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5月15日(金) 閣議決定された「戦争法案」を成立させてはならない [戦争立法]

 「新しい安保法制の整備によって戦争できるようにしますから、戦争になることはありません。」 安倍首相の記者会見での説明は、せんじ詰めればこのようなものです。
 この説明を国民はどこまで理解できたでしょうか。

 安倍内閣は昨日の夕方、臨時閣議を開いて集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障関連法案(安保法案)を閣議決定しました。これを受けて午後6時から安倍首相は記者会見し、法案の内容を説明してその意義を強調しました。
 首相は、「極めて限定的に、集団的自衛権を行使できることとした」として、「『戦争法案』などといった無責任なレッテル貼りは全くの誤りだ」と反論していました。「それなら、こんなに無理をして新しい法律を制定する意味はどこにあるのかしら」と、テレビを見ていたカミさんが言っていました。それが、一般国民の率直な感想でしょう。
 首相がどのように説明しても、これは「安保法案」の装いを凝らした「戦争法案」です。断じて、成立させてはなりません。

 安倍首相は法整備の必要性について、「もはや1国のみで、自国を守ることができない時代だ」と指摘し、今後も平和国家としての歩みを堅持する考えを示した上で、「積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献していく」と訴えました。米国の戦争に巻き込まれるとの懸念に関しては、「絶対にあり得ない」と明言し、日米安全保障条約の改正も世論の反発が強かったことを振り返り、「批判が的外れなことは、歴史が証明している」と語っています。
 これまでも、安倍首相は安保条約の例を出して、戦争に巻き込まれるとの批判は的外れだったと言い続けてきました。しかし、安保条約があるために日本はベトナム戦争やイラク戦争の出撃基地とされ、沖縄は今も新基地の建設をめぐって揺れ動いています。
 安保条約があるために日本は米国の間違った戦争に協力させられてきたことは歴史が示している通りです。それが自衛隊によって「殺し、殺される」という形にまでエスカレートしなかったのは、憲法9条の制約があり、「専守防衛」という歯止めがあったからではありませんか。

 今回、閣議決定された「戦争法案」が成立すれば、このような歯止めは取り去られてしまいます。自衛隊の活動範囲は地球規模に拡大し、これまで行くことがなかった危険な戦場に送られて武器を使用することが可能になります。
 米軍との一体化が進み、戦争協力の体制が強まり、戦場に派遣されて戦闘に巻き込まれる危険性が増すことは、誰が見ても明らかでしょう。自衛隊によって「殺し、殺される」不測の事態が生ずることは十分に考えられます。
 「安保法案」は「国際平和支援法案」という新法と「平和安全法制整備法案」という一括法という形で国会に提出されます。どちらにも「平和」という名称が付されていますが、名前でごまかし、「事態」連発で幻惑し、一括して短期間に決着させようという狙いが見え見えです。

 このような狙いを見抜いて、野党は少なくとも慎重な審議を要求するべきでしょう。何が何だかわからないうちに審議が進み、気が付いたら成立していたなどということのないようにしてもらいたいものです。
 しかも、「戦争法案」の成立を見越して、沖縄・辺野古での巨大新基地の建設、自衛隊によるオスプレイの購入、米空軍オスプレイの横田基地配備の計画など、日米の軍事的一体化に向けての既成事実化が始まっています。
 また、後半国会にはJA全中(全国農業協同組合中央会)の一般社団法人化を柱とする農協法改正案、負担増大やサービス低下の国民健康保険法等改正案と公的年金制度改革法案、「残業代ゼロ法案」と言われている労働基準法改正案、「生涯ハケン」を可能とする労働者派遣法改正案などの大型法案が目白押しです。「戦争法案」とともに、与野党の激しい論戦が繰り広げられることになるでしょう。

 安倍政権の暴走もここに極まれり、というところでしょうか。安保、沖縄、オスプレイ、農業、TPP、医療、年金、社会保障、労働、そして原発再稼働などをめぐるあらゆる領域での総攻撃がかけられようとしています。
 国民的な総反撃によって安倍首相を孤立させ、民意に反する政策の実施を阻止しなければなりません。そのような運動の大波によって安倍政権を包囲し、内閣支持率を低下させることが肝要です。
 個々の政策課題では反対が多いのに、内閣支持率となるとそれなりの高さが示されるという逆転現象が、安倍首相の唯一の強みとなっているからです。世論を変え、内閣支持率の急低下を生み出すことによって民意の力を示し、その怖さを安倍首相に実感させなければなりません。

 日本の民主主義が試されていると言って良いでしょう。「戦争法案」など民意無視の悪法の数々を粉砕することで日本の平和と民主主義を守り抜くことができるかどうかが、今を生きる私たちに問われているのです。

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