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7月17日(日) 菅首相の「原発ゼロ」表明を「無責任」な「絵空事」に終わらせてはならない [原発]

 菅首相の「将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」という「原発ゼロ表明」に対して、関係閣僚と調整せず、唐突にエネルギー政策を転換する方針を示したとの批判が浴びせられています。「個人の夢」(野田佳彦財務相)や「単なる願望」(仙谷由人官房副長官)などという指摘もありました。

 私は13日のブログで、「今後、巻き返しにあう可能性もあります」と書きましたが、予想通りの反応です。『読売新聞』は「深刻な電力不足が予想される中で、脱原子力発電の“看板”だけを掲げるのは無責任」と批判し、『産経新聞』は首相の説明について「内容は全く不十分で、無定見ですらある」として「一刻も早い退陣こそ求めたい」と書いています。
 このようななかで、菅首相も15日午前の閣僚懇談会で「私個人の考えだ」だなどと釈明し、無責任な対応を示しました。冗談じゃありません。
 首相としての発言は、「個人」ではなく「公人」としてのものに決まっているじゃありませんか。首相としての責任をきちんとわきまえてもらいたいものです。

 原発推進勢力の巻き返しにあって、菅首相自身がたじろいでしまっては困ります。このまま曖昧にされれば、やっぱり「無責任な放言にすぎなかったのか」ということになりかねません。
 具体的な施策によって裏打ちされなければ、単なる「絵空事」に終わってしまうでしょう。それは菅首相の望むところでもないはずです。
 菅首相の「原発ゼロ」に向けての表明を「無責任」な「絵空事」に終わらせてはなりません。そのためには、3つのことが必要です。

 第1には、閣内や民主党内を「原発ゼロ」をめざす方向でまとめることです。事前の協議や調整がなかったというのであれば、これからきちんと詰めればよいのです。
 閣議で、閣僚1人1人の意見を確認するべきでしょう。もし、従わないというのであれば、罷免すれば良いだけのことです。
 原発を減らすことや菅さんが打ち出した方向性については、一応の合意があるはずです。「将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」という思いを共有する点で、閣内や民主党首脳部との意思統一を図るべきでしょう。

 第2には、後継政権への継承を確実にすることです。これは、有力な次期後継者がいる閣内での意思統一を図ることで、かなりの部分は達成されます。
 それに加えて、具体的な施策を実現しなければなりません。その第一歩になりうるのは、再生エネルギー促進法案の成立です。
 これは、菅首相の「退陣3条件」の一つでもあります。この法案の成立に目処を付けることは、菅首相の早期退陣を求める人々の意にもかなうことでしょう。

 第3には、具体的な段取りや計画を策定することです。菅首相は、先の記者会見で「原発に依存しない社会を目指すべきだと考え、計画的、段階的に原発依存度を下げる」と述べましたが、そのための具体的な計画を示しませんでした。
 早急に、これを策定しなければなりません。電力供給の不足を招かない形での原発依存度の低下が可能であることを、具体的に示す必要があるでしょう。
 財界や電力会社、経産省などは、猛烈な電力不足キャンペーンを展開して巻き返しを図っています。これを押し返すためにも、政府が責任を持って具体的な計画を示さなければなりません。

 それにしても、閣僚や民主党幹部の中で、「原発ゼロ」という目標を明確にしているのが菅首相しかいないというのは誠に残念です。このような状況こそが、菅首相が居座る最大の理由になっているということに、どうして気がつかないのでしょうか。
 もし、首相の早期退陣を願うのであれば、「原発ゼロに向けての思いは分かりました。後は私たちに任せてください」と言えば良いのです。逆に、「そんなのは個人的な願望にすぎない」などというものだから、菅さんは「やっぱり、俺がやらねば」と思い詰めてしまうんじゃないでしょうか。

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