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10月24 日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月24日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「前例踏襲でも違和感 安倍首相の「天皇陛下万歳」」

 それなのに、政権内で検討らしきものはほとんどされず、今回も国民の代表を見下ろす玉座「高御座」に天皇が登壇するなど、国民主権に疑義が残る旧憲法下の大正、昭和の前例をかなり忠実に踏襲。逆に神々しい登場を演出する「宸儀初見」を復活させた。

 それでもNHKがその議論に触れたのは即位礼正殿の儀の終了後、ホンの申し訳程度の数分間に過ぎない。

 これでは三権分立の原則に反し、合理性も説得力もない「恩赦」に54%(朝日新聞調査)も反対する世論の方がよっぽどマトモに思えてくる。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「戦前の国家神道に皇室祭祀が利用された歴史を考えると、その連続性を断ち切る儀式にすべきでした。天皇の『高御座』と皇后の『御帳台』は高さも広さも異なるなど、男女同権にも反します。即位儀式の伝統の重さといっても、その大部分は明治以降につくられたもの。高御座と御帳台が新たにつくられたのも、大正天皇の即位の際です。安倍政権が明治からの伝統と連続性を断ち切らなかったのは意図的なサボタージュ。やはり、明治という『坂の上の雲』の時代への敬慕と回帰の表れでしょう。『身の丈に合った儀式』という秋篠宮殿下の意見には耳を貸さず、『令和にふさわしい憲法改正の議論を』などと、都合の良い時だけ天皇制を政治利用。元号が変わることと改憲は何ら無関係なのに、ひたすら天皇の権威付けに励み、聖なる者として国民に植えつける。神格化された天皇の威を借りて自らの権威付けを図るのが、安倍首相の狙いなのでしょう。その魂胆に公共放送が手を貸すとは、つくづく嘆かわしい実情です」

 慶事に水を差す気はないが、安倍政権下での「即位の礼」は皇族の意に反し、グロテスクさもまた際立つのである。

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