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6月9日(木) 菅首相は脱原発への転換によって歴史に名を残せ [首相]

 期せずして、「乏しい実績」「成果乏しく」という同じような見出しが出ていました。昨日の『朝日新聞』(「菅政権 乏しい実績」)と『日経新聞』(「菅内閣 成果乏しく」)の記事です。
 今日の『毎日新聞』には、「何が変わりました?」という記者の問いに、「大して何も変わっちゃおらんわ!」と答えた伸子夫人の言葉も出ていました。いずれも、菅首相についての辛口の評価ですが、全くその通りで、期待はずれでガッカリです。

 でも、菅さん。腐ることはありません。まだ、わずかながらチャンスは残されています。これまでの歴代政権の原発推進政策をきっぱりと止め、再生可能エネルギーへの転換を明確にすることです。
 「あの時、日本のエネルギー政策は反転したのだ。それによって日本の政治と社会は劇的に変わった」と、後世の歴史家が評価するような「実績」を残したらどうですか。そうすれば、もう誰も「乏しい」などとは言わなくなります。
 首相を辞めてからの「贖罪のお遍路」も、必要なくなるかもしれません。6月いっぱいで退陣、7月には新政権発足という見通しのようですから、まだ、そのための時間は残されています。

 「家庭内野党」の伸子夫人によれば、「浜岡原発を止めたのは大きいんじゃないかなあ。突発の思いつきなんかじゃない」と評価されています。菅さんは「風力や太陽光エネルギーこそ、次の時代の基幹エネルギーになると信じてきた。それに究極は植物によるバイオマスエネルギーも夢見ている」そうです。
 もし、そうだとすれば、もう一歩、歩を進めるべきでしょう。「脱原発・再生可能エネルギーへの転換」を、もっとはっきりと打ち出したらどうですか。
 そうすれば、菅さんが首相になって政権を担当した意味も明確になります。日本が進むべき方向を大きく転換させた政治指導者として、後世において高く評価されることでしょう。

 すでに、菅首相は「エネルギー基本計画」の見直しを表明し、フランスのドービル・サミットで「太陽光パネルを1000万戸に設置」して「自然エネルギーの発電割合を2020年代早期に20%まで引き上げる」ことを、国際公約として明らかにしました。発送電分離の方向も示唆しています。
 在任中に、これをさらに具体化した「工程表」を明らかにしてもらいたいものです。そして、原発に頼らないエネルギー政策の骨格を示し、電源3法の廃止、電力供給の仕組みの転換、電力料金決定方法の見直しなどを通じて、原発ビジネスを儲からないシステムへと変更するべきでしょう。
 そうすれば、黙っていても原発は「自然死」することになります。後継政権がどうなろうと、例え自民党が政権に加わることがあっても、「脱原発」政策は維持されることになるでしょう。

 そもそも、これからの日本において、これまでと同様の形で原子力発電を維持できると考える方が非現実的です。世界の趨勢は脱原発に向けて動き始めていますし、日本の原発の安全性は世界中から疑いの目で見られているからです。
 福島第1原発の事故は未だ収束の兆しが見えず、放射能汚染地域は拡大し、放射能の濃度は蓄積され続けています。その被害がどれほどのものであったかが明確になるのは、これからのことなのです。恐らく、驚愕の事実が次々と現れてくることでしょう。
 原発の安全神話は全くの偽りで、それが制御不能の「怪物」であったことは誰の目にも明らかになりました。原子力発電には、事故対策まで考えれば膨大なコストがかかることも明確になり、日本のような地震国での原子力発電がいかに危険で無謀かつ愚かな試みであったかも、世界中の人々の知るところとなりました。

 そのようななかでの原子力発電が、これまでと同じように継続できるはずがありません。また、そうであってはならないでしょう。
 世界の人々はもとより、日本の国民もそれを許さないと思います。また、許してはなりません。
 原発は約30年で寿命を迎えますが、新しく作っても稼働することは難しく、13ヵ月ごとに必要とされる定期点検後の再稼働も、極めて困難になるでしょう。地方自治体の首長は許可を出すことを渋り、裁判になればもはや「安全神話」を前提とした判決を出すことはできません。

 つまり、日本の原発がいずれ稼働停止に追い込まれる可能性は、これまでになく高まっています。ドイツが選択した道を、遅かれ早かれ、日本も歩まざるを得なくなるでしょう。
 政治が先手を打つべきです。政治家としてその先頭に起つことこそが、菅さん、あなたに残された最後の役割なのです。
 その役割を果たすことで、歴史に名を残してください。脱原発に舵を切った首相として名前を残せるチャンスを、是非、逃さないでいただきたいものです。

 というような話を、今度の日曜日に、新潟でするつもりです。6月12日(日)に「平和と民主・社会シンポをめざす新潟県の会」(新潟県革新懇)主催のシンポジウム「原発からの撤退を大きな国民世論に!-再生可能な自然エネルギーへの転換を求めて」で「原発震災と政治の責任-再生可能な豊かな日本の自然エネルギー」という講演をするからです。
 一緒に話をされるのは、小林昭三新潟大学名誉教授「レベル7の原発事故を教訓に、柏崎刈羽原発の総決算を」と、関根征士新潟大学名誉教授「放射能被爆の危険性」のお2人です。場所は新潟市の万代市民会館・6階多目的ホールで、時間は午後1時半からです。

 お近くにお住まいで、興味と関心のある方にご出席いただければ幸いです。私は、前日に村上雲雄君のギャラリー兼レストラン「木り香」に宿泊して会場に向かう予定です。
 ふる里の皆さんにお会いできることを楽しみしています。

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