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4月1日(金) 新しい年度にはなったけれど [日常]

 今日から4月です。新年度の始まりで、桜の花も咲き始めました。
 心浮き立つ旅立ちの季節のはずですが、今年はそのような気分になれません。「3.11」後の世界は、これまでとは全く違った景色に見えてしまいます。

 実際に、景色が大きく変わってしまった場所があります。東日本大震災と大津波に襲われた東日本の太平洋沿岸の町や村です。
 無惨な写真や映像を見るたびに心が痛みます。まるで、原爆投下後の広島や長崎、大空襲の後の被災地のようになってしまいました。
 ただただ、瓦礫の山が続いているだけです。ここに大きな街があり、人々の生活が営まれていたとは思えません。

 景色だけでなく、生活の場も生活のあり方も、大きく変わってしまった人々も多くいます。家や財産を押し流されたり、放射能による被曝の危険性があって避難した人々です。
 こうして、住み慣れた故郷を離れ、避難所生活を送らなければならない人々が数十万人もいます。着の身着のままで避難し、不自由な生活を強いられている人々です。
 これらの人々は、いつ故郷に帰れるのでしょうか。どのようにして、生活を立て直したらよいのでしょうか。

 その生活すら突如として終焉を迎え、生命を奪われた人々もいます。死者・行方不明者は2万8000人になっています。
 いや、3万人を越えるかもしれません。行方不明であることすら不明な人が、まだ多くいるからです。
 今回の大震災による犠牲者の数すら、今もって不明なのです。犠牲者の全てを弔うことができるのは、一体、いつのことになるのでしょうか。

 生活の場を奪われ、故郷を離れてさすらう人々をどう助けるのかが、現下の急務です。同時に、復興に向けて、可能なところから手を付けていかなければなりません。
 その際、人生を奪われ、亡くなってしまった人々の死を無駄にすることのない国作りを、どのように進めていったらよいのかが問われることになります。日本社会の底力、日本政治の対応力が試されていると言うべきでしょう。
 「3.11」後の政治や政治家のあり方は変わらなければなりません。今回のような犠牲者を出さない、天災に強く、人災を出さないような国作りへの覚悟と構想力が問われているのですから……。

 災害からの復興は復旧であってはならないでしょう。復旧とは「元に戻る」ということですから……。
 元に戻るのではなく、前に進まなければならないのです。多くのものが失われてしまった今、これを新しいものを生み出す機会とするべきでしょう。
 そのためには、国土・国情にふさわしい政治のあり方、国作りの方向を模索しなければなりません。それはまた、社会的連帯と相互扶助を基調とし、自己責任ではなく公共の再建による新しい社会を生み出す出発点であって欲しいと思います。

 まもなく、瓦礫の荒れ野にも新しい芽が出てくるにちがいありません。それはやがて、みずみずしい葉となり、花を咲かせ、豊かな果実を実らせることでしょう。
 私たちは、これまでとは違った新しい社会の創造に向けて、歩み出すことができるはずです。かつて、戦争の荒廃から立ち直り、平和憲法の旗を掲げて戦後の復興を成し遂げた時のように……。

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