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7月3日(木) 集団的自衛権行使容認が閣議決定された後の新たな課題 [集団的自衛権]

 閣議決定された後も、官邸前や国会周辺では「閣議決定撤回」を求め、「安倍やめろ」の声が響きました。閣議決定は始まりにすぎず、これからの方が本格的な対決の場を迎えることになるからです。

 
 閣議での決定は政府の基本方針を示すものです。しかし、それは政府を構成する行政機関の意思を拘束するにすぎません。
 国民はもとより国会議員や裁判官を拘束するものではなく、独自の判断に基づく自由な意思表明が可能です。そして、そのような場面はすぐにやってくるでしょう。
 まず、7月14日に衆院、15日に参院で予定されている予算委員会での集中審議があります。この場で説明責任を果たさせ、閣議決定の内容と安倍首相の記者会見との矛盾を明らかにして首相の嘘を暴くとともに、与党合意に対する自民党と公明党の理解の齟齬を突いて両者の違いを追及する必要があります。

 閣議決定された内容は、法律によって具体化されなければ効力を持ちません。特別チームを編成して、そのための作業が始まりました。
 改定が必要な関連諸法は16本、協定が2本と言われていますが、今後の検討によっては増減するかもしれません。改定作業の準備ができたものから、これらは順次国会に提出されます。
 早ければ秋の臨時国会での論戦が始まります。これに続いて、通常国会でも関連諸法や協定の改定に向けての審議がなされるでしょう。

 これらの審議を通じて、集団的自衛権行使容認の危険性を明らかにし、改定を阻止することが必要です。少なくとも、「限定」の縛りを強めて実際には行使できないような制約を課すことが課題になります。
 「平和国家としての日本の歩みは変わらず、歩みをさらに力強いものにする」「海外派兵は一般に許されないという従来の原則は全く変わらない。自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない」と、安倍首相は記者会見で断言しました。法改定に際して、これらの約束を守らせなければなりません。
 また、今回の閣議決定については自民・公明間の理解や解釈に違いがあり、対立が再燃する可能性もあります。公明党には、「限定」や「歯止め」を具体化する責任をきちんと果たしてもらわなければなりません。

 関連諸法や協定の改定審議と並行して、閣議決定の是非を問うことができるような裁判闘争の準備を進めることも重要です。集団的自衛権行使容認に関する憲法裁判の提起という課題です。
 それが可能であれば、できるだけ早い方がよいでしょう。最高裁に、山本庸幸元内閣法制局長官が在職しているうちに。
 安倍首相は自分の言うことを聞く小松一郎元仏大使を内閣法局長官に据えるため、前任者の山本さんを最高裁判事に追い出しましたが、その就任に際して山本さんは異例の記者会見を行って「集団的自衛権の行使は、従来の憲法解釈では容認は難しい」と発言しています。統治の基本に関する高度な政治性を有する国家の行為については司法審査の対象から外すべきだとする「統治行為論」で逃げない限り、違憲判決が出る可能性は十分にあると思います。

 今回の閣議決定は典型的な解釈改憲であり、これに続く関連諸法の改定は立法(実質)改憲を意味しています。このような改憲の動きは最終的には憲法の条文を変える明文改憲という形で総括されることになるでしょう。先の通常国会では改正国民投票法が成立し、そのための準備が着々と進められています。
 3つの改憲戦術が総合的に駆使されているということになります。このように既成事実を積み重ねつつ国民を馴らし諦めさせて、憲法を変えてしまおうという策略なのでしょう。
 このような策略に惑わされ、「もう決まってしまったのだから」と諦めてはなりません。これらの各段階での総反撃を繰り返して安倍内閣にボディブローを与え、変わりつつある世論をさらに大きく変えて退陣に追い込むことが必要です。

 年末に予定されている日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定では、集団的自衛権を踏まえた自衛隊の役割が盛り込まれる可能性があります。その前の11月には、集団的自衛権と直結する米軍基地問題が争点となる沖縄県知事選があり、来春は統一地方選が行われます。
 このような機会にきちんとした審判を下し、民意を裏切った政権は民意によって葬り去られるのだという、民主主義社会としては当たり前の教訓を与えなければなりません。言っても聞かない独裁者には、実際の行動と厳しい結果によってきちんと教えるしかないのですから……。



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