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4月28日(日) 憲法に対して揺れている国民の意識 [憲法]

 国民は憲法に対してどのような意識を抱いているのか。毎年、憲法記念日が近づいてくる度に、このような世論調査が行われています。
 今年は特に、このような意識調査が注目されています。それは、安倍内閣が96条の改憲を参院選の公約に掲げることを明らかにしているからです。

 昨年の調査はどうだったでしょうか。9条の会のブックレット『憲法九条の新たな危機に抗して』でも紹介したように、昨年5月の調査では、改憲を支持しても9条改憲や96条改憲には反対という意見が多いという傾向がありました。
 たとえば、産経新聞社とFNN合同の世論調査(『産経新聞』2012年5月1日付)では、憲法改正は必要57.6%、憲法改正要件を緩和すべきだ42.6%、緩和すべきでない44.2%と、改憲は必要だが96条改憲には反対だという意見が多数になっていました。また、日本経済新聞調査(『日本経済新聞』2012年5月3日付)でも、憲法を改正すべき53%と過半数を超えていましたが、このように改憲支持が5割を超えたのは07年調査以来5年ぶりのことです。
 さらに、朝日新聞調査(『朝日新聞』2012年5月3日付)でも、改憲の「必要がある」51%、「必要はない」29%というように、改憲論が多数になっています。しかし、憲法9条改正に賛成30%、反対55%、改正手続きの緩和に賛成36%、反対45%と、9条改憲と96条改憲のいずれについても、反対の方が多くなっています。

 このような国民の意識は、その後、どう変わったのでしょうか。安倍第2次政権の登場と内閣支持率の高さ、中国や韓国との領土紛争の高まり、ミサイル発射で脅す北朝鮮の挑発行為などの影響を受けて、国民意識の変化が生ずることは、ある意味では当然のことかもしれません。
 しかし、それでも、9条改憲や96条改憲への支持が急増する形になっていないという事実は注目されます。最近の調査では96条改憲についての意見は分かれ、判断の保留も目立つといって良いでしょう。
 たとえば、読売新聞(2013年3月30、31日実施、カッコ内は昨年2月調査)では、憲法を「改正する方がよい」51%(54%)、「改正しない方がよい」は31%(30%)となっており、96条については、「改正すべきだ」と「改正する必要はない」がともに42%となっています。確かに、改憲論は多数ですが昨年よりも減って半数をギリギリ超える程度ですし、96条改憲については賛否が拮抗し、賛成が多数になっているわけではありません。

 また、NHK世論調査結果(2013年4月8日)でも、憲法改正の必要「あると思う」39%、「ないと思う」21%と、改憲論は多数です。しかし、それは半数に届かず、「どちらともいえない」という回答が33%と、三分の一になっています。
 96条の改正についても、「賛成」28%、「反対」24%と、賛成の方が多いものの3割以下にとどまっています。一番多い回答は「どちらともいえない」で、40%でした。
 国民は、迷っているということでしょうか。これらの回答からは、賛否いずれに決めたらよいのか、考えている最中であるような姿が浮かんできます。

 もう一つ、注目すべき調査があります。産経新聞社とFNN合同の世論調査(2013年4月20、21日実施)です。
 憲法改正については、「賛成」61.3%、「反対」26.4%と賛成の方が多くなっているのは、「やっぱり」という感じです。しかし、96条の改正については「賛成」42.1%、「反対」44.7%と、反対の方が3ポイント近く上回っています。
 これは96条改憲の旗を振っている産経新聞の調査であるという点が重要でしょう。その産経の世論調査ですら、96条改憲への反対論の方が多くなったということは、誠に興味深いものがあります。

 「このような意識のままでは、96条改憲は国民投票で否決されてしまうかもしれない」と、産経新聞などの改憲論者たちは危機感を高めたのではないでしょうか。そのような「恐れ」を改憲推進勢力に抱かせることができれば、96条改憲を阻止することは可能です。
 賛否いずれに決めたらよいのか、考えている最中で、今も迷っている国民に働きかけることが重要でしょう。これらの人々に改憲論の危険性と過ちを理解していただき、世論を大きく変えてゆくことができるなら、改憲攻勢を押し返すことは充分可能だということを、この間の世論調査は教えているように思われます。

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