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9月1日(日) 安倍首相は歴代首相のなかで最も危険な「違憲宰相」になりつつある [首相]

 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 これは日本国憲法の第9条です。憲法の平和主義原理を定めた有名な条文ですから、どなたも良くご存知のはずです。しかし、現在の内閣の中枢にいる人々はどなたも、この条文を良く理解していないようです。
 この条文には、3つの原理が示されています。一つは戦争放棄であり、二つ目は戦力不保持です。
 実は、もう一つ、重要な原理が示されています。それは、最後に書かれている「国の交戦権は、これを認めない」という文章です。

 ここには、国際紛争を解決するために、戦争、武力による威嚇、武力の行使は行わなってはならないこと、そのために軍隊を持たないこと、そして、第3に「国の交戦権」を認めず、したがって交戦権を発動してはならないことが定められています。当然、そのための準備も、憲法上、認められないことになります。
 この9条がある限り、国際紛争を解決するために戦争を始めたり、武力で威嚇したり、武力に訴えたりしてはなりません。それは憲法違反になります。
 この9条がある限り、自衛隊を「戦力」にしてはならず、その「陸海空軍」によって交戦権を発動することは許されません。それは憲法違反になります。

 この9条はまだ変更されていません。したがって、現在の安倍首相も内閣も、この憲法を尊重し擁護する義務を負うことになります。
 ところが、安倍首相は国際紛争を解決するために、戦争を始めたり、武力で威嚇したり、武力に訴えたりしようとしています。また、自衛隊はすでに「国際法上は軍隊」であると公言しています。
 すでに、いろいろなところで指摘しているとおり、安倍首相は2月1日の参院本会議で、「自衛隊は国内では軍隊ではありませんが、国際法上は軍隊として扱われています。このような矛盾を実態に合わせて解消することが必要と考えます」と答弁し、自衛隊が「国際法上は軍隊として扱われ」る「実態」をもっていることを認めました。その安倍首相自身、2006年12月1日付で、自衛隊は「通常の観念で考えられる軍隊とは異なるもの」で、憲法9条第2項で「保持することが禁止されている『陸海空軍その他の戦力』には当たらない」との答弁書を鈴木宗男議員に出していました。

 自民党の歴代首相と共に、安倍首相自身、自衛隊について嘘をついていたことになります。ということは、自衛隊の「実態」はすでに9条に違反して「戦力」となっていることを認めたわけです。
 そればかりではありません。その「戦力」によって交戦権を発動することを前提にした軍備増強のための準備を着々と進めています。
 防衛省は昨日、前年度より2.9%増の総額4兆8,900億円余りに上る2014年度予算の概算要求をまとめました。そこには、オスプレイの陸上自衛隊への2015年度以降の導入に向けた調査費として1億円、アメリカ軍の「グローバルホーク」のような高高度滞空型無人機の調査費の大幅な増額、尖閣諸島などの離島防衛の強化を名目に水陸両用専門部隊を将来的に設けるのに向けて30人規模の「水陸両用準備隊(仮称)」を新たに編成する費用、さらに、北朝鮮による弾道ミサイル発射などに備えた防衛省の敷地内に地上配備型迎撃システム「PAC-3」の一部を常時配備するための格納庫や弾薬庫の設置などの整備費17億円などを計上しています。

 このような軍拡予算は、中国や北朝鮮との紛争を、戦争や武力によって解決することを前提にするものです。それは同時に、いつでも、どのような状況の下でも、米軍と共に戦争に加わることができるような準備を始めたことも意味しています。
 憲法9条を変えることを念頭に96条の先行改憲を提起し、それが上手くいかないと見るや集団的自衛権の解釈を変えることをめざそうとしています。そのために、慣例を破って内閣法制局長官のクビをすげ替えるという「禁じ手」まで使う暴挙に出ました。
 さらに、安保法制懇や国家安全保障戦略有識者会議などを隠れ蓑にしつつ、国家安全保障基本法、特定秘密保護法などの防衛関連諸法の制定と自衛隊法の改定によって憲法の内実を変えてしまう「立法クーデター」を画策しています。あわせて、日本版国家安全保障会議(NSC)と内閣情報局の新設、自衛隊の運用一元化による制服組の権限強化など、戦争できる体制の整備を進めようとしているわけです。

 これまでの歴代内閣と安倍内閣との質的な相違は、このようにして日本を「戦争できない国」から「戦争できる国」へと変えるために、本気で取り組み始めたということにあります。この点では、これまでのどの内閣とも第2次安倍内閣は異なっています。
 この点で、正真正銘の「アブナイ閣」だと申せましょう。9条が存在する下でのこのような戦争準備の施策は、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認という9条の原理に反する明確な憲法違反であり、安倍首相は最も危険な「違憲宰相」になりつつあると言わなければなりません。

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