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4月28日(水) 実現不可能な案の検討や折衝で時間を空費するべきではない [在日米軍]

 「立川市が多摩地区の『都心』として発展できた原点は、旧米軍基地の拡張計画を住民が止めた『砂川闘争』にあります」

 これは、「かつて市域の中心部を広大な米軍基地が占めていた立川市は、基地とその跡地にどう向き合ってきたのか」という「問い」に対する青木久前立川市長の回答です。昨日の『朝日新聞』第2多摩版に掲載されていた記事「発展の原点は『砂川闘争』/誘致合戦の末、記念公園」をご覧下さい。
 やがていつの日か、次のような談話が新聞の紙面を飾るかもしれません。「宜野湾市が中部沖縄地区の『都心』として発展できた原点は、旧米軍基地を国外に移設させた『普天間闘争』にあります」と……。

 「砂川闘争」によって、「広大な米軍基地」は、「拡張計画」をストップさせただけでなく、日本に返還されました。現在は、国営昭和記念公園、市役所の庁舎、裁判所や国の研究機関などになっています。
 その結果、「基地がなくなって困る人たち」が増えたでしょうか。「米軍の『抑止力』」が低下したでしょうか。
 立川の米軍基地の拡張反対や普天間基地の国外移設を求める運動は、そのまま「米軍出て行け」という運動ではありません。この違いを理解できないのが、「普天間闘争」を冷ややかに眺めている人の「限界」でしょうか。

 ところで、未だに、こんな案を検討しているとは驚きです。米軍普天間基地の移設先についての現行修正案です。
 県内や国内が対象である限り、どのような案であっても、もはや受け入れる場所はないというのに。無駄な作業で時間を空費するべきではありません。
 こんなことをしていては、自ら袋小路に入り込んでいくことになります。県内や国内移設案には「出口」がないのですから……。

 キャンベル国務次官補は4月25日、「日本側からの真剣な提案」があったことを明らかにしました。鹿児島県徳之島と現行案の修正を組み合わせたものだそうです。
 『朝日新聞』4月27日付は、「首相の心には、いま桟橋案がある」という「首相側近の一人」の話を報じています。「最近マスコミで、くい打ち方式の話が出ている。そういうことにならないように」と平野官房長官に「くぎを刺した」稲嶺名護市長の発言とともに……。
 この修正案については、福島社民党党首も、「回り回って修正案ということであれば、それは政治ではない」と強く反発しています。『朝日新聞』が解説しているように、「連立三党の合意を得た『政府案』としてまとめるのは絶望的な状況」です。

 辺野古沖合への移設という現行案は、これまでも実現できませんでした。それよりも状況が厳しくなった現在、それをそのまま実行することが不可能だということは、誰にでも分かることです。
 くいを打って桟橋を作り、その上に滑走路を建設する桟橋案(くい打ち案)という形で修正しても、基本的に事情は変わりません。これに、訓練の一部を徳之島などに移すとしても、反対運動が飛び火するだけでしょう。
 名護市辺野古での反対運動と徳之島での反対運動とに挟撃され、ますます身動きが取れなくなるにちがいありません。結局、問題は先送りされ、現状が固定化して、鳩山さんは責任を取らされることになります。

 唯一実現可能で、5月中に「決着」できるのは国外移設案です。この案の最大のメリットは、交渉相手がアメリカだけだという点です。
 日本国内での合意は必要ありません。いや、合意を求めれば、誰だって両手を挙げて賛成するでしょう。
 そのための道筋を5月中につけることは十分にできます。実現不可能な辺野古修正案などで時間を空費しなければ……。

 そのために必要なことは第1に、鳩山首相自身の決断です。「辺野古の海が埋め立てられることは自然に対する冒涜と感じる。受け入れるという話はあってはならない」という自分の言葉に忠実に、普天間基地の国外移設を明言しなければなりません。
 第2は、閣内の統一です。平野官房長官、北沢防衛相、岡田外相の足並みをそろえ、内閣の意思統一を行い、国外移設要求を閣議決定するべきです。
 第3は国論の統一です。これを形で示すためには、国会で決議をあげるのが最善ですが、県民大会にはほとんどの政党の代表が出てきていますから、県民大会と同様の決議を全会一致で挙げることも不可能ではありません。

 こうすれば、日本の国論は統一されたことになります。これは、アメリカに対する大きな交渉力となるでしょう。
 こうして、日本政府を代表して、鳩山首相がオバマ大統領と直談判すればいいんです。このときには、米軍が移る可能性がある北マリアナ連邦の議員やテニアン、グアム、ハワイなどの自治体の代表にも加わってもらえば、よりスムースに事が運ぶでしょう。

 以上のプロセスのうち、何が一番重要かと言えば、最初の鳩山首相の決断です。まず、一歩を踏み出すことが肝心です。
 そうでなければ、二歩、三歩と歩み出すことはできません。それだけの決断力とリーダーシップを発揮することができるでしょうか。
 いよいよ、正念場が訪れようとしています。ここで決断できるかどうかという点で、政権交代の意味と鳩山首相の真価が問われることになるでしょう。

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