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11月8日(土) 「賞味期限」切れになった選挙管理内閣の迷走 [内閣]

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 麻生内閣が発足して、まだ2ヵ月も経たないというのに、もう末期症状が出てきたようです。首相の方針は揺れ、閣内不一致で右往左往の迷走が始まりました。

 新総合経済対策の「目玉」とされた総額約2兆円の定額給付金です。支給対象をめぐって、所得制限をするのかしないのか、首相や閣僚の発言はバラバラです。
 道路特定財源の一般財源化をめぐっても、地方に「1兆円」を配分するという方針をめぐって、毎年地方自治体の道路建設向けに配っている臨時交付金約7000億円との合計なのか別枠なのか、閣内不一致が生まれています。地方に配分される額が、合計で1兆円なのか、それとも1.7兆円なのかがハッキリしないというわけです。
 中小企業に対する貸し付け・保証枠についても、資金繰り支援のために9兆円から30兆円に拡大するという方針を出しましたが、それがいつから実施できるのかが不明です。自民党は、広報紙に「本年度からやります」と書いたものの、断定的に書けば誤解を招くとして刷り直すことにしたそうです。
 内閣人事局の設置についても、迷走が続いています。原因は、公務員制度改革についての首相の姿勢が不明瞭なことです。

 まだ、あります。航空自衛隊の田母神幕僚長の更迭問題です。その後も、次々と新たな事実が明らかになり、問題の重要性は増すばかりです。
 懸賞論文に応募した航空自衛官が94人にも上ること、航空幕僚監部が応募を呼びかけていたこと、田母神前空幕長も他の隊員が論文を投稿することを承知していたこと、海上自衛隊の「精神教育参考資料」に「わが国民は賤民意識のとりこ」という記述があったことなどが、その後、明らかになりました。また、田母神さんが浜田防衛相の辞職要求を拒否していたことも分かっています。
 これに対して、麻生首相は「防衛大臣の所管。ちょっと正直どうのこうのという立場にない」と、逃げを打っています。これは、自衛隊の最高指揮官は首相であるという「立場」をまったくわきまえていない発言です。
 麻生首相は、国会でこの問題についての見解を明確にすべきです。旧軍思想の払拭とシビリアンコントロールの徹底に向けての決意を示すことこそ、最高指揮官としての責務ではないでしょうか。

 麻生内閣の迷走が続き、政治の混迷が深まっているのは、リーダーシップと正統性に大きな欠陥があるからです。麻生首相はトップリーダーとしての指導性を発揮できず、内閣は民意の洗礼を受けていません。ここに、大きな問題があります。
 そもそも麻生内閣は、総選挙のために急作りされた映画のセットのようなものでした。100年に一度の金融危機のような暴風雨に耐えられるような作りにはなっていないのです。
 たった2ヵ月で「賞味期限」が切れてしまったのも当然です。もともと、「賞味期限1ヵ月」の選挙管理内閣にすぎなかったのですから……。

 とっとと解散・総選挙を実施して、「映画」を撮り終えてしまえば良かったのです。そうすれば、台風にだって持ちこたえられる丈夫で本格的な建物を作れたでしょうに……。

 なお、明日11月9日(日)、民放労連の学習会で、「労働法制改正の行方」について講演します。関係者の方々、よろしくお願いいたします。


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