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5月27日(水) 「戦争法案」の危険性を明らかにした安保法制特別委員会でのABC対決 [国会]

 まさにABCの対決でした。ABは安倍で、Cは志位。
 安倍さんはこのような論客を、自民党にも欲しいと思ったことでしょう。

 先日の党首討論では、わずか7分間の持ち時間で的確に安倍首相の弱点を突き、「ポツダム宣言はつまびらかに読んでいない」という発言を引き出した共産党の志位和夫委員長です。1対1で1時間近くも対決する特別委員会での質疑を楽しみにしていました。
 そのやり取りをテレビで見ましたが、見事なものです。論理的で具体的、これまでの質問や答弁、事実に基づいて冷静に繰り出される質問に、安倍首相や中谷防衛相はタジタジでした
 国会での質疑のお手本のようなものです。この内容は明日の『しんぶん赤旗』に掲載されるでしょうから、ぜひ全体をお読みいただきたいと思います。

 質疑で明らかになったことの第1は、自衛隊が戦闘に巻き込まれるリスクが極めて高いということです。志位さんは、これまでの特措法にあった「自衛隊が活動を行う期間、戦闘行為がないと見込まれる場所」(=非戦闘地域)という文言が今回の新法では消えていることを指摘し、自衛隊の派遣される場所が戦闘地域になる可能性があるのではないかと質問しました。
 これに対して安倍さんは、攻撃される可能性が100%ないとは言えないことを認めましたが、その場合には一時的に活動を中止し、退避すると答えました。このような不測の事態は自己保存型の正当防衛であるとしつつも、武器使用があり得ることを渋々認めたのです。
 ここで志位さんはイラク戦争で自衛隊が持って行った武器に対戦車砲や無反動砲などがあったことを示し、反撃するということはこれらの武器を使うということで、これらの武器の使用が戦闘行為に当たることは明らかだと指摘しました。同時に、国際法上、武器の使用と武力の行使についての区別はなく、武器使用は武力の行使ではないという言い逃れは国際社会では通用しないと厳しく批判しました。

 第2に、イラク戦争の現実を踏まえて、「非戦闘地域」であっても極めて危険であったこと、これをなくして戦闘現場に近づけばさらに甚大な負担と犠牲が生ずることも明らかになりました。イラクでの「非戦闘地域」でさえ、刃の上で仕事しているようなもので、何が起きてもおかしくない地域であったという証言を踏まえて、そのような認識が安倍首相にあるのかと質問しました。
 これに対して、安倍さんはまともに答えませんでしたが、その関連で明らかにされた数字は衝撃的なものでした。イラク特措法で派遣された自衛隊員の自殺者は、陸自で21人、空自で8人の計29人、テロ対策特措法で派遣された海自の自殺者は25 人で、全部で54人が帰国後自殺していたというのです。
 アメリカでも心的外傷後ストレス障害(PTSD)で心を病み、自殺する帰還兵が社会問題になっていますが、「戦争法制」によって自衛隊が海外に派遣されればさらに大きな規模でこのような問題が生ずることでしょう。戦争は、肉体的にだけでなく心理的にも多くの犠牲者を出すということが、安倍首相に分かっているのでしょうか。

 第3に、後方支援の問題です。これは英語でLogisticsのことで、戦闘行為を行う部隊への物資・兵員・武器・弾薬の輸送、施設の構築や維持などを含んでいます。
 志位さんは兵站が軍事活動の一部であり、戦争と一体不可分なものであることを明らかにしたうえで、その危険性に対する認識を問いました。これに対しても、安倍首相は安全性を確保したうえで活動すると答えるだけでした。
 戦争において兵站が格好の目標となること、実際にイラク戦争やアフガン戦争で輸送部隊などが襲われ多くの犠牲者を出していることは事実です。これまで以上に戦場に近い現場で自衛隊がこのような業務に従事することの危険性を、安倍首相だけでなく我々国民も十分に認識するべきではないでしょうか。

 志位さんは、明日も特別委員会で質問に立つそうです。「いやだなー」と、安倍首相は思っていることでしょう。
 その安倍さんを、志位さんがどう追い詰めていくのか。明日の安保法制特別委員会でのやり取りも楽しみです。

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