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7月14日(木) この夏を脱原発に向けての分岐点に [原発]

 脱原発に向けて、大きな岐路を曲がりつつあるようです。日本の政治にとっても、将来のエネルギーや生活のあり方においても、重大な転換点となることでしょう。

 昨日、菅首相は官邸で記者会見し、今後のエネルギー政策について「将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」と述べて、長期的には原発のない社会を目指す考えを表明しました。首相は福島第1原発の事故後、現在のエネルギー基本計画の見直しに言及していましたが、「脱原発」に転換する方針を明確に打ち出したのは、これが初めてです。
 この方向を堅持しなければなりません。この夏を、「あの時、日本の進路は変わったのだ」と、後世になってから振り返ることのできる分岐点としなければなりません。
 私は、6月9日のブログ「菅首相は脱原発への転換によって歴史に名を残せ」で、「脱原発に舵を切った首相として名前を残せるチャンスを、是非、逃さないでいただきたいものです」と書きました。菅さんは、今回の表明によって、この「チャンス」を生かしたことになるでしょう。

 ただし、「原発に依存しない社会を目指すべきだと考え、計画的、段階的に原発依存度を下げる」と言いながらも、その時期など具体的な目標は「中長期的展望に基づいて議論し固めていきたい」と述べるにとどまったという問題はあります。また、原発の再稼働についても「私を含め4人の大臣で判断する。大丈夫となれば稼働を認めることは十分あり得る」と述べるなど、不十分で中途半端な点もあります。
 それでも、この表明の歴史的な意義は消えません。日本のエネルギー政策の根本的な転換に向けて一歩前進したことは明瞭です。

 しかも、これに足並みをそろえるかのように、昨日、二つの注目すべき動きがありました。一つは、『朝日新聞』の一面に掲載された「原発ゼロ社会 いまこそ政策の大転換を」という提言であり、もう一つは、全国知事会議での嘉田滋賀県知事と吉村山形県知事の「卒原発」共同提言です。
 これらもまた、脱原発に向けての動きを強めるものです。菅首相の表明は世界の脱原発に向けての流れにも、国内の世論動向にも添うものであることは明らかです。

 このような菅首相の表明に対して、退陣を表明しているのにおかしいじゃないかとか、場当たり的な思いつきで単なるパフォーマンスにすぎないという指摘があります。政権の延命を図ろうとする邪悪でよこしまな意図が見え隠れするとの批判もあります。
 しかし、問題は意図ではなく結果です。政治とは、そういうものでしょう。
 延命のためであれ何であれ、その結果、脱原発へと転換する道筋が表明されたことは、大いに評価したいと思います。具体論についての言及がなく、今後、巻き返しにあう可能性もありますが、それはこれから詰めていけばよいことです。

 政権延命のためのパフォーマンスついでに、いっそのこと消費税引き上げやTPPへの参加方針も見直したらどうでしょうか。それに加えて、普天間基地の辺野古移転日米合意の撤回と国外移設を打ち出してもらいたいものです。
 そうすれば菅内閣の支持率は急浮上し、政権延命の効果は絶大なものとなるでしょう。居座りに執念を燃やす菅首相には、ぜひ、検討していただきたいところです。
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