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12月3日(水) 日本政治の混迷と混乱の元凶は政治改革の失敗にある [選挙制度]

 土井たか子元社会党委員長がなくなりました。護憲と自民党政治を打破するために生涯を捧げられた土井さんのご冥福を祈りたいと思います。
 そのお別れの会で、河野洋平元衆院議長・元自民党総裁が、次のような発言をして注目されました。

 「私は土井さんをずっとみつめながら、尊敬しながら、政治活動をしてきましたけども、最後にあなたに大変申しわけないことをした。おわびしなくてはならない。謝らなければならない大きな間違いをした。
 細川護煕さんと2人で最後に政治改革、選挙制度を右にするか、左にするか、決めようという会談の最中、議長公邸にあなたは呼ばれた。直接的な言葉ではなかったけれども、『ここで変なことをしてはいけない。この問題はできるだけ慎重にやらなくてはいけませんよ』と言われた。あなたが小選挙区に対して非常な警戒心を持たれていた。
 しかし、社会全体の動きはさまざまな議論をすべて飲み込んで、最終段階になだれ込んだ。私はその流れの中で小選挙区制を選択してしまった。今日の日本の政治、劣化が指摘される、あるいは信用ができるかできないかという議論まである。そうした一つの原因が小選挙区制にあるかもしれない。そう思った時に、私は議長公邸における土井さんのあの顔つき、あの言葉を忘れることができません。」

 小選挙区制は、1994年に当時の細川首相と河野自民党総裁の合意によって導入されました。その時の衆院議長が土井さんだったのです。
 この時、土井さんは小選挙区制を警戒し、できるだけ慎重にやることを求めていたというのが、河野さんの証言です。そして、「今日の日本の政治、劣化が指摘される、あるいは信用ができるかできないかという議論まである。そうした一つの原因が小選挙区制にあるかもしれない」と、反省の弁を述べたわけです。
 河野さんは、これまで何度も小選挙区制は間違いだったと表明してきました。土井さんのお別れの会で、再び、その反省を明らかにしたことになります。

 ここで河野さんが述べられているように、今日の日本の政治の劣化や信用低下の背景には、明らかに小選挙区制の問題が大きく横たわっています。選挙制度が変わって小選挙区制が導入されなければ、日本の政治はこれほどに劣化せず、信用を失うこともなかったでしょう。
 小選挙区制によって選挙での投票は歪められ、投票しても「死票」となって当落に関係せず、少数の支持しか得られなくても絶対多数の議席を獲得できるような制度は、民主主義の名に値しません。このような選挙制度を認め、その維持・存続を許容するような人は民主主義の何たるかを分かっていないというべきでしょう。
 小選挙区制のおかげで民意と国会内での議席分布は乖離し、政党指導部の支配力は強まり、政治家の質は劣化し、政治への信頼は低下し続けています。このような選挙制度は一日も早く廃止されなければなりません。

 先日のブログで問題として指摘した多額の政党助成金の支払いも、政治改革の一環として選挙制度改革とともに導入されたものです。今日、その失敗は誰の目にも明らかになっています。
 小選挙区制が導入され政党助成金が支払われても、「政治とカネ」の問題は解決されず、政治への信頼は高まっていません。政治改革は失敗したのです。
 日本政治が陥っている今日の混迷から抜け出すためには、政治改革のやり直しが必要です。今回の総選挙を、それに向けての第一歩としなければなりません。

 そのためには、政治改革によって既得権益を得てきた政党や政治家を減らす必要があります。その点から言っても、自民党と自民党候補には決して投票してはなりません。

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