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1月25日(土) 労働組合は変われるのか 怒りと連携、新たな局面に期待 [論攷]

労働組合は変われるのか
怒りと連携、新たな局面に期待

 〔これは、高木剛連合会長と坂内三男全労連議長のインタビューを読んでのコメントです。『週刊金曜日』2008年1月18日付に掲載されました。すでに1週間が経過して新しい号が出ましたので、ここにアップさせていただきます〕

 「いまはあまりにひどい」と高木会長が言えば、昔は「仕事が苦しくとも将来に希望を持って働いていました。いまはそれがなくなっています」と坂内議長が語る。労働の現場についての認識は共通していると言えよう。非正規雇用やワーキングプアの問題を最も重視しているという点でも、両者に違いはない。

提携・共闘へのスタンス

 注目されるのは、高木会長が「経営者が格差社会の正犯だが、……組合員も従犯としての罪はあると思っています」と述べていることである。連合は労働政策関係の審議会の労働側委員を独占しており、派遣法改正などの原案作成に関わってきた。また、〇二年の「春闘」からはベア要求の設定を断念したが、景気回復が始まったのはその翌年からだった。
 連合には、非正規雇用拡大と「賃金崩壊」の「共同正犯」(佐高氏)と言われても仕方のない過去がある。高木会長が、それに対する反省を口にした点を評価したい。
 また、経営との関係でも、高木会長が企業内組合の「弱さ」を問題視しているのは注目される。「大企業労組が、企業を規制する観点から労働組合の機能を考えたことがあるのか」という坂内議長の問いに対応する問題意識ではないだろうか。
 なお、長時間労働やメンタルヘルス不全、木下武男(昭和女子大学)教授いうところの「周辺的正社員」など正規雇用も多くの問題を抱えている。高木会長も坂内議長も、これらについては言及していないが、労働運動が取り組まなければならない課題だと言えよう。
二人の発言には相違もある。とりわけ、連合と全労連との提携や共闘について、坂内議長は積極的だが、高木会長は消極的である。
 坂内議長は、「一致することについては一緒にやっていこうというのが、私の一貫した考え」であり、「運動の共同は大いに進めていかなければならない」と述べている。これに対して、高木会長は「結果的に同じターゲットに向かって歩くということはある」としつつも、「共闘を組むという形は難しいですね」と答えている。
 しかし、厳しい現状を考えれば、過去のいきさつにこだわる“贅沢”は許されない。坂内議長は「運動の共同は可能だし、そこにしか労働組合運動の将来はない」として、「非正規センター」については「連合から声がかかればすぐにでも一本化できる」と語った。「ノンセクト・ラジカル」を自任し、「不条理とは闘う」という高木会長の決意に期待したいところである。

運動と組織化で競い合いを

 高木会長は、市民の人たちから「怒ってくれ」と言われるそうだ。「組合に先導役をしてくれという期待」に「応えないとダメだと思います」と述懐している。「おかしいと思える感度を研ぎ澄ましておかないとね」とも……。
 一方、「連携の可能性が広がっている」という坂内議長は、参院選での民主党の躍進を評価しながら、その「背景には私たちの運動の影響があ」るとし、「与野党逆転ができて本当に良かった」と述べている。
 怒れる連合と連携を重視する全労連が、運動の発展と組織化の面で競い合い、一致する課題で力を合わせれば、労働運動に新たな局面が生まれるかもしれない。二人のインタビューを読んで、そのような期待を抱いたのは私だけはあるまい。


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