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7月24日(火) 安倍首相は「国民の審判」を尊重すべきだ  [参院選]

 相変わらずの暴言、迷言のオンパレードです。『週刊金曜日』の7月20日号で金子勝さんが日本のリーダーたちの劣化について書いています(「リーダーたちはなぜかくも劣化したのか」)が、まことにその通りの惨状だと言うべきでしょう。

 まず初めに、トップリーダーのトホホな言い間違いから。NIKKEI NETは次のように伝えています。

 「改革実行力があるのは私たち自民党と、そして民主党であります」――。安倍晋三首相が23日、長崎市内の街頭演説で連立パートナーを公明党でなく、民主党と言い間違える一幕があった。首相は自ら間違いに気付き「大変な間違いがありました。民主党には絶対に改革はできない、私たち自民党、公明党しか改革の実行力はないんです」とすぐさま訂正。この直前まで首相は民主批判を繰り返しており、勢い余って「民主党」の名前が飛び出してしまったようだ。

 現首相に続いて、前首相の発言です。小泉前首相は鹿児島市での講演で、首相在任中に靖国神社参拝中止を強く求めてきた中国について、「将来、『なんて恥ずかしいことをしたんだろう』と後悔する」と批判しました。
 小池防衛相も負けていません。参院選応援で訪れた佐賀県唐津市での演説で、社会保険庁の労働組合について「年金の仕事をせず、支持する野党の選挙応援をしゃかりきにやってきた」と批判し、「年金問題で混乱すればするほど、日本をガタガタにしようという彼らの目標に近づき、運動は成功を収めるという、まさに自爆テロという話になる」と述べました。
 社保庁と年金問題については、安倍晋三首相も遊説で「自爆テロによる改革妨害」などと批判しているそうです。

 さらに、政治とカネの問題で、自分で自分を注意しなければならなくなった塩崎恭久官房長官です。松山市で街頭演説し、「どういう結果が出ようともこの安倍改革の流れを止めてはならない。その意気込みでわれわれは進んでいく」と述べ、与党が大きく後退した場合でも安倍首相は続投する構えであることを示唆し、「改革の流れを止めて喜ぶのは第一は民主党。恐らく二番目は北朝鮮ではないか」と強調しました。「北朝鮮」を喜ばせないために、自民党に入れてほしいというわけです。

 塩崎官房長官は今日の閣議後の記者会見でも、「参院選は基本的には政権選択の選挙ではないと位置づけられてきた。今回も同じだと思う」と発言しています。過去に参院選で敗北した政権が退陣した例があることに関しては「それはそのときの政権の判断だ」と述べるにとどめたといいます。
 いよいよ、追いつめられてきたということでしょう。官房長官が「政権選択の選挙ではない」と予防線を張るのは、参院選での敗北が濃厚になってきたからです。
 しかし、「私と小沢さん、どちらが首相にふさわしいか、国民の考えを聞きたい」と言ってきたのは安倍首相自身ではありませんか。国民にそう問いかけ、選挙で負ければ、「小沢さんの方が首相にふさわしい」という答えが出たことになります。これは、小学生にでも分かる道理でしょう。

 それを今ごろになって「政権選択の選挙ではない」と逃げを打つとは、なんという見苦しさ。そういうなら、初めから「私と小沢さん、どちらが首相にふさわしいか」などと、「政権選択」を問うようなことを言うべきではありませんでした。
 『朝日新聞』の「党首力」についての調査でも、安倍さんは小沢さんに「リーダーシップ」で差を広げられ、「政策アピール力」で逆転され、「改革期待」でも差をつけられています。
 投票を待たずして、「どちらが首相にふさわしいか」については、もはや勝負が付いてしまったようです。与党が過半数を維持できなかったら、安倍さんは「国民の審判」を尊重して、潔く、その地位を去るべきです。

 そうなったら、日本の政治は混乱すると心配する人がいます。全ての法律が参院を通らなくなると脅す人もいます。
 しかし、それは杞憂です。参院が与党の思い通りにならず、強行採決ができなくなるだけです。
 野党にも受け入れられるようなまともな法案を出せばいいんです。そうすれば、いくらでも法律は成立します。そうなって初めて、参院は与党の横暴を抑止し、国政をチェックする機関として本来の役割を果たすことができるようになるでしょう。

 昨日の『朝日新聞』に、元英エコノミスト編集長のビル・エモットさんが、「日英首相考 スター継承日本の教訓」という興味深い記事を書いていました。そこで、エモットさんは、参院選の結果について次のように指摘しています。

 もし大敗によって首相交代という事態になれば、日本の政治が、短命の首相が続いた1990年代の泥沼状態に逆戻りすると懸念する人々もいる。彼らは、日本の海外での評判が損なわれると心配している。
 それは間違いである。もし日本の有権者が、経済政策や官僚の不正問題を解決できないことへの不満の意思表示をするなら、それは積極的な兆候なのであり、消極的な態度ではない。より厳しい注文をつける有権者になればなるほど、日本の将来と日本の海外での評価にとってはプラスだろう。

 私も、そう思います。「より厳しい注文をつける有権者」となって、1票を投じたいものです。「それは積極的な兆候なのであり、……日本の将来と日本の海外での評価にとってはプラス」なのですから……。


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邪論

はじめまして、いつも楽しみにしております。あまりのおかしさに黙っていられなくなりましたので、書き込みさせていただきました。
安倍首相はいつも「勢い余って」トンチンカンなことを言ってる。
パートナーを忘れるほど、頭の中が混乱しているんですね。それほど焦っている。テレビの討論会でも「話させて」と発言者を制していました。
「自爆テロによる改革妨害」論と「北朝鮮を喜ばせない」論は、まさに彼らがこの二つを利用して政権を維持してきたことを証明してしまいました。この二つの論を強調すれば国民が納得・支持するとの心根が透けてしまいました。
「参院選は基本的には政権選択の選挙ではない」とは驚き。小泉前首相が郵政民営化法案を否決されて政権選択を迫ったことを忘れてしまったようだ。国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関であることをないがしろにする発想です。しかも、彼らは舌の根も乾かぬうちに、「与党が過半数を維持できなかったら…日本の政治は混乱する」と述べ、さらなる悪法を通そうとしています。小泉・安倍自公政権の崩壊は、国会を見守る国民の声=参政権がますます行使されていくことでしょう。ここでも国民を愚弄する発想が透けて見えてきました。
ただ心配なのは、二大政党制の虚構です。田中真紀子議員がいみじくも語ったように、今回の自民VS民主の構図が旧福田派VS旧田中派だということです。90年代の偽りの対決構図の結果、どのような政治がおこなわれてきたか、その「成果」を忘れてはなりません。
各紙は政策論争が不十分と、政治不信を煽る論調が展開されています。世論調査も二大政党制に基づく政権選択の吹聴です。この二つは密接にリンクしています。小泉劇場型政治と選挙の再来でしょうか。
真の政策転換を図る政権選択となるか、残りの時間でどれだけ、ここが国民の中に広がるか、それが課題でしょう。
by 邪論 (2007-07-24 21:34) 

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