１月13日（日）　新駅名は「謙信駅」に：五十嵐仁の転成仁語：SSブログ

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１月13日（日）　新駅名は「謙信駅」に　[論攷] [編集]

　〔この論攷は、私のふる里のローカル紙『上越タイムス』に寄稿し、１月10日付に掲載されたものです。１月５日付のブログとほとんど同じ内容ですが、ここにアップさせていただきます〕

　年末年始の帰省でふる里に帰った折、現在建設中の「北陸新幹線」の話題が出ました。新しくできる駅の名前をどうするかというのです。普通に考えれば、「上越市の玄関口に当たるから上越駅だ」ということになるでしょう。しかし、そうすることに、私は賛成できません。
　その理由の一つは、「上越新幹線」の存在です。ここを上越駅とした場合、上越新幹線に乗れば行けると考える人が必ず出てきます。しかし、上越新幹線は上越駅（仮称）を通りません。上越新幹線の「上越」と上越市や上越駅（仮称）の「上越」とでは、その意味するところが異なっているからです。地元の人なら誰でも知っていることでしょうが、そのようなことは一般の人には分かりません。新駅を上越駅とした場合、上越駅を通るから上越線なのだと誤解する人が必ず出てきます。
　このような誤解は当然です。東京の地下鉄は、銀座駅を通るから銀座線、日比谷駅を通るから日比谷線と呼ばれているのですから……。通りもしないのに、別の路線と同じ駅名を付ける方が間違っているのです。必ず混乱を生むことが分かっているような非常識な駅名を選択するべきではありません。
　もう一つ、新駅の名前を上越駅とすることに反対する積極的な理由があります。それは、もっと良い駅名の候補があるからです。そうです。郷土の英雄である上杉謙信公の名前をお借りすればよいのです。北陸新幹線の新しい駅名を、「上杉謙信駅」または「謙信駅」とするべきではないでしょうか。
　個人名を空港などに付けるのは、世界では普通のことになっています。アメリカのニューヨークにはジョン・F・ケネディ空港があり、トルコのイスタンブールには建国の英雄の名前を取ったアタチュルク空港、モンゴルにはチンギスハーン国際空港があります。日本にも高知龍馬空港があり、岡山県美作市には智頭急行智頭線の宮本武蔵駅があります。
　日本では個人名がついた駅はそれほど多くありませんが、だからこそ、先陣を切って命名すべきだと思います。きっと話題になり、知名度が一挙に上がるでしょう。観光や情報発信、地域の活性化に大いにプラスになることは間違いありません。
　しかも、上杉謙信公の名前は知名度抜群です。NHKの大河ドラマ「風林火山」では、ほとんど主役かと見まがうばかりの活躍ぶりでしたし、正月ドラマ「天と地と」では文字通りの主役です。来年には、上杉景勝の家老であった直江兼続を主人公にした「天地人」も放映されます。絶好のチャンスではありませんか。
　マスコミにこれほど取り上げられる郷土の偉人を持つことのメリットを、どうして生かそうとしないのでしょうか。歴史的遺産は、それを活用することによってこそ、遺産としての価値が増すのではないでしょうか。
　それだけではありません。数ある戦国武将の中でも、上杉謙信公の歴史的評価は定まっています。謙信公は信仰心に篤く、領土的な野心を持たないという異色の存在でした。武田信玄との川中島の合戦はあまりに有名であり、手取り川の合戦では柴田勝家軍を破って信長に勝った唯一の武将としての名声を得ています。「義の塩」で良く知られ、義を重んじた武将です。
　このような謙信公の「義の心」を今に受け継ぐという意味からも、是非、その名前を駅名として残していただきたいと思います。そしてそれを、郷土の子どもたちの誇りとしてもらいたいものです。遠くふる里を離れた人々にとっても、上杉謙信の名前が駅名となれば、一段と故郷への愛着が増すことでしょう。自らの名前が、このような形で郷土の役に立てば、謙信公もきっと喜ばれるにちがいないと思うのですが、いかがでしょうか。

2008-01-13 21:36 nice!(0) コメント(3) トラックバック(4)