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8月4日(木) 参院選の結果とたたかいの課題 [論攷]

〔以下のインタビュー記事は安保破棄中央実行委員会の機関紙『安保廃棄』第495号、8月号に掲載されたものです。〕

 改憲と大軍拡を止めるために何が必要か

◇今回の参議院選挙の結果をどのように見られますか。

 自民が支持減らして勝った理由

 五十嵐 自民党は勝ったというより勝たせてもらった、野党が負けたといったほうが良いのではないでしょうか。野党側のある種の“オウンゴール“だったと思います。自民党は支持を減らしたのに全体としての議席を増やし、改選過半数を獲得しました。その結果、公明党が1議席減らしたのに与党議席で参議院の多数を維持することができたのです。
 しかし、自民党の比例票を昨年の総選挙と比較すれば165万票も減っています。議席も1減っており、有権者比の絶対得票率は16.8%にすぎず2割未満です。
 自民党は支持を減らしていたのに、なぜ議席を増やすことができたのか。それは野党が1人区で「1対1」の構図に持ち込むことができず、自民党が28勝4敗と圧勝したからです。
 立憲民主は野党第1党として野党をまとめて自民党と対抗する陣立てをつくる責任がありました。しかし、共闘に対して後ろ向きで十分な役割を果たすことができませんでした。そのために期待を裏切って信頼を失い、とくに1人区で勝てず、大きな敗北を喫しました。共産党は比例で総選挙から56万票減らし、議席も6から4に後退しています。維新が議席を増やしたのは、生活苦に不満を持つ中間層の受け皿になったからではないでしょうか。

◇野党が前進できなかった原因はどこにあると思いますか。

 政権すり寄りで野党共闘が後退

 五十嵐 端的にいえば、総選挙の総括を間違えたからです。その結果、とるべき方針とは逆の方向を選択してしまった。戦術的失敗と戦略的混迷です。
 戦術的失敗というのは、「野党は批判ばかり」という批判にたじろいでしまったことです。国民民主の場合は「対決よりも解決」として政権にすり寄り、立権民主も「対案路線」に転換し、選挙前の通常国会では政権批判を十分展開できませんでした。結局、「翼賛体制」づくりの波に呑まれたということです。これでは政権を追い込めません。
 2つ目の戦略的混迷とは、野党共闘の重要性を理解できなかったということです。野党共闘の意味は、当面の選挙で勝つための戦術というレベルにとどまりません。政権交代を単独で実現できない以上、立権・共産・社民・れいわの立憲野党による連立政権を戦略目標として追求するしかありません。この点で腹をくくらなければならなかったにもかかわらず、その位置づけが不十分で共闘に腰が引けたまま本気の取り組みができませんでした。
 総選挙の時は市民連合を仲立ちにして政策協定を結び、各党首が署名しました。しかし、今回は口頭了解で、32の1人区のうち、ようやく実現した11選挙区での共闘も形だけにとどまりました。複数区でも、野党が共闘すれば勝つ可能性がありましたが、それを汲みつくせず、野党は負けるべくして負けたと言えます。
 
◇選挙後の岸田政権の特徴とたたかいについて。

 改憲・軍拡が容易ならざる局面

 五十嵐 容易ならざる危険な局面に立ち至ったと思います。
 昨年の衆議院選挙で改憲議論に反対しない勢力が3分の2を超えていますし、今回の選挙でも、自民・公明・維新・国民民主が3分の2を大きく超えました。
 昨年の総選挙以降、衆議院の憲法審査会では予算審議と併行して議論したり、毎週議論したり、自民党の改憲4項目についても議論するなど、暴走が始まっています。今後は衆議院と歩調を合わせて暴走する危険性があります。自民と維新、公明と国民の間の違いがありますが、今後は改憲発議に向けて動き出す可能性もあり、それを阻止する運動が重要になってきます。
 また、岸田政権は年内に改定される国家安全保障戦略など3文書に大軍拡方針を書き込むこと、来年度予算に向けて軍事費を増やし、5年以内にGDP比2%、11兆円にまで増大することをめざしています。「反撃能力」=「敵基地攻撃能力」保有は、国連憲章の禁止する先制攻撃につながります。軍拡競争の激化を招くことは確実です。

 9条の役割を歴史に即し明確に

 この問題で大事なのは、憲法9条のありがたさ、これを変えることで失うものの大きさを説得的に発信することです。憲法9条は戦争に巻き込まれることを防ぐ「防波堤」です。逆に、安保条約=日米軍事同盟は日本を戦争に引き込む「呼び水」でした。
 その実例は、アメリカが始めた不正義のベトナム戦争やイラク戦争です。安保があるために日本は協力させられましたが、憲法9条があるために全面的な参戦は求められませんでした。ベトナムに自衛隊を送らなかったことは非常に大きなことです。韓国は延べ30万人の兵士を送り、5千人近い若者が命を失っています。日本は憲法9条の制約によって、このような悲劇をまぬかれました。
 イラク戦争で自衛隊はイラクに派遣させられましたが、サマワで陸上自衛隊は給水や道路補修などに従事して戦闘には加わっていません。殺すことも殺されることもなかった。イラクに行った自衛隊は9条のバリアーに守られていたのです。9条を変えることはこのバリアーをなくすことになります。このことを国民に思い出してもらうことが大切です。

 米軍基地・安保のない構想を

 沖縄の米軍基地も日本や沖縄にとってだけでなく、アメリカにとっても無いほうが良かったのです。ベトナム戦争でアメリカの若者が5万8千人も亡くなっています。アメリカはトンキン湾事件をでっちあげてベトナムに軍事介入しましたが、ベトナム戦争で国際的地位を低下させ、ドルの支配力を弱め、多くの若者を失いました。
 沖縄の基地がなければベトナム戦争に介入していなかったかもしれません。あれだけ長く続けられなかったかもしれない。アメリカは基地があったから、戦争という強硬手段に出てしまった。
 いま、アメリカが中国包囲網を強めて「台湾有事」が危惧されています。この問題でも、沖縄や南西諸島に米軍や自衛隊の基地が無いほうが良いのです。アメリカが始めるかもしれない戦争にブレーキがかかるからです。近くに基地があるからということで戦争を始められたら大変なことになります。戦争しにくい状態をつくっておくことこそが戦争を防ぐことになります。この点でも、沖縄の基地を1日も早く撤去することが重要です。
 日本は、本来であれば憲法9条に基づいて平和外交ビジョンを示さなければなりませんでした。それは、①必要最小限の防衛に徹して海外派兵を行わない、②軍事同盟に加盟せず外国の軍事基地を置かない、③仮想敵国をつくらず、対立する国のどちらにも加担しない、④東南アジアの非核武装地帯を東北アジアにも拡大する、⑤すべての国を含む集団安全保障体制を東アジアに構築するというものです。
 このようなビジョンの実現をめざして安保条約のない平和構想を示さなければなりません。それが9条改憲を許さない世論作りにも、大きな力になると思います。


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8月2日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月2日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「こんな連中しかいないのか 自民党の2世3世のろくでもなさ」

 世襲議員の多い自民党内でも、祖父・父ともに首相経験者は福田のみ。ピカピカの政界サラブレッドは次世代の首相候補として、もてはやされている。昨年の総裁選では、かつて祖父が設立した「党風刷新の会」をもじり、若手有志「党風一新の会」を率いて岸田首相を支持。その論功もあって当選3回ながら“目玉人事”として総務会長に抜擢された。そんな恵まれ過ぎる政治家3世の「オツムのレベル」はたかが知れていることが、今回のデタラメ発言と認識でよ~く分かった。

 まさに2世、3世議員がはびこる自民党のお里が知れる劣化だが、その象徴は安倍元首相だろう。統一教会との癒着は親子3代。安倍自身、選挙のたびに統一教会の組織票を差配する役割を担っていた旨を、引退した伊達忠一前参議院議長に指摘されている。

 自民党と反社教団との癒着を深め、現トップの韓鶴子総裁に敬意を表するビデオメッセージまで送った人物が、長く首相を務めたというだけで最高位勲章「大勲位菊花章頸飾」の授与が決まり、国葬で見送られるのだから、世も末である。

 安倍の国葬に際し、小中学校に半旗掲揚を要請する自治体も相次いでいるが、このレベルの政治家を「偉大だ」と崇めていいのか。おまけに安倍後継の4代目も実兄の長男が有力視される一族タライ回しとなりそうで、それを当然のように認めるであろう自民党のトップはこれまた3代目。祖父も父も衆院議員だった岸田である。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「親の信仰で自由や財産を奪われる『宗教2世』の問題がクローズアップされていますが、政界の2世、3世とは好対照です。不幸のどん底に追い込む統一教会に支援され、権力の座を世襲するとはいいご身分です。自民党内から教団との関係を切れという声が上がらないのは、もはや身内意識が強く、教団の実態を客観視できないからでしょう。また、世襲議員の多くは選挙に強く、世の動向とは無関係に当選するから、世論の批判に機敏に対応できない。苦労知らずの世間知らずは世襲3代の岸田首相も同じ。世論を見極めもせず、安倍元首相の国葬を即断即決したことに世襲議員の甘さがうかがえます」

 岸田以下、自民党内にはこんな連中しかいないのか。国民はただただボー然とするほかない。


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7月31日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月31日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「恐るべき感覚 総汚染の自民党も岸田内閣も統一教会を切る気なし」

■自民党こそ愛国心教育が必要

 山上がしたことは許されざる暴挙だが、背景には、旧統一教会に家庭を壊された恨みがあった。旧統一教会が抱える問題が犯行を誘発し、安倍が衆人環視の下で銃殺された。

 自民党が国葬で遇するほどの大物政治家なのである。安倍派にしてみれば親分を殺されたのだ。岸にいたっては肉親だ。それなのに、旧統一教会を非難する声は自民党内から聞こえてこない。怒りに震えて「関係を切る」と言い出す議員もいないのはなぜなのか。

 「政権中枢 までカルトに汚染され、マインドコントロールされているのではないかと疑ってしまうレベルです。日本人の財産を巻き上げ、韓国に貢ぐことを教義としているカルト集団と癒着している政党のどこが“保守”なのか。自民党の政治家こそ愛国心教育が必要でしょう。ところが、幹事長は『組織的な関係はない』と言い、総務会長も『何が問題か分からない』と言ってフタをしようとしている。あまりに多くの所属議員が関わっているため、党としての調査ができないのかもしれませんが、これほど自浄能力がない自民党に政権を任せていたら、内部から他国に侵略されてしまう懸念すらある。警察や防衛まで侵されていたら国家の危機です」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 自民党に自浄能力がないのなら、メディアが厳しく追及するしかないのだが、残念ながらそれも期待薄だ。

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7月27日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「日に日に反対論噴出 安倍国葬は岸田政権の命取りになるだろう」

 9月27日の実施が閣議決定された安倍元首相の国葬も、その是非をめぐり国論が二分されつつある。「あんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫び、社会の分断をあおった人物を弔うのに“ふさわしい”ということなのだろうか。岸田首相はつくづくバカなことをしたものである。

 自民党の茂木幹事長は「国民から『いかがなものか』との声が起こっているとは認識していない」と強気で切り捨てたが、安倍の国葬について「いかがなものか」という反対の声が日に日に増している。

 21日には市民団体が閣議決定と予算執行の差し止めを求める訴えを東京地裁に起こした。22日は、首相官邸前で市民数百人が反対デモ。「国会でしっかり議論すべし」「岸田首相は政権維持のために政治利用している」などの批判が上がった。南日本新聞(鹿児島県)が22~23日に実施したアンケートでは、「反対」72.2%で「賛成」の23.1%を大きく上回ったという。

 実際、世論は賛否が割れている。それは“安倍シンパ”メディアの世論調査でも実証された。23~24日に行われた産経新聞社とFNNの合同世論調査で、政府の国葬決定について「よかった」「どちらかと言えばよかった」が50.1%、「よくなかった」「どちらかと言えばよくなかった」が46.9%と賛否拮抗だったのだ。

■勇み足で政争の具に

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「外国からの弔電がたくさん届き、献花に行列もできた。これなら国葬をやれる、自民党内の右派のご機嫌も取れる、と踏んだ岸田首相は勇み足でした。時間が経てば、国葬には問題がたくさんあることに世論が気づくのは当然です。まず“特別な人”として国が旗を振って弔意を示すのは戦前の制度であり、法の下の平等の今の時代にはそぐわない。次に、法的根拠が曖昧なのに、国会で議論することなく内閣が勝手に決めるのはおかしい。極め付きが、誰あろう、功罪の「罪」が多い安倍氏ですよ。ただ歴代最長だからでは納得できません。結局、国葬にしたから政治問題化した。遺族はいたたまれないでしょう。慣例通り『内閣・自民党合同葬』にして、静かに故人の冥福を祈る方が、遺族にとってはよかったのではないですか。岸田首相が国葬を政治的に利用しようとしたから、政争の具になってしまったのです」

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7月24日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月24日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「ずさんな検証、繰り返される場当たり 人災コロナ第7波に国民の怒りと悲鳴」

■なぜこの2年間の失敗に学ばない

 日本がコロナに襲われてから2年も経つのに、岸田はこの間、何を学んできたのか。安倍政権も、菅政権も、感染の大波が起こるたびに慌てふためき、対策が後手に回っていたが、岸田も同じ失敗を繰り返している。

 最悪なのは、過去の失敗の検証さえしようとしないことだ。

 過去2年間のコロナ対策を検証した「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」は、いい加減の極みだった。わずか1カ月で報告書をまとめたため、中身はスカスカ。関係者へのヒアリングはたった2回しか行わなかった。キーマンである新型コロナ対策分科会の尾身会長への聴取はわずか7分間である。安倍元首相と菅前首相にも話を聞いていない。これでどうやって過去の失敗を検証するのか。

 この2年間で海外はコロナへの対応を大きく変えている。欧米諸国でも感染は拡大しているが、多くの国民がマスクをつけずに過ごしている。感染しても簡単に医療にアクセスできる安心感が背景にあるという。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「欧米各国はこの2年間から学び、対策を充実させてきたのでしょう。ところが、日本は過去の教訓に学ばず医療体制の整備を怠ってきたわけです。日本にも欧米に劣らない質の高い医療がある。にもかかわらず、また医療逼迫を招いているのは、行政のマネジメントができていない証拠です。岸田政権は何もしていないのも同然でしょう」

 結局、岸田がやっているコロナ対策はただの“神頼み”に過ぎない。第7波が落ち着いても、また同じ過ちを犯すに違いない。ご自慢の「岸田ノート」には、何も書いてこなかったのではないか。


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7月21日(木) 『しんぶん赤旗』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『しんぶん赤旗』7月20日付に掲載されたものです。〕

 9条改憲阻止
 安倍「遺志」で正当化許されず

 最高位の勲章の授与や国葬の決定など、選挙中に銃撃され死亡した安倍元首相礼賛を極限まで推し進める中で、安倍改憲継承を「正当化」する異常な動きが強まっています。文字通り「安倍なき安倍改憲」を急ぐ動きです。

 「安倍元総理の思いを受け継ぎ、特に情熱を傾けてこられた拉致問題や憲法改正など、ご自身の手で果たすことができなかった難題に取り組んでいきます」
 岸田文雄首相・自民党総裁は参院選の投開票翌の翌11日の記者会見でこう述べました。
 会見で岸田氏は安倍氏を「世界から愛された偉大なリーダー」と礼賛。同日の持ち回り閣議では、安倍氏に最高位の勲章である大勲位菊花章の頸飾、大勲位菊花大綬章の授与を決め、14日には岸田首相が安倍氏の国葬を行うと発表しました。
 この動きついて五十嵐仁法政大学名誉教授(政治学)は、「憲法の問題は最終的に国民の意思に委ねるべきこと。安倍さんがどういう業績をやったか、有名人であるかということと全く無関係で、一人の政治家の遺志によって憲法の問題が左右されるということはあってはならない」と指摘。「それこそ憲法の主権在民の主旨に反します。国民投票の制度を設けているのも民意に委ねるためだし、改憲の発議権も国会の権限だ」と語ります。

 政治的に利用

 選挙後に示されている改憲問題での国民の意思はどうか。時事通信社が投票日に実施した出口調査では、有権者が最も重視した政策で「景気・雇用対策」30・2%、「年金・介護・医療」が15・7%などの一方、「憲法改正」は4・7%にとどまりました。参院選の結果をうけて共同通信社が実施した世論調査では、「憲法改正を「急ぐべきだ」37・5%に対し、「急ぐ必要はない」の58・4%が上回りました。
 五十嵐氏は「人の死、不幸を政治的に利用して、特定の目的を達成するという死者への冒とくだ」と批判。「安倍政治の正当化と美化、偶像化で安倍さんを引っ張り上げ、自分も引っ張り上げ、評価を高めてもらおうという意図が透けて見える。しかし、安倍政治には『功罪』などというものはなく罪ばかりだ。こういう人の遺志を継ぐことで憲法に手を付けるのは二重三重に間違っている」と述べます。
 集団的自衛権行使容認の解釈・立法改憲の強行で立憲主義の破壊した安倍元首相。その人に改憲を語る資格はないと、野党が「安倍改憲阻止」のスクラムを組み、草の根の世論と結んで2018年から21年の通常国会まで9国会連続で自民党改憲案の憲法審査会での実質審議を阻んだ経験もあります。
「安倍改憲の継承」は、再び大きな国民的反発を引き起こす可能性もはらんでいます。

 岸田首相はロシアのウクライナ侵略に乗じて、憲法9条の改定を声高に主張。外交・安全保障に対する国民の関心は高まっています。
 法政大名誉教授の五十嵐仁氏は「ウクライナ危機を契機にして国内で、きな臭い軍事主導論の雰囲気が高まりました。世論調査でも軍備増強が高まりました。そういう点では安全保障に対する不安感が高まっているという事はある」と指摘。「だからこそ、真の安全保障、軍事対軍事で戦争に結びつかないような形で国の安全をいかに確保するか。そこを冷静に議論しなければならない時点だ。戦争を準備すれば、戦争を引きよせることになってしまう。だから『軍事力対軍事力』の罠にはまってはならない」と語ります。

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7月20日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月20日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「アベノミクスの大罪 1ドル=140円で庶民の暮らしはどうなるのか」

 「安いニッポン」で円の価値が恐ろしく低下しただけじゃない。一時的な痛み止め策だったはずのアベノミクスの異次元緩和を長く続けていることで、日本企業の競争力まで低下させてしまった。

 円安誘導によって株価が上がり、為替差益で稼ぐことに慣れ切った輸出企業は、自らイノベーションや成長の努力をしなくなり、通貨安に依存しなければ収益を上げられない体質になってしまったのだ。その意味でも、アベノミクスの罪は重い。

 安倍は亡くなる直前までアベノミクスを自画自賛し、「日本銀行は政府の子会社」だから国債を大量に買わせてもいいと発言。岸田に対しては、来年4月に任期満了を迎える黒田総裁の後継人事にも介入して、アベノミクスを継続させようともしていた。

 急逝により安倍が異次元緩和の落とし前をつけられないのならば、代わりに岸田が動くべきじゃないのか。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「岸田首相は参院選の街頭演説でも、ロシアによるウクライナ侵攻を物価高の理由にし、世界と比べれば日本は上昇率を抑制できているなどと言っていました。しかし実際は、円安が物価高を加速しているのであり、上昇率は他国と比べて低くても、日本は賃金が増えていないので、庶民生活に与える打撃は大きい。最近、生活困窮者の支援やフードバンクなどのボランティアが拡大しています。本来は、行政が支援すべきことです。アベノミクスが物価高の出発点になっているのは間違いなく、原因をつくった元首相の国葬より、困っている国民のために税金を使うべきなのです」

 死者にムチを打たないのが日本人の美徳とはいえ、怒りの声を上げなければ、庶民の暮らしは良くならないどころか、悪化するばかりだ。

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7月19日(火) 無党派層で一位だった山添さんの運動に学ぼう [コメント]

〔以下の談話は『しんぶん赤旗』日曜版、7月17日付に掲載されたものです。〕

 参院選の結果で大いに学びたいのは、東京選挙区で3位当選した山添拓さんのたたかいです。NHKの出口調査で無党派層の投票先1位でした。選挙ボランティアに若い人の姿も目立ちました。
 山添さんは「憲法が希望」と憲法9条にもとづく平和構築を直球で訴え、ほかの野党との違いが明確でした。大軍拡や9条改憲に反対する都民の願いを受け止め、維新の候補を退けて当選することができたのです。
 他方、日本共産党は比例で改選議席から2議席減らしました。野党共闘を進めるとともに、共産党の自力を強め支持をどう増やすのかを考えなければなりません。共同通信の出口調査によると、60代以上と20代で共産党の支持率が5%を超えます。貧困化や物価高が直撃する若い世代に支持が広がっているのは「希望」です。
 今回、自民党は比例で1議席減ったにもかかわらず、選挙区を含めた全体では議席を伸ばしました。これは野党共闘が不十分で、一人区で漁夫の利を与えたからです。
 立憲民主党は昨年の総選挙の総括を誤り、政権批判や共闘に及び腰でした。一部の一人区で候補者を一本化しましたが、限定的なものにとどまりました。
 これから最大の課題となるのは、大軍拡・改憲を止めて平和を守ること、新型コロナと物価高から命と暮らし、営業を守ることです。
 改憲勢力が3分の2超といっても、9条改憲への態度は一様ではありません。野党が結束して国会論戦で岸田政権を追い込み、市民が草の根で世論を喚起すれば、改憲の企てを阻止することは可能です。
 野党共闘の本気度が伝わって初めて、政治に緊張感が生まれ、国政選挙での投票率が上がり、政権交代の展望も開けます。活路は本気の共闘にしかありません。


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7月18日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月17日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「民主主義まで持ち出して安倍国葬 この国を覆う空気の薄気味悪さ」

■外交も経済も「負の遺産」ばかり

 自民党の高市政調会長は「国際社会で大きな存在感を示し、実績を残された。国葬は当然だ」と豪語。大マスコミや専門家の間でも「日本の国際的地位を一定程度築いた」などと“外交の安倍”を評価する声が上がっているが、冗談じゃない。トランプ米大統領を必死にヨイショし、米国製の高額兵器を買い漁り、尻尾を振りまくっただけではないか。

 内閣の最重要課題に掲げた北朝鮮の拉致問題は在任中は1ミリも進展せず、ロシアとの北方領土問題はレガシーづくりに焦るあまり、2島返還まで後退させてもプーチン大統領に足元を見られて大失敗。“ならず者”に巨額の経済協力費をむしり取られたことも含めて、成果はマイナスである。

 「新型コロナ対策はアベノマスクと一斉休校だけ。経済政策もアベノミクスは大失敗です。岸田首相が『大胆な金融緩和』という負の遺産を継承した弊害で円安が加速し、国民生活は今、物価高に苦しめられています。安倍政権の実績を時間をかけて検証すればボロボロなのに、岸田首相は『国葬』決定で冷静な検証にフタをしているように映ります」(法大名誉教授・五十嵐仁氏)

 当然、税金の使い道として国民から疑義をもたれ、政府内では「行政訴訟を起こされるリスクもある」との懸念もあった。そんな慎重論を退けてまで、岸田が安倍の国葬を押し切った背景には「元首相の非業の死」を政治利用して、政権基盤を固めようとする思惑が透けて見える。

 まず自民党の国会議員の約4分の1にあたる93人所属の最大派閥・安倍派への配慮だ。特に安倍の急死直後から保守系議員や支持層は国葬を求める声を強めていたため、党内結束の維持や、いわゆる「岩盤支持層」の自民離れを回避する狙いもあるだろう。前出の五十嵐仁氏はこう言った。

 「吉田元首相には戦後日本の礎を築いたという国民的な評価があり、『吉田学校』と称されるほど戦後日本を牽引した多くの後継者を育てました。安倍元首相にそれだけの功績がありますか。今の安倍派の混乱は派閥領袖の不慮の死があったとはいえ、安倍氏が後継者を育ててこなかったのが大きな要因です。かような政治家の国葬を実施することで、吉田元首相に肩を並べる大政治家として顕彰し、政治的評価を度外視して『志半ばに非業の死を遂げた偉大な政治家』のごとく祭り上げる。国家指導者の個人崇拝強化は北朝鮮と同じ全体主義国の発想です。岸田政権は悲劇の元首相の神格化を図って、この先は『安倍さんの遺志』を錦の御旗にし、防衛費倍増や改憲に邁進するのは間違いありません」


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7月15日(金) 参院選結果 野党は勝利を「プレゼント」した [コメント]

〔以下のインタビュー記事は『連合通信・隔日版』第9755号、7月14日付に掲載されたものです。〕

 共闘態勢の早期の確立を

 今回の参議院選挙は、「与党が勝利した」というよりも、野党、特に立憲民主党が対応を間違え、自民党に勝利を「プレゼント」したと言える。
 自民党が改選過半数の議席を獲得できたのは選挙区で勝利したことが大きい。比例代表では改選議席を1議席減らしている。選挙戦の中盤までは物価問題で守勢に回ることを余儀なくされ、勢いが弱まっていた。
 では、なぜ選挙区で勝てたのか。それは野党がバラバラで戦ったからだ。ロシアのウクライナ侵略に伴う好戦的機運の高まりや、ソフトでリベラルな印象を振りまく岸田内閣の高い支持率など、野党にとっては元々不利な情勢だった。その下で、 野党が共闘せず、選挙区で候補を乱立させたため、ただでさえ有利な自民党が漁夫の利を得た。
 選挙戦最終盤には、安倍元首相が遊説中に銃撃され死去するという事件が起きた。自民党への同情や安倍政治の美化が強まったことも、選挙結果に作用し盛り返したのではないか。
 立憲民主党の、政党名を書く比例代表選挙区の得票数は677万票。昨年10月の総選挙での比例票1149万票から約500万票も大きく減らし、維新に凌駕されてしまった。
 一方、自民党は約165万票減の1826万票。全国の有権者総数の2割にも満たない。自民党が強いのではなく、野党が弱すぎるということだ。
 こうなった背景として、立憲民主党など野党の失敗が挙げられる。特に昨年の総選挙の総括を間違えたのが痛手となった。
 「野党は批判ばかり」「共闘は野合」との批判に屈し、国民民主党は予算に賛成するなど政権にすり寄り、立憲民主党の泉執行部は政府批判を封じて「対案路線」に転じ共闘にも後ろ向きとなった。これでは政府・与党を厳しく追及して追い込むことはできない。
 その結果、野党第一党である立憲民主党は「野党のかなめとして政治を変えるイニシアチブを発揮してほしい」という期待に応えることができなかった。そのことが、わずか半年余りで約500万票もの大量の比例票を減らした最大の要因ではないか。
 両党の動向に多大な影響を及ぼしたのが連合だ。芳野友子会長の鼎(かなえ)の軽重が問われている。昨年秋の就任以降、ことごとく足を引っ張った。野党共闘を否定する発言を繰り返すだけでなく、自民党にすり寄るかのような行動をとり、野党の勢いを弱めた。
 その教訓をしっかり確認して野党の共闘態勢を立て直すことが必要だ。

●維新の勢い、頭打ち

 日本維新の会も昨年の総選挙から比例票を20万ほど減らした。「全国政党化」をめざしたが、東京や「最重点区」の京都で落選して失敗に終わった。神奈川選挙区で元県知事が当選したのは「維新票」とは言い難い。
 維新の支持層は比較的恵まれた現役世代で、中間層が没落するなか、将来への不安から「改革幻想」に期待を寄せた人が多いといわれる。だが、一時の勢いはなく頭打ちとなった。
 また、失言・暴言・スキャンダルなど問題議員や候補者の吹き溜まりのようになっている。それが有権者に知られるようになり支持を失っているとも考えられる。

●共闘態勢の早期確立を

 今後、コロナ第7波や物価高騰の大波が到来する。岸田首相は大軍拡に前のめりだ。専守防衛の国是に反する「敵基地攻撃能力」の保有や、防衛費の国内総生産(GDP)比2%を念頭にした予算増、憲法9条に「自衛隊」を明記する改憲論議も強めようとしている。
 改憲によって日本は何を得てどのようなリスクを招くのか、東アジアの中で今後どのような平和政策、外交方針を打ち出していくのか、が本格的に問われるだろう。
 来年5月に広島で開催する主要国首脳会議(G7)後に有利な情勢だと判断すれば、岸田首相が解散に打って出ることもあり得る。また、来年秋以降は総選挙から2年を経て解散風が吹き始める。
 政府に主導権を握られるのではなく、野党は岸田政権を解散に追い込む姿勢が、政治に緊張感を持たせ議会制民主主義を機能させるうえでも必要だ。並行して、総選挙にいつでも対応できるよう、野党間の共闘態勢の確立を、今からでも準備しなければならない。


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