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2月19日(金) 2021年の政治動向と国会をめぐる情勢―野党共闘で政治を変えるチャンス(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、婦人民主クラブの『婦民新聞』第1667号、2021年2月10日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 激動の時代

 従来の思考の枠組みが大きく転換(パラダイムシフト)する激動の時代が始まりました。世界と日本の歴史が大きく変わろうとしています。
 新型コロナウイルスの感染拡大によって、効率最優先でケアを軽視する新自由主義の脆弱性や開発を進めて環境を破壊する資本主義そのものの限界が明らかになりました。米大統領選挙でのトランプ落選とバイデン当選は右派ポピュリズムの敗北と民主主義の勝利を意味しています。
 ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動は人種差別の解消だけでなく奴隷貿易と植民地支配という近代史の見直しを迫りました。「#Me Too」運動もジェンダー平等に向けての不可逆的な流れを生み出しています。そして、核兵器禁止条約の発効によって「核なき世界」に向けての第一歩が踏み出されました。
 自民党はその全てに逆行しています。時代に取り残され、役割を終えたと言うしかありません、世界は音を立てて変わろうとしているのです。この流れに合流し、日本を変えることが今年の課題です。

 新型コロナウイルス対策の迷走

 地殻変動ともいえる情勢の下で、1月18日に通常国会が始まりました。そこには多くの難題が横たわっていますが、なかでも最大の課題は新型コロナウイルスの感染拡大に対する対応です。
 衆院予算委員会での審議で、菅首相が病床の逼迫について「国民が不安を感じている。責任者として大変申し訳ない」と陳謝したように、菅内閣のコロナ対策は後手に回り、迷走に次ぐ迷走でした。そうなった最大の要因は、コロナ対策に全力を傾けるのではなく、経済対策や五輪開催などの政治的思惑を優先してきたからです。
 今年度末までに使い切る第3次補正予算にしても、コロナ対策は2割の4兆円にすぎず、残りの15兆円は「Go To」事業や「国土強靭化」などです。野党がこれらの事業を撤回して医療機関や生活困窮者への支援に回すよう求めたのも当然でしょう。
 新型コロナウイルスに対応する特措法と感染症法の改定問題でも罰則の導入について与野党の対立が生じました。与党は修正協議に応じ、刑事罰の規定をなくして過料額を減らすこと、緊急事態宣言の前段階として設けられる「まん延防止等重点措置」に国会報告を義務付けることなどを受け入れました。
 このような修正がなされたのは当然ですが、そもそも修正を前提にした法案を出してきたことに問題があります。与党として「欠陥商品」を出してきたということですから。
 また、説得し理解を求める代わりに強制措置によって言うことを聞かせようというのも本末転倒です。菅首相のコミュニケーション能力の欠如と権力主義的な体質を如実に示しており、失政のツケを国民に払わせる愚策というほかありません。全ての罰則をなくし、補償を明記すべきでした。

 ワクチンと五輪

 新型コロナウイルス対策の重点は、今後、ワクチン接種に移っていくことになります。これについても難題山積です。
 緊急事態宣言がいつ解除できるのか、ワクチン接種が予定通り行き渡るのかが、夏の五輪開催に直結するでしょう。その成否が菅政権の命運を決めることにもなります。
 ワクチンについては感染症対策の切り札として期待が高まっていますが、安全性の確認と必要量の確保が難しいという問題があります。2月中旬に医療関係者への接種が始まり高齢者に接種できるのは「早くても4月1日以降」とされています。通常医療までひっ迫している人手不足の下で人員や場所が確保できるのか、マイナンバーに紐付けした新システムの導入などの準備が間に合うのか、事務量が増えて現場が混乱しないかなどの懸念も強まっています。
 政府がワクチン接種を焦っているのは、それなしには五輪・パラリンピックの開催が見通せないからです。しかし、世界の感染者が1億人を越えて収束の兆しが見えず、日本の感染状況も高止まりしています。安全でフェアな競技が可能でしょうか。早期に中止を決定し、全力で感染防止に取り組むべきではないでしょうか。

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2月18日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月18日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「長男の疑惑にも沈黙 菅政権が「透明性」を言うお笑い」

 16日の衆院本会議で武田総務相は「一日も早く調査を終え、処分を行い、関係法令に基づいて公表したい」と答弁。4人を処分して幕引きを図ろうという狙いだが、一連の流れは安倍前首相をめぐる森友疑惑とそっくりだ。
 公務員の秘書を従え全国を飛び回っていた昭恵夫人を「私人」と閣議決定し、野党が要求する国会招致を最後まで突っぱねた。体を張って政権を守った財務省の佐川宣寿理財局長(当時)などの幹部ら20人の処分発表でケリをつけようとしたものだ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「形式的な任命権しかない日本学術会議の会員候補については矩をこえて拒否した菅首相が組織委会長選出に『透明性』、長男をめぐる疑惑に『透明な形の対応』とはよく言ったものです。総務省の問題は国家公務員倫理規程抵触にとどまらず、口利きの疑いが色濃い。総理の家族であるという自らの立場、権力を利用している点では森友疑惑と全く同じ構図。違いがあるとしたら、『別人格』が閣議決定されていないことくらいでしょう。臭いものにフタをして7年8カ月もの安倍政権を官房長官として支え、アベ政治を引き継いだ菅首相はスキャンダルの体質まで継承している。その場しのぎでゴマカそうというやり口も全く同じです」

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2月13日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「もともと開催の資格なし 欺瞞の五輪にふさわしい断末魔」

 森の女性蔑視発言があぶり出したのは、日本の旧態依然とした男性社会の歪んだ感覚だ。既に世界のジェンダー意識が2回転ぐらいしている中、いまだ封建制をひきずり、ムラ社会の長老に異論を挟むのは決して許されない。こうした悪しき土壌の上で森発言は飛び出したのである。

 「トップの意向を忖度し『わきまえ』て、モノを言わずに従うのが美徳とされる。森発言を容認するような古い価値観に支配された日本の社会文化や組織の在り方が、国際社会に問われているのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 そもそも、安倍前首相が汚染水タレ流しの福島原発を「アンダーコントロール」と世界に大ウソをつき、裏金ワイロで招致を買い上げたとの疑惑も消えない。ウソとカネの力で五輪を招致した国には、もともと開催する資格などないのだ。

 前出の五十嵐仁氏が言う。

 「まさに泥にまみれた汚れた五輪です。招致成功以来、『そこのけ、そこのけ五輪が通る』で野放図に巨額の税金をつぎ込み、『復興五輪』とうたいながら、東日本大震災の被災地復興は後回しで足を引っ張った。アスリートファーストの理念も度外視し、安倍・菅両政権は政治的思惑を最優先。常に五輪を政権浮揚に利用し、安倍前首相は五輪開催と新憲法施行という自らの政治的野望と結び付け、恥じ入ることもない。IOCだって本音は儲け最優先です。だから、国立競技場の計画変更、エンブレムの盗作騒動など“呪われた五輪”でも無理を押し通し、揚げ句が『コロナがどういう形であろうと必ずやる』。この森会長の発言は恐らく自民党政権とIOCの共通認識でしょうが、もはや国際世論が許さないと思います」

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2月12日(金) 五輪組織委員会の森会長の辞任は当然だが根回しで高齢男性を後継に据えるのは大問題 [文化・スポーツ]

 とうとう居座ることができず、辞任することになったようです。東京五輪・パラリンピック組織員会の森喜朗会長のことです。
 自分で判断したのか、周りから引導を渡されたのかは不明ですが、辞任は当然で、遅すぎたくらいです。女性蔑視発言への批判や抗議の広がりによって「森」が大炎上し、家の「二階」にまで燃え移りそうになって、このままでは「ガス爆発」は避けられないと危機感を覚えたのでしょう。

 本来はもっと早く、このような発言が明らかになった段階で、身を引くべきでした。報道によれば、発言への批判を受けた直後に辞任する意向を固めていたにもかかわらず、遠藤利明副会長や武藤敏郎事務局長らの「組織委幹部から慰留され翻意」したそうです。
 「安倍晋三首相らからも電話があった」(『東京新聞』2月9日付)といいます。これがそもそもの大間違いだったのです。
 「金メダル級の女性蔑視」(国際人権団体)であったにもかかわらず、発言した本人にはその自覚が不十分で、周りには遺留するような人々ばかりだということが明らかになりました。それが放置されず、遅まきながら責任を取る形になったのは、日本にとっても五輪にとっても良いことだったと思います。

 その後継について「元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)で調整」というのも大きな問題です。またしても、84歳という高齢の男性が後任に選ばれようとしているからです。しかも、密室での根回しによって。
 今回の教訓を完全に生かそうとするのであれば、大会組織委員会の総意として森会長の責任を明らかにして解任し、後継にはもっと若い女性を選出するべきではないでしょうか。併せて、理事や評議員のメンバーも入れ替えて女性の割合を4割以上にするべきです。
 森会長に詰め腹を切らせるだけでは問題は解決しません。組織員会も日本社会も、このような蔑視や差別を認めずジェンダー平等へと舵を切る決意や方向性を具体的に示す必要があります。

 後任の選び方も問題です。川淵さんは森会長に「指名」され、二人で協議して後任を引き受けたようですが、そのような権限が森さんにあるのでしょうか。
 問題発言を引き起こして辞めていくのですから、後のことは残った人々に任せ、自分は口を出さないというのが、本来のあるべき姿でしょう。問題を引き起こして辞めざるを得なくなった前任者が後任を指名し、密室での根回しで事前に調整してガチンコ勝負での議論を避け、シャンシャン会合で追認するということで良いのでしょうか。
 このような組織運営のやり方も、今回のような蔑視発言を生んだ要因の一つだったと思われます。「わきまえない」女性が多くなると異論が出たり発言時間が長くなったりして「シャンシャン」で終わらず、このような組織運営に支障が出るという不満が森会長にあったのではないでしょうか。

 間もなく70歳を迎える私としては大変言いにくいことですが、高齢ドライバーはアクセルとブレーキの踏み間違いなどで事故を起こす確率が高くなるとして自主的な免許返納を求められているのが現状です。そのような国で、どうして80歳を超えた高齢者を国の重要なポストに付けるのでしょうか。
 辞めていく森会長も後任の川淵さんも、森さんを擁護した二階自民党幹事長も麻生副総理も、みな80歳以上の人たちばかりです。判断ミスによる失敗は国政などでは生じないと言い切れる根拠があるのでしょうか。

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2月11日(火) 五輪組織委員会は森会長を解任し女性の会長を選出して評議員と理事も女性を40%以上とすべきだ [文化・スポーツ]

 東京五輪・パラリンピック組織員会は臨時の会合で森首相の謝罪を受け、女性蔑視発言の幕引きを図るつもりのようです。それで、問題は決着して沈静化するのでしょうか
 そんなことをすれば、幕引きどころか国際社会における日本の評判はさらにがた落ちとなるでしょう。そのうえ、五輪・パラリンピックも中止ということになれば、踏んだり蹴ったりです。

 内外からの批判をかわして国際社会の信用を回復するためには、自己の女性蔑視発言に対する責任をきちんと取らせ、ジェンダー平等の実現に向けての決意をはっきりと示すことが必要です。
 そのためには、臨時会合の総意として森会長を解任するだけでなく、後任に女性の会長を選ぶことが必要です。そして、五輪組織委員会の評議員と理事を選びなおし、40%以上を女性としなければなりません。
 そうすれば、組織委員会が森会長の発言に同調していないことも、日本社会が女性に対する蔑視や差別を許していないことも、はっきりと示すことができます。国際社会での日本の名誉と信頼を回復する道はこれしかありません。

 いったんは森会長の謝罪を了承したIOCは、改めて「完全に不適切」だとする声明を発表しました。国際社会での批判の高まりに、IOCとしても厳しい対応を迫られたということでしょう。
 また、五輪開催都市のトップである小池百合子都知事は、IOCのバッハ会長、森組織委員会会長、橋本五輪担当大臣との4者会談に出席しない意向を表明しました。現状では、ポジティブな発信につながらないというのがその理由です。
 森さんと顔を合わせたくないということでしょう。言外に退陣を迫っているという解釈も可能です。

 橋本五輪担当相は森会長の去就について「組織員会が決める」としていますが、その森会長の続投が認められれば、さらに大きな波紋が広がることは避けられません。それは大会の開催を不可能にするほど大きなものとなるでしょう。
 大会を支えるボランティアはすでに500人以上が辞退し、聖火リレーの辞退も広がり、さらに増える可能性があります。大会スポンサーへの抗議もあり、トヨタの社長が「価値観が異なり、誠に遺憾」と発言するなど経済界からも批判の声が上がっています。
 国内の選手たちからも批判の声が生じていますが、コロナ禍が収まっていない日本に行きたくないと思っている外国選手の中には、参加を辞退する人も出てくるかもしれません。今回の問題を機に東京五輪をボイコットする国も出てくる可能性があります。

 政府や自民党は火消しに躍起ですが、二階自民党幹事長の「どうしても辞めたいなら新たなボランティアを募集する」という発言は火を消そうとして石油をぶっかけたようなものでした。もし組織委員会が森会長の謝罪だけで幕引きを図ろうとすれば、同じような結果になるでしょう。
 日本という国は、前時代的な価値観に染まっている国だとして国際社会の顰蹙を買うことになります。大会組織委員会は五輪精神を守ることも、それに反する言動への責任を取らせることもできない旧態依然たる無責任な団体だと告白するようなものです。
 コロナ禍による死者は最多を更新し非常事態宣言を解除できず、女性蔑視発言の責任を取らせることもできない。イエローカード2枚で、レッドカードになろうとしていることが分からないのでしょうか。

 IOCにはしごを外され、小池都知事には引導を渡され、ボランティアからは見限られている。これでも五輪の開催を強行しようというのでしょうか。
 少しでも事態を打開する道は一つしかありません。森会長を解任して責任を取らせ、代わりに女性の会長を選び、組織委員会の構成をジェンダー平等の視点から組み替えることです。
 そうすれば、今回の女性蔑視発言問題の教訓を生かし、多様性を尊重する社会へと生まれ変わることができるにちがいありません。それだけの力を日本社会が持っているかどうかが、いま問われているのです。

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2月9日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「居直り答弁に国民はア然だ 菅首相の鉄面皮と弱腰野党」

 8日解除されるはずだった緊急事態宣言が、栃木県をのぞく10都府県で約1カ月の延長期間に入った。

 7日国内で新たに確認された新型コロナウイルス感染者は1631人と、6日ぶりに2000人を下回った。東京は429人で、10日連続で1000人を下回り、西村担当相が当初、宣言解除の目安として挙げた「1日当たり500人以下」をクリアする水準になってきた。 

 すると、さっそく政府内から出てきたのが緊急事態宣言の解除を急ぐ声だ。10都府県について、これまでも期限前の解除もあり得ると言っていたが、今週中にも解除の判断を検討するという。12日に専門家らの諮問委員会と対策本部の開催が予定されていて、そこで判断する可能性もある。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「緊急事態宣言の延長を決めたばかりなのに、早くも解除に舵を切ろうとしている。この政権がいかに場当たりかということを表しています。そもそも、感染者数が減ってきたのは多くの国民が努力と我慢をしてきたからであって、政府が何か有効な対策を打ったわけではない。まるで政府のコロナ対策がうまくいって宣言解除が早まったように喜ぶのは違うし、新規感染者数が減っても死者数が急増している。問題は、これが人災だということです。GoToキャンペーンで全国に感染を広げた反省はあるのでしょうか。キャンペーンを再開するために緊急事態宣言を早期に解除しようとしているのなら、目も当てられません」

 世界80カ国・地域で新型コロナワクチンの接種が始まっているのに、なぜ日本では、まだなのか。欧米よりもはるかに感染者数が少ないのに、自宅療養患者が亡くなるような医療崩壊を招いたのはなぜなのか。 

 ワイドショーでは蓮舫の追及が「おじいちゃんをイジメているように見える」などというタレントの発言を垂れ流していたが、菅はただの弱々しいおじいちゃんではない。この国の最高権力者だ。しかも、弱者に目を向けようとせず、「最終的には生活保護がある」などと言って突き放し、国民をイジメている側なのである。

 「首相はあらゆる問題について、最終的な責任がある。それを追及されるのが嫌なら辞めるべきです。いまだに頭の中は官房長官のままで、政権に降りかかる厄介事を振り払うのが仕事だと思っているのでしょうか。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、女性差別意識に満ちあふれた暴言を吐いた問題にしても、菅首相は『あってはならないこと』と言っていましたが、だったら、なぜ辞めさせないのか。これだけ世界的な問題になっていて、森会長に辞任を迫れるのは首相だけなのです。官僚機構や日本学術会議の人事には必要以上に手を突っ込んできたくせに、森会長の処遇に関しては、まるでトバッチリのような態度で他人事を決め込んでいる。組織委も内閣も、その任にふさわしくない人物がトップに立っていることは、日本にとって不幸でしかありません」(五十嵐仁氏=前出)

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2月7日(日) 東京五輪組織員会の森会長を解任し五輪も中止するべきだ [文化・スポーツ]

 呆れてものが言えません。やっぱりこんな人だったんですね。
 とっととクビにして、東京五輪・パラリンピックも中止にするべきでしょう。

 問題になっているのは、「女性理事を選ぶって文科省がうるさく言う。だけど、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」という東京五輪・パラリンピック組織員会の森会長による発言です。JOC臨時評議員会でなされたものです。
 「笑い」を取るために、軽い気持ちでこうあいさつしたのでしょう。本人はこれほど大きな問題になるとは思っていなかったにちがいありません。
 聞いていた人たちも、この発言が多様性と男女平等をめざす五輪の精神とかけ離れていることに気づかなったのでしょう。誰も咎めず笑い声さえ漏れたといいますから。

 この発言も大きな問題ですが、その後に行った謝罪会見も酷いものでした。口では「謝罪」の言葉を述べていましたが、その言動から「反省」よりも「居直り」の印象の方が強く残りました。
 「オリンピック精神に反する発言をした人物は組織委の会長に適任か」と問われて「さあ、あなたはどう思う」と反論し、「適任ではないと思う」と言われ、「じゃあ、そういうふうに承っておく」と答えています。自分の考えを言わずに逃げてしまいました。
 また、「そういう話はもう聞きたくない。面白おかしくしたいから聞いてんだろ」と質問をさえぎり、「何が問題と思っているのか聞きたい」という質問に「だからさっきから話している通り」と居直っています。これが、真摯に反省した責任ある受け答えだと言えるのでしょうか。

 でも、森会長はもともとこんな人だったのです。「背広を着た失言」であり「歩く暴言男」のような人ですから、このような発言は意外でも珍しくもありません。
 首相時代にも、「教育勅語は悪いところも、いいところもあった」「日本は天皇中心の神の国だ」「無党派層は投票に行かないで寝てくれればいい」などの問題発言を連発し、内閣支持率が6%台にまで急落して退陣に追い込まれています。その後も、「子供を作らない女性を税金で面倒を見るのはおかしい」などの問題発言を繰り返し、「鮫の脳みそ」と顰蹙を買っていました。
 このような人を東京五輪・パラリンピック組織員会の会長に据えたことが、もともと間違っていたのです。五輪精神に反し、その何たるかを全く理解していない人物を、その最高責任者にしてしまったのですから。

 今回の発言とその後の対応は、この間違いを全世界に向けて白日の下にさらしてしまいました。我が国にとっては大きな「恥」にほかなりません、
 日ごろ「日本は優れている」と豪語している「愛国者」の皆さんは、このような会長の下で五輪が開かれることを容認するのでしょうか。まともな五輪を求めるのであれば、このような「愛国者」の皆さんこそ、森会長の辞任を要求するべきではありませんか。
 しかし、コロナ禍の下で五輪開催について国際的な懸念と批判が高まっている現状では、もはや「辞任」ではなく「解任」が必要でしょう。本人は全く辞める気は無いようですし、そのようなまともな判断も期待できないでしょうし。

 このままでは、日本社会は五輪精神に反した会長の下での五輪開催を強行することになってしまいます。国際社会からの孤立を防ぎ、多様性とジェンダー平等を推進する社会であることを示すためにも、森会長を辞めさせて五輪の開催を中止することが必要なのではないでしょうか。

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2月2日(火) 自民党はここまで腐ってしまったのか [自民党]

 「自民党はここまで腐ってしまったのか」と暗澹たる思いに駆られました。またもや、明確な「嘘」だったからです。
 「ポスト・トゥルース」の「フェイクの時代」にどっぷりとつかっているのが自民党だということになります。トランプとともに、とっとと歴史の舞台から退場すべきです。

 国会議員が緊急事態宣言中の午後8時以降に銀座のクラブを訪れていた問題です。すでに、公明党の遠山清彦前幹事長代理が議員を辞職しています。
 これに続いて、同様の問題で自民党の松本純前国会対策委員長代理と田野瀬太道議員、大塚高司議員の3人が二階幹事長の離党勧告を受けて自民党を離党しました。松本議員はこれまで「銀座には1人で行った」と説明していましたが、この3人で訪問していたことを認め、説明が嘘だったことが判明したからです。
 この問題を受けて、菅総理大臣は昨夜陳謝し、野党の求めに応じる形で今日、国会で自ら説明することにしています。同様の問題を指摘されていた公明党の遠山議員は辞職して次の衆院選には出馬しないことを表明しました。

 安倍前首相の「桜を見る会」前夜祭での会費補填、河井夫妻の選挙違反事件、鶏卵をめぐる吉川元農水省の贈収賄容疑などに次いで、コロナ禍の下での夜の会食をめぐる不祥事の続発です。どうして、このような問題が相次いで生じるのでしょうか。
 それは、人と会って金を集めたり配ったり、飲み食いしたりさせたりするのが、自民党などの伝統的な政治スタイルになっているからです。「政治とカネ」の問題や飲み食いに関わる不祥事が絶えないのは、そうすることこそが「政治」だと思い込んでいるからにほかなりません。
 このような例は、かつて大きな批判を浴びた「料亭政治」から今日の「政治資金パーティ―」に至るまで、枚挙に暇がありません。与党になった公明党の一部も、このような風潮に染まってしまったということでしょう。

 自民党では、政策を勉強する朝食会、弁当付きでの派閥の会合、夜ごとの情報交換など、常に飲食が伴う形で意見交換や交流が行われてきました。そこに政治資金を支出するのは当たり前となり、そのための資金集めもパーティ―のような形で行われます。
 これでは、いつまでたっても問題は解決しません。自民党にとっては身に付いてしまった構造的な問題なのですから。
 今回の問題に対しても二階幹事長は離党勧告を行ったにすぎません。本来であれば自民党を除名し、遠山議員と同様に議員を辞めるよう辞職勧告を行うべきでした。

 「政治とカネ」の問題でも、コロナ禍の下での飲食をめぐる不祥事についても、自民党はけじめをつけることのできない政党に成り下がってしまったのです。それだけではありません。
 今の自民党は新自由主義にこだわり、自己責任を強調して公助やケアを軽視し、「ブラック・ライブズ・マター」や「ミーツ―」運動が提起する差別撤廃、人種平等やジェンダー平等に背を向け、「核なき世界」をめざす反原爆、脱原発の流れを無視しています。このような理念や政策はもちろん、金まみれで飲み食い中心の政治スタイルにおいても、自民党は時代遅れの政党になっているというしかありません。
 時代に取り残されている政党は、一日も早く政権の座を離れるべきです。その機会は間もなくやってきます。

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1月31日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月31日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「悪夢のような菅政権 腐った与党より野党の方がずっとマシ」

 自民党は安倍・菅と続く8年にわたる長期政権で、国民の生活が目に入らない「オレ様政党」になってしまった。慢心の行き着いた先が、国民に大人数での会食自粛を求める中での菅と二階の「高級ステーキ会食」だ。「8人で会っただけで、飯を食うために集まったんじゃない」と二階は開き直ったが、政権幹部が厚顔だから、下もユルユル。松本純国対委員長代理が緊急事態宣言下の深夜に、銀座のクラブをハシゴしていたことがスクープされただけでなく、連立を組む公明党の遠山清彦幹事長代理の銀座のクラブ活動も発覚。まさに「鯛は頭から腐る」である。

 松本と遠山は党の役職を辞任、両党のトップは「迷惑をかけた」(公明党・山口代表)、「私どももすみません」(菅)と互いに謝罪し合ったというが、謝るべき相手は国民だろう。

 許せないのは、そんなフザけた政権が、国民に対しては刑事罰の導入を強行しようとしたことだ。政府は感染症法の改正案で、入院措置を拒んだ患者に1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科そうとした。与野党協議の結果、前科の付く刑事罰は見送られ、50万円以下の過料という行政罰に修正されたが、破廉恥極まりない。

 そのうえ、罰則導入については、15日に開かれた厚労省の感染症部会で慎重な意見が多数だったことも分かった。それなのに田村厚労相は国会で「おおむね賛成だった」と答弁していたから大問題だ。反対意見多数が明記された議事録は、27日夜まで公開が遅れ、立憲民主党など野党は「隠蔽だ」と非難している。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「菅政権はコミュニケーション能力がないため、国民に理解を求め、自発的に協力してもらうことができず、罰則という力ずくで従わせようとする。さらには、専門家が罰則導入に反対意見だったのに、学術的知見を軽視する。一種の反知性主義でもあります。緊急事態宣言下に銀座のクラブへ行くという行動もそうですが、長期政権の成功体験で今の与党には緊張感がなくなっている。国民に寄り添い、弱者の声に耳を傾けることもない。激しく劣化してしまいました」


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1月27日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「国会答弁でまだ下がる 菅支持率は「底なし」の様相」

 政府分科会の尾身茂会長がトラベル事業停止にたびたび言及してもガン無視したくせに、収拾がつかなくなると「専門家」を連発。江田が「いいとこどりをやっている」と嫌みを言った通りなのである。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

 「菅首相は体調がすぐれないとのことでしたが、それにしても新型コロナ対策への自信のなさがアリアリと伝わってきました。中身がないばかりでなく、首相のコミュニケーション能力の欠落が問題の根幹にあるのもハッキリした。菅首相に対する最大の風は首相自身なんじゃないか。国会審議は波瀾万丈の展開になるでしょう」

 朝日新聞の世論調査(23~24日実施)によると、内閣支持率は前月比6ポイント減の33%まで下落。「危険水域」の30%割れが目前だ。不支持率は10ポイント増の45%で、不支持が支持を上回る逆転現象は常態化。新型コロナをめぐる政府の対応を「評価しない」は7ポイント増の63%に上り、菅が新型コロナ対策で指導力を「発揮していない」が3ポイント増の73%を占めた。

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