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4月2日(木) 塩田庄兵衛先生のご逝去に際して [日常]

 皆様に、悲しいお知らせをお伝えしなければなりません。去る3月20日(金)、東京都立大学・立命館大学名誉教授の塩田庄兵衛先生が亡くなられました。享年87歳です。
 先生ご逝去に先立つこと2ヵ月、今年1月13日(火)には、奥様も亡くなられていました。ご夫妻の突然の訃報に接し、ただただうちひしがれ、驚くばかりです。

 本日、ご夫妻が暮らしておられた駒込のご自宅にうかがい、ご子息並びにお嬢様と、今後のことについて相談してきました。突然、ご両親を失ったお子様方の悲しみはいかばかりかと推察いたします。
 先生が亡くなる直前に奥様が逝去されていたため、茫然自失となられたに違いありません。報道機関はじめ関係者の皆様への通報が遅れましたのは、そのためであるとご了解いただければ幸いです。
 5月下旬に、「塩田庄兵衛先生とお別れする会」を開催するということで、準備を進めることになりました。生前、親交が深かった関係者の皆様にはいずれお知らせいたしますが、お問い合わせ等につきましては私宛にお願いいたします。

 塩田庄兵衛先生は、私にとっては都立大学時代の恩師に当たります。高校生時代から先生の名前は知っており、都立大学の経済学部をめざしたのも塩田ゼミに入るためでした。
 私が通った直江津高校には弁論部があり、部室の片隅に小さな本箱が置かれていました。そこには出版されたばかりの『ベトナム黒書』があり、やがて『沖縄黒書』という本も加わります。
 『ベトナム黒書』は1966年に労働旬報社から刊行されており、『沖縄黒書』も、翌67年に同じく労働旬報社から出ています。この66年に私は高校に入学し、直江津高校弁論部にも入部したのです。

 弁論部への入部と、そこで目にした本が、私と塩田先生を結びつけることになりました。この本のどちらかの帯に(あるいは、両方だったかもしれませんが)、先生の推薦文が書かれていたからです。
 このとき、私の脳裏に「塩田庄兵衛」という名前が刻み込まれました。「この先生のゼミに入る」ということが、私の大学進学の目的になったのです。
 1969年の春、安田講堂攻防戦のあおりを受けて東大の入試が中止になるという波乱がありながらも、私は無事、東京都立大学に合格し、新潟の片田舎から上京することになりました。18歳の春のことです。

 しかし、先生にお会いするには、まだしばらく時間がかかりました。都立大学でのゼミは3年生からで、1年で学生自治会の副委員長、2年で委員長となった私は、学生運動に明け暮れてほとんど授業に出ていなかったからです。
 ようやく、3年生になってゼミへの参加を許され、私は直接、塩田先生の謦咳に接することになりました。ところが、その年の秋、思わぬ事件に遭遇し、私は右目を失って隻眼の身となります。
 このときの経緯については、拙著『概説 現代政治』の「あとがき」に書いた通りです。病床で聞いた「片目になってしまったけれど、これでかえって世の中が良く見えるようになるかもしれないね」という先生の言葉に、どれほど励まされたことでしょうか。

 以来、先生とのお付き合いは40年近くにわたりました。一昨年の夏にはご自宅にうかがい、老人ホームに入所されたと聞いて、昨年の秋にお見舞いにうかがったばかりです。
 その後、丁寧な礼状をいただいた奥様が、先生よりも早くに亡くなられていたとは。また、その後を追うように、先生ご自身もこの世を去られていたとは……。まことに、信じられない思いで一杯です。
 最後の機会となったご自宅への訪問の際、帰り際に玄関で、何気なく「先生の後は、私が引き継がせていただきます」と申しましたら、先生は嬉しそうな顔をなさいました。あの時の笑顔が、忘れられません。

 お二人で旅立たれた塩田先生ご夫妻のご冥福を、心よりお祈りいたします。先生、お世話になりました。安らかにお眠り下さい。
 お約束通り、非力ではありますが、先生の後は、私が引き継がせていただきます。

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コメント 4

tet

頑張ってね。
親父の元にも、志をもって訪ねてくれる学生がたくさん来てくれるといいね。

応援してます。
by tet (2009-04-03 01:24) 

本庄豊

京都宇治の本庄豊です。

五十嵐さんのことは、都立大学入学以来、よく聞かされていました。
私も塩田先生門下に入ろうとしたのですが、私が入学した年の4月、
塩田先生の講座が休講となり、先生は立命館大学に行かれました。

卒業後私は先生を追いかけ、京都に行き、そこで教員になり労働運
動に埋没してしまいました。そのなかで山本宣治のことを研究するよ
うになり、塩田先生のご学恩に応えようと新聞連載をはじめました。

先月、学習の友社より『山本宣治~人が輝くとき』を、群青社より、
『テロルの時代~山宣暗殺者・黒田保久二とその黒幕』を上梓しま
した。塩田先生に届けようと思っていた矢先に先生の訃報に接しま
した。

京都に地ですが、先生の追悼集会のお手伝いはさせていただくつ
もりです。ご連絡をお待ちしています。
by 本庄豊 (2009-04-23 07:10) 

本庄豊

五十嵐さま、下記情報を知りました。

故塩田庄兵衛氏(立命館大名誉教授)のお別れの会 5月25日午後6時、東京都千代田区神田錦町3の28学士会館。喪主は長男、博氏。

参列するにはどうしたらいいでしょうか。

メールをいただければ幸いです。

honjo@ujc.ritsumei.ac.jp; honjo@jca.apc.orgです。

立命館宇治中学校・高等学校教諭
立命館大学講師(非常勤) 本庄豊

610-0261 京都府綴喜郡宇治田原町岩山隠谷38-31
        本庄豊


by 本庄豊 (2009-04-23 07:21) 

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by モンクレール (2011-08-24 12:04) 

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