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10月5日(水) 連合第12回定期大会を傍聴してきた [労働]

 2年ぶりの東京国際フォーラムでした。昨日、ここで開かれた連合第12回定期大会に出席し、報告と討論を傍聴してきたからです。

 2年前の2009年10月にも、第11回定期大会が開かれました。この大会は、連合にとっては結成20周年に当たり、しかもその直前に政権交代が実現していましたから、大いに注目されました。
 おそらく、新総理となった鳩山さんも出てきて挨拶するだろうということで、是非、傍聴したいと思いました。思った通り、鳩山由起夫新首相は大会に出席しましたが、私はその姿を見ることができませんでした。
 この日の朝、東京には強風が吹き荒れ、私の乗った中央線は途中でストップしてしまったからです。結局、午前中の議事は聞くことができず、午後の報告と討論を傍聴できただけです。

 今回は、このようなことはありませんでした。朝9時から開会ということで、西八王子発7時21分の電車に乗りました。
 有楽町にある東京国際フォーラムには、開会の10分前ほどに到着しました。一番大きなAホールです。
 今回の大会では、古賀連合会長が原発についてどのような方針を打ち出すか、新任された野田首相が出席して何を言うかを注目しました。もっとも、古賀さんが原発について推進方針を転換するということは、すでに報道されていましたが……。

 古賀会長の挨拶のうち、原発についての新方針は昨日の夕刊各紙でも報道されています。それは「中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減していき、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会をめざしていく必要がある」というものです。ひと言で言えば、脱原発依存方針だと言って良いでしょう。
 この考え方に沿って、大会後に政策委員会の下に「エネルギー政策総点検・見直しPT(プロジェクトチーム)」を設置して具体的な検討を進めるそうです。その間の短期的な課題としては、「産業や雇用への影響に充分配慮しながら、エネルギー安全保障の観点を含め、安定的なエネルギー供給を図る必要があり」、「定期点検等による停止中原子力発電所の活用についても、周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民法海、安全性の強化・確認を国の責任において行うことを前提に、検討していくことなる」とされています。
 慎重な言い方ながら、再稼働に反対しないという含みを持たせたものになっていると言って良いでしょう。
 討論の中では、この会長の挨拶を歓迎しながらも、「『最終的には』というのはいつのことなのか。せめて私の生きているうちには実現してもらいたい」という発言もありました。「停止中原子力発電所の活用」(再稼働)についても、様々な異論が提起され、PTでの議論は紛糾するにちがいありません。

 もう一つの注目点であった野田佳彦新首相ですが、予想通り、大会に出席して挨拶しました。しかし、原発については事故の収束に全力を挙げ、今年中の冷温停止をめざすと表明しただけで、今後の方針については全く触れませんでした。
 同時に、大震災からの復旧・復興や経済対策などやらなければならないことをしっかりやっていきたいとしつつ、分厚い中間層が存在する日本にしたいと述べ、連合の協力を求めた点は注目されます。別の言い方をすれば、中間層の貧困化による格差の拡大を逆転させるということになるからです。
 野田首相には、この持論を投げ捨てることなく、具体化することを求めたいものです。最低賃金の引き上げや労働者の収入増を図るとともに、所得税の増税に当たっても、年収1000万円以下は除外するなどの中間層対策が必要でしょう。

 政府側からは、小宮山厚生労働大臣も出席して挨拶されました。民主党の輿石幹事長は挨拶の中で、新しい首相と厚労相がそろって連合大会に出席して挨拶するのは初めてのことだと胸を張っていました。
 前回は鳩山首相だけで、長妻厚労相は顔を出さなかったようです。今回このようなそろい踏みとなったのは、恐らく輿石さんの差し金だったにちがいありません。
 政党からは、輿石民主党幹事長の他に、国民新党の亀井亜紀子政調会長、社民党の福島みずほ党首も挨拶されました。この後、国際労働組合連合(ITUC)書記長やILOの代表などの外国からの来賓の挨拶が続き、午前中の議事は終了です。

 午後は、活動報告と運動方針の提案などがあり、それに対する討論がありました。東日本大震災や原発事故の影響がどれほど大きなものであったのか、それに対してそれぞれの立場や持ち場で労働組合がどう立ち向かったのかが、発言の端々からうかがうことができました。
 今回の大震災と原発事故によって、労働組合と労働運動も大きな試練にさらされたということです。それからどう立ち直り、どのような方向で復旧・復興を進めていくことになるのでしょうか。
 今回の連合大会のスローガンは、「復興・再生に全力を尽くし、『働くことを軸とする安心社会』につなげよう」というものでした。それが実現し、少なくとも働く者が報われる「新しい社会」へと転換していく契機になってもらいたいものです。

 とはいえ、方針についての報告や討論でも、大震災からの「復興・再生」において、構造改革型復興と新福祉国家型復興という二つの道の対決というとらえ方や、前者に対する警戒心などは全くうかがわれませんでした。この辺に、連合の限界と物足りなさを感じたのも正直な感想です。

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