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8月27日(金) 問われているのは新福祉国家への移行期におけるリーダーとしての適格性 [民主党]

 「小沢一郎最後の闘い」ということになるのでしょうか。民主党の代表選で、小沢さんは菅首相と真正面から激突することになりました。

 小沢さんは自民党の旧田中派出身です。しかし、それにもかかわらず、脱官僚で自民党政治からの離脱の方向を明示しています。
 菅さんは旧市民運動出身という経歴を持っています。しかし、それにもかかわらず、官僚依存で自民党政治への回帰という方向が濃厚です。
 昨日のブログで、民主党内での「ねじれ」を指摘しました。上に書いたことは、小沢さんと菅さんとの「もう一つのねじれ」ということができるかもしれません。

 日本は今、大きな移行期・過渡期にあります。かつての官僚主導の日本型「企業社会」が立ちゆかなくなり、そこからの脱出路として選択されたアングロ・サクソン型「新自由主義」は破綻し、これらとは異なった「第3の道」を模索しているのが現状です。
 昨年の総選挙に当たって、小沢さんは「国民の生活が第一」という方向を打ち出しましたが、これこそEU型の「新福祉国家」に近い路線であったと思います。最近では中国型も注目されていますが、EU型も中国型も「大きな政府」であるという点では共通しています。
 つまり、今の日本は、第1の日本型企業社会、第2のアングロ・サクソン型新自由主義の両者から、第3のEU型新福祉国家への移行期・過渡期にあるということになります。このような国家モデルの転換を、どれだけ意識的かつスムーズに実行できるかが、これからの国家リーダーには問われることになるでしょう。

 そのような視点からすれば、政治家としての実力やリーダーシップ、政策的な志向性において、菅さんよりも小沢さんの方が数段ましに見えます。今日の転換期において、新しい国家像を提起し実現していくという点でも、2人を比べれば、小沢さんの方が適任であると言って良いでしょう。
 しかし、小沢さんには致命的な問題があります。古い自民党政治の手法と欠陥から脱却できず、「政治とカネ」の問題を今もなお引きずっているという弱点が……。
 せめて、この間に国会でちゃんと説明するか、政治資金の透明化や企業・団体献金の禁止という方向を具体化しておくべきだったでしょう。そうすれば、このような形で問題視されることも、これからずっと追及されることもなかったでしょうに……。

 いずれにせよ、二つしかない選択肢です。どちらが選ばれるかによって、日本の進路は大きく左右されます。
 とはいえ、どちらが選ばれるにしても、政権交代によって託された政策転換の願いを裏切らないでいただきたいと思います。自民党が犯した失敗を繰り返すことなく、第3の選択肢となるような新しい国の形を作り出す契機として、将来、この代表選が評価されるようなものであって欲しいと願っています。

 なお、明日28日(土)、大阪に行きます。民主法律協会の第55回定期総会で講演するためです。
 「参院選後の情勢と今後の労働問題・労働運動」というテーマですが、小沢さんと菅さんの「ガチンコ勝負」で民主党が大荒れになってしまいました。こんな「情勢」の下で、何を、どう話せばいいのやら……。

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元党員本田

現状の混乱をすっきりと整理して頂き、よく理解できました。
私も、社民連出身の菅首相か、自民党出身の小沢元幹事長か、迷っていました。しかし五十嵐さんの解説を読んで、出自はともかく現状の政策を優先するならば、やはり小沢だと、思い至りました。
菅首相が唱える消費税増税は、疲弊する日本経済を奈落の底に突き落とす誤った政策だと考えます。これほど簡単に財務官僚の手玉に取られるとは、菅氏が単に経済が分かっていないだけでなく、今まであれほど反対してきたはずの官僚政治も分かっていなかった、のでしょう。
民主党員ではないので投票権などありませんが、私は小沢を支持します。
ありがとうございました。

by 元党員本田 (2010-08-28 20:35) 

iPhone 4 ケース

こんにちは。
by iPhone 4 ケース (2011-09-23 14:46) 

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