５月15日（土）　鳩山政権を追いつめるネガティブ・キャンペーンの効果：五十嵐仁の転成仁語：SSブログ

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５月15日（土）　鳩山政権を追いつめるネガティブ・キャンペーンの効果　[政局] [編集]

　いよいよ、マスコミによるネガティブ・キャンペーンの効果が出てきたようです。鳩山政権に対する支持率が低下し続け、「鳩山政権打倒」を口走る人が現れてきました。

　このブログの読者から、民社国政権と自公政権は変わりないという指摘がありました。民主党と自民党とは同じだから、大連立する可能性がある、と……。
　その時、どうするのか、とお尋ねです。もちろん、反対します。かつての村山自社さ政権と同じことになりますから……。
　自民党の復権に手を貸すな、ということは、そのような最悪のシナリオを許してはならない、ということです。現時点で「鳩山政権打倒」を目指すことは、そのようなシナリオの実現を阻むことになるのでしょうか、それとも手助けすることになるのでしょうか。

　鳩山政権のあり方に対しては、全面的に否定することも全面的に肯定することも、ともに間違いでしょう。その政策や施策は「まだら模様」で、正誤が入り交じっているからです。
　鳩山政権の政策についても、「仕分け」作業が不可欠だということです。正しいものにはその実現を求め、間違っているものについては批判し、実現を阻まなければなりません。
　しかし、次第に、このような冷静な対応が難しくなってきています。時事通信の調査でついに20％を割ってしまった内閣支持率の低下に示されているように、全てをひっくるめて、「こりゃダメだ」という気分が高まっているからです。

　その理由の一つは、マスコミによるネガティブ・キャンペーンにあると思います。小沢さんの政治資金疑惑について「起訴相当」とした検察審査会の判断にも、このようなキャンペーンによって醸成された「市民感情」が反映していたのではないでしょうか。
　普天間基地の移設問題についても、鳩山首相の発言は確かに揺れてはいますが、それが増幅されて伝えられるために、迷走ばかりが強調される結果になっています。「それでは、普天間基地をどうするべきなのか」について、具体的な提案をするマスコミはほとんどありません。
　もちろん、小沢さんの政治資金疑惑については解明される必要がありますし、普天間基地移設問題での鳩山首相の発言のブレ、その軽さは批判されて当然ですが、それをどう解決するかという視点ではなく、政権の悪印象を強めるだけになっているように思われます。

　しかも第２に、このようにマスコミが手ぐすねを引いているとき、鳩山首相らは格好の材料を提供し続けています。これは首相の資質やリーダーシップの問題でもありますが、それだけではなく、法案や政策の中身にも問題のあるものが次第に増えてきているということも無視できません。
　「政治とカネ」の問題では、小沢民主党幹事長は非公開の政倫審に逃げ込もうとしていますし、普天間基地移設問題でも、５月の期限切れを前に桟橋方式で打開を図ろうとしています。いずれも、沖縄県民や国民の期待を裏ぎるものだと言わざるを得ません。
　また、内閣法制局長官を含む官僚答弁禁止を柱とする国会法改正案や社会保障など国の責任を投げ出す「地域主権改革」関連法案など、問題法案が出てきています。やがて、消費税率の引き上げという方向も強まってくるでしょう。

　第３に、民主党に代わりうる強力な野党が存在していないという事情も、民主党批判を強める一因かもしれません。自民党がもっと大きな勢力を保持しており、支持率も回復しているということであれば、気楽に「鳩山政権打倒」などとは言えないでしょうから……。
　この点が、かつての細川・羽田政権の時と、大きく異なっています。あの時は、自民党は下野したとはいえ、第１党の力を維持し、今のような体たらくではありませんでした。
　したがって、いくら鳩山政権を追いつめても、かつての村山自社さ政権のような形で自民党が復権する可能性は少ないでしょう。民主・自民の大連立の可能性はほとんどなく、国民もかなり気楽に「ダメ出し」をしているように見えます。

　とはいえ、鳩山政権が国民の期待を裏切り、様々な面で怒りを買うようになってきていることは否定できません。鳩山首相の迷走ぶりも、目を覆うばかりです。
　今後、通常国会終盤に入り、参院選が近づくにつれて、鳩山政権と民主党に対する野党の追及はさらに厳しいものになるでしょう。追及されてもやむを得ないような失敗の繰り返しですから、身から出たサビと言うべきでしょうか。

　なお、明日、兵庫県保険医協会第77回評議員会で講演するため、神戸に行きます。そこで一泊して、帰途、京都の法律文化社に立ち寄り、新著『18歳から学ぶ日本の政治（仮題）』について打ち合わせをすることになっています。
　兵庫県保険医協会の関係者の皆さん、よろしくお願いいたします。皆さんにお会いできるのを、楽しみにしています。

2010-05-15 09:42 nice!(1) コメント(13) トラックバック(0)

nice! 1

＞民社国政権と自公政権は変わり
＞ないという指摘

これはしんぶん赤旗でも再三なされていますが、赤旗も「ネガティブ・キャンペーン」の一環という訳ですかね。

「やはり民主党は第二自民党である」という前提に立てば、
「自民党の復権に手を貸すな＝民主党を勝たせろ」という主張には同意できませんから。

民主党を勝たせることは、小選挙区制の闇から抜け出すことに何ら寄与しませんよ。
それこそ「木に縁りて魚を求む」というものです。

＞現時点で「鳩山政権打倒」を目指す
＞ことは

すなわち「第二自民党政権の延命にNoと言う」ことです。
共産党支持者としては、死票になろうが構わず共産党に入れる所存ですが。
自民も民主も両方敵ですから。

＞鳩山政権のあり方に対しては

落第点です。「ネガティブ・キャンペーン」やら気分やらの問題ではない。
迷走の実態を見た上で「第二自民党政権の延命にNoと言う」のです。

五十嵐さんこそ、いまだに民主党を気分というか贔屓目で見ているからそういう評価になるのでしょう。実態ではなく自分の願望を被せて美化して見ている。私に言わせれば、見当違いもいいとこです。

http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2009-09-17

現実の分析と自分の願望を明確に区別することをお勧めします。

by latter_autumn (2010-05-15 16:48)

私も日本共産党サポーターですが、今回の参議院選挙のさしあたっての最大の焦点は残念ながら財界やアメリカいいなりの政治の転換ではなく、自公やみんなの党などの反動的新党群を国民の中で少数勢力においこむことであり、旧政権勢力の復活の阻止ではないでしょうか。

これはけっして民主党を勝たせることとはイコールではなく、このたたかいのなかで柔軟な選挙戦術を採用し、可能な選挙共闘を積極的に構築していくべきです。

現在の日本共産党の選挙戦術である「基本政策の一致」がなければいかなる選挙共闘をおこなわないという方針は、きわめて硬直したセクト的選挙戦術であり、これではいかなる友党もつくれず、孤立した少数会派の日本共産党では国政の上でいかなる有効な行動的も政策の実現もできません。
小選挙区制のもとではこの傾向はいっそう顕著です。

できれば、可能な選挙区では民主党などとの選挙共闘を構築し、日本共産党の政策の一部でも実現させるくらいの柔軟性が求められるでしょう。

by 西岡三郎 (2010-05-15 22:41)

このたびの政権交代は、明治維新に匹敵するいわば革命に等しいものである。
明治維新において、薩長中心の下級武士が、いわば素人同然の不慣れな政権運営を試行錯誤したと同様に、民主党政権がよちよちギクシャクするのはある意味止むを得ないことでもあろう。
それを、かつての自民党政権が半世紀以上の長きに及ぶ官僚丸投げの政治と比較して、現民主党のもたつきを非難するのは如何なものであろうか？
明治維新がようやく軌道に乗るのに１０年ほど掛かったことを想起し、もう少し長い目で見守るのが半年前に政権交代を望んだわれわれ国民の責任というものであろう。
対策を提案することもせずに、非難に明け暮れる世評や評論に何ほどの意味があると言うのであろうか？

by 古井利哉 (2010-05-16 09:42)

力量不足のコメント：民主党へのネガティブキャンペーンについて
民主党へのネガティブ・キャンペーンが優勢なのは、党自身が理由であると述べさせてください。この党は、まだまだ政党として未熟であり、また政権担当者として、あまりにも権力志向がなさすぎです。阪神タイガースみたく、今年は調子よさげと思ったら連敗。ゲート間近で、やったーとバンザイしたら騎手が落馬。やるせない思いを、どこにぶっつけりゃ･･･。ですから「全面的に否定することも全面的に肯定することも、ともに間違い」（五十嵐さん）との発言が、正解に近いかなと感じてしまう次第。
こうしてB型肝炎、水俣病訴訟の一定の進展にしても、元から反対だった人々（右）や何もできなかった人々（左）の、嘲笑と侮蔑と敵対意識のなかで無視され、または差し戻しに至るのでしょう。これが長期にわたった自民党政権下に培われた、辺境・平和日本の慣性法則であり、おれが何してどーなったって、何とか生きてけるみたいだからと、完全に知的な緊張感を失った個別な「正義」思想に生きる者たちの、他者にたいする典型的な振る舞いだと思えます。五十嵐さんがおっしゃる「拡大戦線」など夢のまた夢、おおくの日本人にとって無意識の欲望にすらなりえていない感じ。ただ前回の総選挙で、共産党が自主投票に至った地区もあったらしいですね。理由は知りません。
by わど (2010-05-16 21:49)

前回の総選挙で日本共産党が多くの小選挙区で候補者擁立を見送ったのは、ただ単に財政的に厳しく多額の供託金の没収に耐えられないからにすぎません。
けっして、共産党が国民が望んだ「政権交代」の実現に”協力”するために候補者擁立を見送ったわけではありません。

この間に多くの国民にとって、政治革新にむけた政治綱領は「政権交代」だったにもかかわらず、共産党はすべての選挙区で候補者を擁立し続け、結果的に自公政権を助けてきました。（残念ながら）
そして、その政治的な大義名分が自民と民主は同質・同類であり、悪政を競い合っている”同じ穴のムジナ”なのでどちらも選びようがないということでした。

だが、昨年の都議選から総選挙にいたる一連の出来事は共産党のこの選挙方針の誤りを実証しました。
総選挙での民主への政権交代後の政治情勢を共産党自身も”前向きな変化”と評価せざるをえませんでした。
しかし、今でも共産党の志位指導部はこの間の自身の振る舞いに対して検証も総括もありません。

ここに残念ながら私が共産党サポーターでありながら現在の党指導部のもとでの同党を肯定的に評価できない理由があります。
by 西岡三郎 (2010-05-16 23:21)

西岡三郎さま：
氏のコメントは、こちらにたいするものと解釈してレスを試みます。それにしても、力量不足なコメントにたいして･･･。

共産党のサイトも、こちらは「政党」と名づけたブックマークに登録しています。ですが、あまりアクセスしないため、

>政権交代後の政治情勢を共産党自身も”前向きな変化”と評価

していたとは、まったく知りませんでした。その評価にどう理屈をつけようとも、共産党の目にもリアルに現実がせまってくるのだと、あるレベルで真摯な信頼を分割して捧げてもいいような気分です。
自分のコメントにふれた「自主投票」ですが、政党の立候補見送りについては、基本的な意味で賛成しているわけではないのです。たとえ暴力的な極右の政党であっても、立候補の自由は保障され、また結党している以上は立候補して、キッチリ国民の審判を仰ぐのが民主主義でしょうか。
しかし特殊な戦術として、自主投票はありえると考えていました。たとえ個別な「正義」思想といっても、国民に向かった視線をもっていれば、ある限定された局面（前回の総選挙のような）において、国民的な意味で選択されるべき戦略になるかもと。共産党の主観をこえて、そのような意味を持っていたのだと考えることにしたいと思います。
by わど (2010-05-17 07:05)

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by ティファニーネックレス (2011-07-14 14:41)