みとどまったことです。その最大の要因は、菅政権のコロナ失政と五輪強行への都民の批判の「受け皿」となったことにあります。
 もちろん、都議選で「育児放棄」してしまった「生みの親」の小池都知事が、選挙戦の最終盤にアリバイ的な応援に駆け付けたことも一定の効果を生み出したでしょう。しかし、それ以上に自公政権に対する不満と反発の方が大きかったのではないでしょうか。
 総選挙になった場合、都民ファーストに投じられた票は与党ではなく野党の方に流れる可能性が大きいように思われます。今回の結果に自民党は大きな衝撃を受けているそうですが、総選挙に向けてのマイナス要因の大きさの本当の意味を理解していないのではないでしょうか。

 三つ目は、野党共闘の威力が十分に発揮されたことです。菅政権のコロナ失政や五輪強行に対する都民の反発や批判のもう一つの「受け皿」になったのが、共産党と立憲民主党でした。
 共産党の19議席と立憲民主党の15議席を合計すれば34議席となって「都議会第1党」になります。共同歩調を取ることができれば、今後の都政運営においても大きな存在感を示すことができるにちがいありません。次の都知事選に向けての橋頭保を築いたという意味でも、今回の結果は重要です。
 市民と野党の共闘の威力をはっきりと示したのは、1人区で当選した小金井選挙区と武蔵野選挙区でした。前者では野党の各政党・政派が協力して推薦した無所属候補が当選し、後者では立憲民主党の候補者が当選しました。
 2人区や3人区でも共闘によって当選が可能になった候補者が続出しています。「活路は共闘にあり」ということが、またもや実例をもってはっきりと示されたわけで、これこそが総選挙に向けてかみしめるべき最大の教訓だと言うべきでしょう。

 第4に、このような共闘の要や推進力として尽力し、立憲民主党よりも多くの候補者、とりわけ最多の女性候補者を当選させた共産党の健闘も特筆されます。今回の19議席は前回と同数ですが、改選議席からすれば1増になります。3回連続での前進は初めてではないでしょうか。
 共産党の当選者のうち14人が女性で、定数2の選挙区で3人が当選し、4選挙区でトップ当選になっています。落選したものの目黒区の候補者は6票差で、北多摩3区の候補者は354票差の惜敗でした。当選者の数以上に、その質的内容には見るべきものがあります。
 この共産党との選挙協力や政権合意に対して連合や国民民主党から妨害や抵抗がありましたが、それは客観的には立憲野党の足を引っ張り、菅自公政権を助けるものだということがはっきりしました。立憲民主党が本気で政権交代をめざすのであれば、共産党と政権を共にすると腹を固め、枝野党首は支持団体の連合を説得するためにリーダーシップを発揮するべきでしょう。

 秋の解散・総選挙に向けて、何を目標に、どうするべきかが明確になったというのが、今回の都議選の最大の成果ではないでしょうか。菅政権をさらに追い込み、市民と野党の共闘によってはっきりとした政権批判の「受け皿」を分かり易く、目に見えるような形で提起することです。
 五輪を中止してコロナ対策に全力を尽くすことが、ますます切実で重要な課題になってきています。連日、コロナ感染者は前の週の数を上回り、すでに第5波が訪れていることは否定できず、インド発のデルタ株にペルー発のラムダ株など感染力の強い新種の変異株が海外から持ち込まれるリスクも高まっています。
 このままでは、五輪は新型の変異株の「国際見本市」やコロナ株の「万国博覧会」になりまかねません。各種の変異株が混ざり合ってさらに強力な感染力を持つ「五輪株」が生まれ、五輪後に世界中にばらまかれるなどということになったら、菅政権はどう責任を取るのでしょうか。

 いよいよ、日本の政治は正念場を迎えようとしています。「新しい政治」の実現に向けての条件は整備されつつあります。
 それをどう現実の力へと変えていけるのか。政治を変えよう、変えたいと考えている人々の本気度と熱量が試されようとしています。都議選の結果をステップとし、政権交代の大飛躍を生み出すジャンプに向けて。

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7月2日(金) 東京都議会議員選挙での立憲野党へのご支持・ご支援を訴える [選挙]

 激しくたたかわれている東京都議会議員選挙も、いよいよ明後日の投票日が近付いてきました。投票所に足を運び、小池都政を支えてきた都民ファーストの会・自民党・公明党に審判を下し、野党として対峙してきた日本共産党と立憲民主党の立憲野党へのご支持・ご支援をお願いしたいと思います。
 首都・東京の議会選挙の結果はその後の国政の行方に直結しますので、いつの時代でも注目集めてきましたが、とりわけ今回の都議選はこれまでになく重要なものとなっています。とりあえず、以下の6点にわたって今回の都議選の意味と意義を明らかにしておきたいと思います。

 第1に、これまでの小池都政とその与党に対する審判の機会だということです。新型コロナウイルスの感染対策を始めとした都政運営の継続か転換かが問われています。
 都立・公社病院の独立行政法人化、首都の上空を飛行機が通る羽田新ルート、陥没事故を引き起こした外郭環状道路の建設、カジノの導入なども含めて、都議選の結果次第で都政のあり方と今後の行方が左右されます。小池与党の都民ファーストの会だけでなく、実質的な与党になっている自民党と公明党の議席を減らすことで、これらの施策の中止や転換を実現しなければなりません。
 また、小池与党の議席を減らして野党の議席を増やすことができれば、3年後の都知事選挙に向けて明るい展望を切り開くことができます。今回の都議選は、長年にわたった保守都政の打倒と革新都政の奪還に向けての前哨戦であり、次の都知事選勝利に向けての第一歩でもあります。

 第2に、コロナウイルスの感染拡大の下での選挙であり、命を守るための選択が問われています。都民のいのちと暮らし、営業を脅かしている新型コロナ対策に活を入れる重要な機会になります。
 菅政権と小池都政による無為・無策・無能・無責任なコロナ対策が失敗したことは誰の目にも明らかでしょう。対策が功を奏して沈静化に成功していれば、3度も緊急事態宣言は必要なく、何度もコロナ感染の大波が訪れることもなったはずですから。
 緊急事態宣言が終了してまん延防止等重点措置に移行しましたが、その直後からリバウンドが始まり、もはや第5波が訪れていることも明瞭です。このような状況を直視し、失敗を真摯に反省して本気でやるべきことをやらせることが必要であり、今度の都議選ではまさに命を守るための選択が問われています。

 第3に、五輪中止に追い込む最大のチャンスが、1人1人によって意思表示できる今回の都議選だと言えるでしょう。その結果次第で五輪・パラリンピックを中止させることは可能であり、少なくとも無観客での実施を本気で検討せざるを得なくなるでしょう。
 選手や関係者を一般の人々から隔離する「バブル方式」を取るから大丈夫だと言われていますが、このやり方に効果がないことは、無観客で強行開催されたブラジルでのサッカー南米選手権で、隔離されていたはずの選手や関係者に160人を超える感染者が生まれたことから明らかです。観客を入れて実施されたロンドンでのサッカーのヨーロッパ選手権ではスコットランドからの観客2000人、ロシアではフィンランドからの観客300人が感染しました。
 東京五輪でも「バブル」には例外や特例が認められ、警備員や運転手、ボランティアなどが接触するなど内と外がつながっており、「バブル」の中には選手1万人以上、関係者4万1000人などが「密」になっています。競技への参加や観戦などで人の流れが増えることは確実で、それを防ぐためには競技そのものを中止するしかありません。

 第4に、各政党に対してジェンダー平等への本気度を問う選挙になっています。口先や形だけの政党に引導を渡して淘汰することで、女性議員の増大に向けて本気で取り組むように促すことが必要です。
 この点で、とりわけ注目されるのが共産党です。都議会で野党第1党だった共産党は、18人の都議団のうち13人が女性でした。今回の選挙での候補者でも女性の比率は58%と過半数を超え、2位の都民ファ―ストの会の38%を20ポイントも上回って断トツです。 
 先の通常国会では女性議員増進法が成立し、各政党に努力義務が課せられました。この法律の趣旨を踏まえて都議会での女性議員を増やし、ジェンダー平等を推進する施策を充実させるためにも、今回の選挙で女性議員を多数当選させることが必要です。

 第5に、市民と野党の共闘による初めての都議選であり、その真価が問われる選挙でもあります。定数が1人の1人区だけでなく2人区や3人区でも住み分け、選挙協力や相互支援の動きが生まれているのが、今回の選挙の特徴です。
 共闘が進めば進むほど、それへの妨害や抵抗も強くなります。先の3選挙や今回の都議選、間もなくやってくる総選挙にも連合からの横やりや国民民主党の消極姿勢などが目立ちますが、今回の都議選で共闘の威力が示され効果的だということが証明されれば、立憲野党間の連携や協力は一挙に広がるでしょう。
 『東京新聞』が6月26、27日に実施した世論調査では、都議選で投票しようと思う政党として、自民党18.4%、公明党6.5%に対して、共産党15.7%、立憲民主党13.6%となっていました。自公併せて24.9%よりも、共立合計の29.3%の方が上回っており、共闘次第では大きな展望が開ける可能性が広がっています。

 第6に、今年秋の10月か11月に実施されると見られている総選挙に直結し、大きな影響を与える選挙になっています。今後の政権のあり方や日本の政治の行方を左右する、これまでになく全国的な意義が大きい選挙だということを強調しておきたいと思います。
 私は「2009年に類似している今年こそ同様の政権交代を実現しよう」という1月24日付のブログで、「2009年の経験は、数多くの教訓を示しています」として、「政治日程と政治状況の類似性によって同様の結果が生み出される可能性があること、小選挙区制は一挙に当選者を入れ替える恐ろしい選挙制度であること、政権の失政と政権党に対する失望や批判は選挙結果を大きく左右する客観的条件であること、選挙協力と候補者調整は歴史的圧勝を生み出す主体的な条件であること、政権選択を迫って明確な『受け皿』を示せば投票率が上がり思いもよらぬ結果をもたらすことなど」を指摘し、次のように書きました。

 「現在の菅首相の無能さは09年当時の麻生首相に『劣るとも勝らない』ものであり、コロナ対策の失敗によって失望と怨嗟の声は全国に満ち満ちています。内閣支持率はかつてないスピードで低下し続けており、オリンピック・パラリンピックの開催も危ぶまれ、桜の花が咲く前に菅首相は散ってしまうのではないかと言われるほどです。
 しかも、野党の側での選挙協力は2016年以来の実績を積み重ねてきており、共産党が加わっていること、市民をも巻き込んで草の根から発展してきていること、政策合意を前提に政権担当を展望する方向が示されていることなどの点で、09年総選挙以上に質的に発展し強力なものとなっています。09年以上に、政権交代に向けての客観的主体的な条件は整っていると言えるでしょう。」
 事態は、この時に私が指摘したとおりに進行してきました。都議選の結果次第では、総選挙も2009年と同様の経過となり、政権交代へと結びつく可能性があります。

 とりわけ、都議会野党第1党となっている共産党の動向が注目されます。選挙戦は立憲野党全体にとって有利な状況の下で進行していますが、特に共産党はオリンピックの中止を早くから打ち出すなど論戦をリードし、対決点を明確にしてきました。
 共産党が議席を増やして都議会第2党となって副議長職を獲得し、立憲民主党も躍進して自民・公明で過半数を獲得できず、小池都知事に大きな打撃を与えることができれば、オリンピックの中止、少なくとも無観客での開催に追い込むことは十分に可能です。
 だからこそ、怖いのは油断です。『毎日新聞』の獲得予測で共産党は13~22議席となっていて、「地獄」と「天国」が共存しているような予想が示されています。有利な条件に確信を持つとともに、油断せず警戒心を高めて「大丈夫論」を克服できれば、「地獄」ではなく「天国」への扉を開き、日本の「新しい政治」を生み出せるにちがいありません。

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7月1日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「この期に及んで「検討中」 恐怖の五輪開催カウントダウン」

 29日の東京都の新型コロナ新規感染者数は476人で、10日連続で前週同曜日を上回った。感染爆発レベルの「ステージ4」は目前である。神奈川や千葉の感染状況も悪化している。政府内でも「五輪は無観客開催しかない」という意見が出ているという。

 「リバウンドは誰の目にも明らかで、感染者はこれからもっと増える。五輪開会式までに収束すると予測している専門家はいません。この状況で五輪開催に突っ込んでいくなんて無謀としか言いようがない。たとえ無観客でも、五輪が始まれば選手や関係者など数万人が入国して人流も活発になり、ますます感染が拡大するのは明らかです。五輪は中止するしかない。それを決断するのが政治の役割です」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 28日に立憲民主党が国会内で開いたヒアリングでは、五輪のため来日した選手や関係者で新型コロナ感染が明らかになったのはウガンダ選手団だけではないことが明らかになった。

 内閣官房によると、2月にフランス1人、4月にエジプト1人、5月にスリランカ1人、6月にガーナ1人が確認されていたという。そういう事実関係がなぜ今になって明かされるのか。中止の世論が盛り上がることを恐れたからか。厳格な14日間隔離など水際対策を強化する議論はなかったのか。

 ヒアリングで政府の担当者は、「どのような改善策があり得るか、厚労省と検討を進めている」と話していた。ここでもまた「検討」だ。

 「この後に及んで検討している場合なのか」と、前出の五十嵐仁氏はこう言う。

 「競技によってはクラスターが発生して中止になるものもあるかもしれない。ただでさえ酷暑の東京で、ワクチン接種が進んでいない日本では観戦時もマスクを外せず、熱中症の危険性も高まります。小中学校の児童・生徒が観戦する学校連携観戦は“令和の学徒動員”とも言われていますが、保護者から懸念の声が続出し、参加の中止や検討が相次いでいる。五輪強行は菅首相の賭けだと言われますが、国民の命を賭けたバクチには到底、賛同できません。常に中止のオプションを用意しておかないと、国民の安全は守れない。五輪を契機に東京発の変異株が世界に広がれば、国際社会から非難される可能性もある。神頼みでは困るのです」

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6月27日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月26日付に掲載されたものです。〕

*記事「河野大臣“口先だけ上から目線”が招いたワクチン不足大混乱の落とし前」

 ワクチン担当の河野行革担当相は、これまで何と発言してきたか。

 職域接種を呼び掛けた2週間前の11日の記者会見では「ワクチンの供給は余裕があります」。自治体に対しては、接種率上位に傾斜配分をすると“上から目線”で、15日の会見では「自治体に在庫を積み増しても仕方ない。接種が遅い自治体は、1回クールを飛ばさせていただくこともあり得る」とドーカツしていた。

 ところがワクチン不足となると言い訳ばかり。24日はテレビ出演で職域接種について、「あっという間に、ものすごい量の申請があった」と見通しの甘さを釈明。22日の会見でも「必要以上に申請しているケースがある」と企業や自治体のせいにし、今後は、「余分に申請されていないか精査する」。きちんと精査してこなかった政府の側に問題があるのではないのか。

 「OECDで最下位レベルと日本のワクチン接種は大きく遅れていた。夏以降、五輪と衆院選があるため、菅政権はそれまでに接種を進めたいと焦ってドタバタ劇を生んでしまった。河野大臣は発信力が評価されているけれど、後先考えずに聞こえのいい話ばかり。それも不幸に輪をかけました」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 そもそもワクチン接種については、医療従事者→高齢者→基礎疾患のある人→一般という順序があったはずだが、五輪優先の菅首相のトップダウンで、医療従事者が終わらぬうちに、高齢者が前倒しになり、自衛隊による大規模接種も導入され、自治体接種との二重予約の混乱を招いた。その後、自衛隊会場は高齢者が集まらず、いまや接種券さえあれば誰でも予約できるというなし崩し。

 「態勢は走りながら考えればいい」と漏らした政権幹部がいたらしいが、あまりにデタラメだ。

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6月24日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月24 日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「連日ウソばかり 橋本聖子会長が自己崩壊しない摩訶不思議」

 21日の会見で専門家の提言との整合性を問われた組織委の橋本聖子会長は、「中止は提言になかった」と都合よく解釈。「観客を入れた時のことも想定した提言をいただいた」「組織委員会の感染対策については大変高い評価を尾身会長からいただいた」などと言って、「有観客で上限1万人」の開催を正当化してみせた。

 「政府も組織委も最初から有観客開催の結論ありきで、専門家の知見も無視して突っ走ろうとしている。コロナ禍で五輪を開催することに対する国民の不安は大きいのに、開催の是非をスッ飛ばして、いつの間にか観客数の上限が論点にされていたのです。そのうえ大会関係者は観客ではないから別枠、子どもたちに観戦機会を提供する学校連携観戦チケットも別枠などと、なし崩しで観客数を増やそうとしている。IOCにおもねると同時に、秋の解散総選挙に向けた政治的思惑から、盛り上がりを演出するためにどうしても観客を入れて開催したいのでしょうが、人が移動したり集まったりすれば感染拡大リスクが高まることは周知の事実です。リーダーには冷静で科学的な判断が求められるのに、現実から目をそらし、行き当たりばったりで大会成功を夢想しているだけとしか思えません」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 過去7回の五輪出場を誇る橋本だからこそ、応援の「大声禁止」がいかに荒唐無稽で無理難題かということを誰より分かっているはずだ。カネのことしか頭にないIOCのバッハ会長や五輪を選挙戦略に利用する菅のために、アホらしい五輪プレーブックも作って、嘘をつき続けるストレスによく耐えられるものだ。アスリートファーストに立っていたら自我が崩壊するのではないかと心配になってしまう。

 「橋本会長はもはやアスリートではなく政治家なのです。森元首相のお気に入りで、本人も組織委会長就任にあたって政治的中立性を担保するために自民党こそ離党しましたが、国会議員を辞めることはかたくなに拒否した。丸川五輪相もそうですが、レールに乗って自分より上の人間の意向に従うだけ。思考停止に陥っていて、操り人形のようです。五輪強行でコロナ感染拡大のリスクがあることも分かっていながら、中止を進言する勇気もない。破滅に突き進んだ先の大戦とそっくりの展開になってきました。橋本氏と丸川氏の無表情を見ているだけで、この五輪の異様さが分かります」(五十嵐仁氏=前出)

 今般の五輪でメダルを獲得した選手が、いずれは橋本のようになるのかと想像すると、ますます純粋に応援できなくなる。

 選手より、国民の安全より、カネと名誉と政権延命。そのヨコシマな思惑を覆い隠すために「スポーツの力」や「絆」という情緒的な言葉がことさらに強調されるのだ。その欺瞞に気づいた国民は、1カ月後の開会式を暗澹たる気持ちで迎えることになる。

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6月23日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月22日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「五輪は400万人のバカ騒ぎ 飲酒は「2人90分」のアホらしさ」

 32日後に迫った五輪をめぐり、5者協議が21日開催。オンラインで顔を並べたのはIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長、IPC(国際パラリンピック委員会)のパーソンズ会長、小池都知事、丸川五輪担当相、大会組織委員会の橋本聖子会長で、メインテーマは観客の上限の引き上げだ。これまで「収容人数の50%を上限に最大5000人まで」としてきたが、菅政権の方針に沿って東京の重点措置解除を前提に「収容人数の50%を上限に最大1万人まで」に緩和。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は「無観客開催が望ましい」と提言しているのに、完全に無視だ。有観客路線を曲げないどころか、キャパを広げようというのだからメチャクチャである。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「密を回避せよ、人流を抑制せよと言って飲食店に制約を強いながら、特別扱いの五輪は収容人数を目いっぱい増やす。カネのための五輪強行、内閣支持率アップのための五輪強行、総選挙勝利のための五輪強行であることがあからさまです。政府は人流増加で大きなリバウンドを招き、新規感染者、重症者、死者が増えてもお構いなしなのでしょう。思考停止で五輪開催に突き進み、行動変容をしない政府に協力を求められ、どれほどの国民が応じるでしょうか。はなはだ疑問です」

 東大准教授の仲田氏らは、東京では前回の宣言解除後を上回るペースでリバウンドが起きる可能性を指摘している。

 前回宣言が解除された3月22日以降の東京の新規感染者数の推移を基に分析。3月22日の7日間平均の感染者数は302・9人だったが、自粛要請の緩和などに伴う人流増加などが要因となり、4週間後の4月19日には600・6人に倍増していた。今月10日以降は390人前後で推移しているが、前回同様の人流増加などがあれば4週間後には感染者数が約400人増える可能性があると結論付けた。国の指標である「ステージ4」を軽々と突破するというのである。

 国立感染症研究所などの研究チームも同様の試算を出している。人出が宣言解除後に10%、1カ月かけて15%増えると、7月下旬に都内の新規感染者が1日500人超え。五輪開催でさらに10%増えれば、8月上旬に1000人を突破し、下旬のパラリンピック閉幕前には1500人に迫るという。

 「この政権は狂っているんじゃないか。政権の方向性が理性で理解できない、全くついていけない。多くの国民がこうした不安を抱いています。わずか1年足らずで新型コロナ対策で同じ過ちを繰り返し、国民の健康と命は一向に顧みられない。最善のコロナ対策は政権交代、これしかありません」(五十嵐仁氏=前出)

 五輪がトリガーになり、いよいよ狂乱的破滅に向かう前に、国民が行動を起こすしかない。



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6月22日(火) 野党連合政権への道―今こそ「新しい政治」をめざそう(その3) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』2021年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

「新しい政治」への跳躍

 以上にみたように、菅政権の現状は惨憺たるものです。注目された4月25日の北海道、長野、広島の3選挙で野党が全勝したのも当然です。しかし、それだけでは足りません。来る7月4日投票の都議選と、おそらくは9月になると思われる総選挙で自公両党に厳しい審判を下し、野党連合政権樹立への道をきりひらくことが必要です。そのために重要なことは、展望と構想と主体の3つです。
 第1の「展望」という点では、2009年の政権交代の例が参考になります。この年も9月に衆院議員の任期切れが迫り、7月に都議選が実施されました。前年のリーマン・ショックやスキャンダルもあって麻生政権にたいする不満と批判が高まり、8月の解散・総選挙で自民党は歴史的な惨敗を喫して政権が交代しました。
 今年も10月に衆院議員の任期切れ、7月に都議選と似たような政治日程となり、昨年からはコロナ禍とスキャンダルが続発して政権批判が高まっています。09年と同様の展開があり得ます。
 第2の「構想」については、すでに市民連合から示されている15項目の政策要望がたたき台となります。コロナ禍によって明らかになった新自由主義的な効率優先の開発政治や自己責任論のはびこる政治を、ケア優先で医療や福祉を手厚くし公的責任によって生活を支える政治へと転換することが必要です。対外的には戦争法廃止によって米中間の軍事衝突に巻き込まれるリスクをなくさなければなりません。
 政治の私物化を許さず、「森友・加計学園」「桜を見る会」や「接待疑惑」などの解明、学術会議会員の任命のやり直しなど、民主主義の復活と政治の信頼回復をはかり、ジェンダー平等の実現などによって自公政権による時代遅れの「古い政治」を転換することが重要です。
 第3の「主体」にかんしては、すでに市民と立憲野党の共闘というかたちで具体化され、多くの経験を積み重ねてきました。2008年の年越し派遣村から始まった共同の取り組みは2011年の福島第1原発事故を契機にした脱原発運動へと引き継がれ、2015年の安保法制(戦争法)反対運動で「野党は共闘」という流れを生みだしました。
 戦争法成立直後に日本共産党によって提起された「国民連合政権」樹立の提唱は、いまでは相当の現実性を帯びてきています。妨害と分断の動きが激しくなっているのは「夢物語」ではなくなってきたからです。この間の選挙共闘を、政権を担うものへと高めていくことができるかどうか、その真価が問われる局面が訪れています。

〝私たちの政府〟による新たな希望

 ホップ(3選挙)・ステップ(都議選)・ジャンプ(総選挙)によって選挙勝利を積み重ね、〝私たちの政府〟を実現して新たな希望をうみだすこと――それが夢ではなく、現実となる可能性が生まれています。コロナ禍によって迷い込んだ暗いトンネルのむこうに、明るい光が見えはじめているのです。政権交代という希望の光が。
 そのチャンスは間もなくやってきます。秋までには必ず実施される総選挙が、その機会となるでしょう。東京都民には、その前に都議会議員選挙もあります。これらの選挙こそ、国民無視の「古い政治」をつづけてきた安倍・菅政権にたいして厳しい審判を下す絶好の機会となるにちがいありません。そして、こういおうではありませんか。自公政権はもう「時効」だ、と。

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6月21日(月) 野党連合政権への道―今こそ「新しい政治」をめざそう(その2) [コメント]

〔以下の論攷は、『学習の友』2021年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

安倍「負の遺産」の呪縛

 菅政権による「コロナ失政」は、安倍政権から引き継がれたものでした。しかし、前政権から引き継がれた「負の遺産」はこれだけではありません。
 第1に、政治の私物化という問題があります。安倍首相は「森友・加計学園疑惑」や「桜を見る会」などが大きな疑惑を招きましたが、菅首相にも息子の「接待疑惑」が生じました。安倍前首相の「森友疑惑」での公文書改ざんについては「赤木ファイル」の公表が決まりましたが、菅首相の場合は頬かむりしたままです。
 第2に、菅首相の異論排除の姿勢も前政権と変わっていません。典型は日本学術会議の会員任命拒否です。拒否された6人に共通するのが、前政権の方針に異を唱えたという点でした。一刻もはやく、排除された理由を説明し、任命し直すよう求もとめていく必要があります。
 第3に、外交や改憲問題も継続しています。日米共同声明で「台湾」に言及することで米国追随の姿勢を示し、改憲手続き法案を成立させて安倍改憲路線を引き継ごうとしています。その背景には、独自のビジョンの欠落とともに支持率低下への焦りがあるようにみえます。
 このほか、問題法案のオンパレードという点についても指摘しておかなければなりません。国会に提出された法案には、成立したデジタル関連法案をはじめ、改憲手続き法案、高齢者医療費2倍化法案、病床削減推進法案、土地利用規制法案、国大法改定案、入管法改定案(のちとり下げ)、少年法改定案など、内容に問題があり人権を破壊するものが目白押しです。コロナ下できちんと報道されず、国民が知らないうちに押し切られれば将来に大きな禍根を残すでしょう。

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6月20日(日) 野党連合政権への道―今こそ「新しい政治」をめざそう(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』2021年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

はじめに

 いまほど「新しい政治」が求められているときはありません。新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの命が失われているからです。このような深刻な状況が生じてから、すでに1年以上の時間が経過しました。多くの国民が不安にさいなまれ、一部では医療崩壊も生じています。雇用を失って収入が途絶え、三度の食事もままならない人びとさえ生まれています。
 しかし、安倍晋三前政権も、その「継承」をかかげて後を引き継いだ菅義偉政権も、新型コロナウイルスの感染防止に失敗しました。コロナ対策として打ちだされた緊急事態宣言が3回もくり返されたこと自体が、これまでの失敗を示しています。
 このような失敗は、安倍・菅政権による無為・無策・無能・無責任の結果です。その背景には、すでに時代遅れとなった「古い政治」の破綻があります。これに代わる「新しい政治」の創造なしには、国民の命と健康、暮らしや営業を守ることはできません。私たちの命を守るためには政治を変えなければならないというギリギリの選択が迫られる事態になりました。

コロナ失政の悪夢

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。2021年5月末現在の状況は、図(省略)で示されているとおりです。第4の波は以前にもまして大きなもので、感染者は累計60万人、死者は1万人を超えました。インド発などの変異株は感染力が強く、若者なども重症化しやすいという特徴があります。政府は3回目の緊急事態宣言を延長して対象地域も9都道府県に拡大(のち沖縄県を追加)し、まん延防止等重点措置を10県に増やす(のち愛媛県を解除)など、感染拡大を抑え込むことに失敗しています。
 こうなったのは、第1にやるべきことをやってこなかったからです。感染防止のためには、検査を徹底して状況を的確に把握し、クラスターの発生を押さえることが必要ですが、PCR検査の数が決定的に不足しています。自粛や時短、休業に対する補償も不充分で、事業者は悲鳴をあげています。とりわけ大阪などでは医療体制の崩壊が深刻で、充分な治療を受けることができず自宅療養中に命が失われる例が相次いでいます。医療関係者にたいする支援を急がなければなりません。
 第2に、経済や五輪などへの配慮もあって感染対策に全力を注ぐことができなかったからです。その典型は、感染が収まらないうちに前倒しで実施された「GoToキャンペーン」でした。五輪への影響を避けたいという思惑もコロナ対策を左右してきました。聖火リレーの出発式や国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日を考慮して緊急事態宣言の日程を設定したことが対策を中途半端なものにしました。一刻もはやく五輪の中止をきめ、資金と人力など医療資源のすべてをコロナ対策に集中するべきです。
 そして第3に、国民に犠牲を強いる政府への信頼が決定的に欠けていたからです。菅首相はコロナ対策の失敗を認めず、きちんとした説明と答弁によって国民との信頼関係を築こうとはしていません。3回目の緊急事態宣言を延期せざるをえなくなったとき「人流は確実に減った」と強弁しましたが、目的は感染を減らすことで「人流」の減少は手段です。論点をずらしていい逃れ、質問されてもまともに答えようとしない対応では、国民の理解と協力を得られるはずがありません。
 コロナ対策の「切り札」とされているワクチン接種も当初の予定から大きく遅れ、迷走をつづけています。菅首相はワクチンで感染を抑え込み、五輪を強行して解散・総選挙になだれ込むというシナリオを描いているようですが、接種は間に合わず五輪中止となって破たんする可能性が高まっています。


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6月18日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月18日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「五輪のために国民犠牲 言葉を失う暴政に絶望と無力感」

 こんな人命軽視のデタラメ政権が、取ってつけたような酒類規制をかけたところで、誰が言うことを聞くものか。全ては有観客開催で世界に「コロナに勝った」と見えを張るため。五輪命のポンコツ首相のせいで、この国の秩序は乱れるばかり。最も恐れていた五輪由来の新たな変異株が出現し、世界にパンデミックをまき散らす「人類史上最悪のシナリオ」へと一直線である。

 「東京五輪のコロナ対策と称して海外選手を宿泊施設に閉じ込め、唾液の抗原定量検査の30分前には『飯を食うな』『歯を磨くな』と行動制限。重大な違反があれば制裁金や国外退去措置を科すと脅しながら、観客を増やして感染リスクを高めるのは大いなる矛盾です。ご都合主義の二重基準こそが菅政権の最大の特徴で、自分勝手な解釈で法やルールを作り変え、やりたい放題。国会閉幕のドサクサ紛れの土地規制法の強行採決もその一環です。基地周辺や国境離島を外資の手から守るなんて建前に過ぎず、真の狙いは住民監視や住民運動の制限でしょう。あらゆる個人情報の収集や土地価格の下落など、プライバシー権や財産権の侵害を招く恐れがあり、憲法の規定を侵害する悪法です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 迷走を重ねた独裁政権の末期症状のごとく、菅政権は人権弾圧と取り締まりだけ強化の一途だ。暴政が加速化する狂った政治を、もう誰も止められないのか。五輪ありきの言葉を失うデタラメの連続に、国民が絶望と無力感にのみ込まれてしまったら、オシマイだ。

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