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9月13日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:「保身か」「国の行方か」のジレンマだとさ 票読みを難しくさせている「小泉の不安」

 何から何までグロテスク。前代未聞の総裁選で目下、党内を覆うのは優勢の見方が強まる進次郎への「不安」だ。経験・実力不足は誰もが知るところ。例のセクシー発言など「進次郎構文」から資質そのものが疑われ、同僚だった金子恵美元衆院議員には「地頭が悪い」と身もフタもない評価を下されている。

 進次郎本人が「早期解散」を表明し、最も早くて10月27日投開票説も取り沙汰される。裏金やスネ傷議員、選挙に弱い議員にすれば見栄えの良い進次郎に「表紙」を替え、ボロが出る前に選挙を乗り切りたいのがホンネ。「神輿は軽くて」の論理だが、あまりにも軽すぎると政権運営が危うい。「保身」を取るか、それとも「国の行方」か。進次郎の軽薄さが多くの議員を疑心暗鬼に陥れ、総裁選の票読みを難しくさせているに違いない。何たるジレンマか。

 「ウクライナやパレスチナで戦争が続き、米大統領選では大国の分断をみせつけられる世界の現状において、自民党議員は『あすの日本』より『あすの選挙』を優先。溺れる者は藁をも掴むの言葉通りに資質は度外視で進次郎氏の人気にすがる。総裁選の候補たちも目先の勝利が大事。野党の政策をパクって国民受けのする政策を並べ立てるだけです。そこには政治哲学もなければ、日本が今後進むべきビジョンやグランドデザインもない。この国の将来への責任を放棄し、もはや政権担当能力を失っています。今回の総裁選は最後の宴です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 告示の12日から総裁候補たちは民放各局を行脚し、電波ジャックも始まる。


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9月11 日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月11日付に掲載されたものです。〕

*記事:小泉進次郎氏「死ぬまで働け」戦慄の年金プラン “標準モデル”は萩本欽一…なんでそうなるの?

 進次郎氏は「65歳以上は『高齢者』なんてナンセンス」と年齢前提の社会保障制度の見直しや、現在16~64歳の「現役世代」の定義を「18~74歳」に変更などと講演やインタビューで繰り返す。年金の受給開始年齢は「80歳でもいいのでは」と語ったこともある。

 意味するところは「死ぬまで働け」──。いつも標準モデルに掲げるのはタレントの萩本欽一(83)だ。

 18年3月には地元・横須賀市の「0歳児からの国政報告会」にサプライズゲストとして招き、70代で大学に通った欽ちゃんを「人生100年時代をすでに体現している」と持ち上げた。

 「欽ちゃんの生き方は素晴らしいが、実践できる高齢者は少ない。特殊なケースを例に挙げ、一般の高齢者の尻を叩くのは言語道断。いかにも『銀のさじ』をくわえて生まれてきた世襲議員の発想で、光を浴びている人しか見ようとしない。中間層以下を置き去りにし、誰もが豊かで希望あふれる老後とは真逆の発想です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 進次郎氏のいじめの対象は解雇規制緩和の労働者だけではない。仮に総理になれば、老人いじめも加速。「欽ちゃん化」を求められる高齢者じゃなくとも「なんでそうなるの?」と突っ込みたくなる。

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9月10日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月10日付に掲載されたものです。〕

巻頭特集:これは壮大な国民騙し…「首切り加速」の進次郎が総裁選大本命の悪夢

 そもそも、進次郎が新総裁に選ばれるのは、労働者にとっては悪夢でしかない。公然と「首切り法案」の成立を掲げているからだ。

 銀座で行った街頭演説でも「私が総理になったら」と連呼しながら、出馬会見で打ち出した「政治改革」「聖域なき規制改革」「人生の選択肢拡大」──の3つの改革を「1年以内にやります」と強調していた。

 このうち「聖域なき規制改革」の本丸が、解雇規制の見直しである。6日の出馬会見でも「労働市場改革の本丸、解雇規制を見直す」と明言していた。

 労働問題に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「解雇規制の見直しとは、要するに、金銭を払えば労働者を解雇できるようにするということです。現行制度は、整理解雇するには、人員削減の必要性など4条件を満たす必要があります。企業は簡単に社員をクビにできない。労働者にとっては、雇用を守ってくれる生命線ともいえます。解雇規制を見直そうというのは、まさに新自由主義の考え方です。ただでさえ日本の雇用は、小泉純一郎政権が進めた『聖域なき構造改革』によって大きく揺らぎ、いまや労働者の4割が非正規社員という状況です。もし、解雇規制を見直したら、日本の雇用制度は崩壊しかねない。貧富の格差も拡大してしまうでしょう」

 本当に進次郎が新総裁に選ばれてしまうのだろうか。大手メディアは、どこまで分かって、自民党と一緒になってお祭り騒ぎをしているのか。


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9月4日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月4掲載されたものです。〕

+巻頭特集:出揃う自民党総裁選の候補者たち…「刷新茶番劇」高揚なき虚ろな1週間

 裏金事件で立件されたのは安倍派、二階派、岸田派だけだが、麻生派も同じやり方でカネをちょろまかしていたのは疑いようがない。そうでなくても、国会質疑などでたびたび指摘されてきた。還流したカネの「出と入り」が18年分以降の派閥・議員双方の収支報告書に記載されている一方、17年以前はないからだ。いつだって保身第一の岸田がブチ上げた派閥解散宣言を無視し、表向き唯一存続している麻生派は、17年7月に山東派などと合併。「為公会」から「志公会」に名称変更した。これを契機に収支報告書への記載へ転じ、裏金事件でシラを切り通した可能性が極めて高いのだ。自民党のアンケート調査が対象期間を18年以降の5年分としたのは、麻生への忖度だったのか。そう勘繰りたくなる。

 総裁選に1票を投じることができる自民党議員は衆参両院合わせて367人。そのうち、80人あまりが裏金議員だ。麻生派も裏金づくりに手を染めていたとすれば、これに50人超が乗っかる。全体の4割近くを占める裏金議員票が決選投票でモノを言う「刷新茶番劇」。それが総裁選の実態だ。高揚なき虚ろな1週間となること請け合いである。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう指摘する。

 「われもわれもと声を上げ、挙党態勢で刷新感を懸命に打ち出しているのは、人材はいると取り繕っているに過ぎず、刷新できない裏返し。立候補予定の面々は一様に世論が求める裏金事件の再調査に腰が引けていますが、麻生派をめぐる新たな事実が判明した以上、新総裁が着手するのは当然です。自民党全体が、そのあり方を問われている。岸田首相が中途半端に終わらせた政治資金規正法改正についても、踏み込んだ対応をする必要がある。金権腐敗の温床となっている企業団体献金、政治資金パーティー、政策活動費は禁止する。この程度のことができなければ、国民の理解は得られないし、信頼回復なんて到底できません。自民党は国家を食い物にし、詐欺を働いてきた犯罪者集団と言っていい。本来であれば、国民に謝罪し、解散するのが筋なのです」


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8月29日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月29日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:口を開けば歯の浮くような嘘ばかり 裏金集団のボス争いはもうドッチラケになってきた

裏金議員の非公認を言い出せる候補者はいるのか

 「総裁選の立候補者は『刷新』だの『実行』だのかっこいいフレーズを口にしますが、党改革の具体策となると、旧安倍派に気を使って当たり障りのないことしか言えない。あくまで目的は党の刷新ではなく“刷新感”の演出だからです。この総裁選は、裏金問題や旧統一教会の問題にフタをして、自民党が生まれ変わったことにするセレモニーでしかない。若くても女性でも、結局は同じ穴のムジナが新しいボスを選ぶだけの話です。だから、総裁選の候補者は、そろいもそろって改憲を口にする。改憲、軍拡、腐敗の安倍政治を踏襲するということです。政治資金規正法も守れず、脱税違法議員たちを野放しにしておいて憲法改正を訴えるなんて、倒錯の喜劇以外の何物でもありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 総裁選をショーアップして盛り上げ、数々の不祥事をチャラにしたいという自民党の総意。それに応えるべく歯の浮くような美辞麗句を並べ立て、嘘もいとわない候補者たち。こうした身内の論理を見せつけられる国民は「やっぱりね」と呆れているのではないか。


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8月27日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:自民党議員も怯えている…ポエム進次郎は本気で「自分はやれる」と思っているのか

■自民党は与党としての矜持を失っている

 進次郎では頼りないから、みんなで支えてゴマカしていく。軽~い進次郎は神輿に乗っかっているだけでよい。そんなシナリオを真顔で語る自民党関係者もいるのだから、ビックリだ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「だったら、総裁選なんてやる必要はない。誰でもいいわけですからね。もともと、この総裁選は次の首相を選ぶのでもなければ、次の総裁を選ぶ選挙でもない。次の選挙の看板を選ぶだけの投票でしょう。そんな総裁選なのに、さも、“次のリーダーは誰か”みたいな演出がなされ、大メディアがそれに乗っかっている。国民をバカにした話です。自民党は次の選挙で負ける。その負けを少しでも減らしたい。そのための看板は誰にすればいいのか。藁にもすがる議員たちがその藁を探している。それだけの選挙じゃないですか。中身、能力、資質は問わず、刷新感だけ。藁はちょっとだけ浮いていればいい。だから、小泉進次郎氏が本命になるわけでしょう? 自民党は政権与党としての矜持を失ったように見えます」

 進次郎はまだ立候補の表明もしていないし、何をやりたいのかも語っていない。とはいえ、世論調査でも人気は断トツ、本人もその気、議員たちも刹那の生き残りに右往左往。異様なムードになりつつある。

 「岸田首相が総裁選に出ない理由は裏金問題のケジメでした。だとしたら、新しい総裁は裏金問題や統一教会への対応で選ぶのが最低限のルールでしょう。推薦人に裏金議員がいれば論外、政治資金の疑惑がある人も駄目、統一教会に関わった人もアウト。そのうえで政治とカネの改革にどれだけ厳しく踏み込めるのか。そこを見極めなければいけません」(五十嵐仁氏=前出)

 もちろん、踏み込めば議員票は離れていく。だから、軽い神輿が重宝がられる。この総裁選は自民党、最後の宴に見えてくる。


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8月23日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月23日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:国民も舐められたものだ…ボロが出ないうちに解散し逃げ切りという自民党の卑しい魂胆

■同じ手は通じないぞ

 解散総選挙の直前に華々しく総裁選を行い、トップをすげ替えれば選挙に勝利する──。自民党には「成功体験」があるのだろうが、また同じ手が通用すると思ったら大間違いだ。さすがに、こうした戦術には国民も既視感があるのではないか。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「自民党が本当の意味で国民の信頼を取り戻すためには『政治とカネ』の問題に切り込むしかない。信頼を失った原因は、『裏金づくり』を発端とする政治とカネの問題にあるからです。なのに、驚いたことに、総裁候補として11人もの名前があがりながら、誰一人、政治とカネについて抜本策を打ち出そうとしていない。1人くらい『企業献金の禁止』や『政治資金パーティーの禁止』『政策活動費の廃止』を掲げてもいいのに、誰も口にしない。騒動の時も口を閉ざしていたし、総裁選が始まった後も訴えない。これでは、刷新もなにもないでしょう。出馬会見で『自民党は生まれ変わることを証明したい』と強調した若手の小林鷹之議員でさえ、裏金事件の実態解明について『党の調査には限界がある』と消極的な姿勢を示し、裏金事件で処分を受けた安倍派議員のことを『処分を受けた方も一人一人は優秀だ。挙党一致で取り組まないと国難を乗り越えるのは難しい』と擁護する始末です。総裁選に11人が名乗りをあげ、一見、自民党は多種多様、人材豊富に見えますが、『政治とカネ』の問題を見る限り、ほとんど違いがない。全員、同じ穴のムジナです」

 総裁選の構図も、進次郎の後見人は菅義偉元首相、小林鷹之のバックには甘利明前幹事長がいるなど、一皮めくれば旧態依然である。


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8月21日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月16日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:シャッポのすげ替えではどうにもならない 八方塞がりで再選出馬断念 絶望的な自民党の今後

 改正政治資金規正法を巡る議論でも、野党が厳格な改正案を出したのに、最後までゴネたのが自民党である。結局、使途公開義務がない「政策活動費」も、「企業・団体献金」も温存され、「政治資金パーティー」も全面禁止には至らなかった。裏金事件を根絶する上で肝要な3点セットは全て存続されたのだ。

 リクルート事件を受けた30年前の「平成の政治改革」では、若手からベテランまで多くの議員が声を上げ、選挙制度の変更にまで至った。ところが、今回は誰も声を上げず、「政治とカネ」の温床になっている3点セットを見直そうともしなかったのだから、腐りきっているとしか言いようがない。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「第2次安倍政権以降、1強におごり高ぶり、自民党議員は『何をやっても許される』という感覚が染みついてしまったのでしょう。最近も自民党議員による秘書給与の詐取、裏金を原資とした違法な香典配布が発覚したばかりです。三十数年前、リクルート事件で退陣する竹下登首相の後任に推された伊東正義元外相は『本の表紙だけを替えても中身が変わらないと駄目だ』と、首相就任を固辞しましたが、これこそ『シャッポを替えれば……』と考えている今の自民党に向けられるべき言葉だと思います。中身を変えるだけの力があるとは思えませんが」

 犯罪集団には解党しか道はない。

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8月20日(火) 『しんぶん赤旗』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『しんぶん赤旗』8月16日付に掲載されたものです。〕

 岸田首相退陣 こうみる 
 自民に政権能力なし

 岸田文雄首相の出馬断念は、時間の問題でした。自民党が追い詰められ行き詰まったということです。何の驚きもありません。2割以下の支持率で居座っていたことが異常で、遅きに失したとさえ言えます。
 政治とカネの問題に自浄能力を発揮できず、やったのは憲法破壊と大軍拡でした。国民がノーを突き付けたのは当然で、退場に追い込んだのは世論の勝利です。
 退場を迫られているのは自民党も同様です。これから総裁選が事実上始まりますが、名前が挙がっている人で、これまでと異なる政策構想を示している人はいません。皆、岸田亜流でコップの中の争いに過ぎない。護憲・リベラル・クリーンな候補者は皆無です。
 自民党はもはや政権担当能力を失っています。政権のたらいまわしを許さず、外から新しい選択肢を提起し。自民党を追撃して政権交代を目指さなければ、今の問題は解決できません。

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8月15日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月15日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:岸田首相退陣表明 絶望的に選択肢がない自民党の総裁選

 他に総裁選への出馬が取りざたされる河野はマイナカード問題で話にならないし、高市早苗経済安保相は総務相時代に テレビ局の「電波停止」に言及した札付きだ。石破は戦争の放棄を明記した憲法9条の2項の削除を求めているし、ま、これはこれの持論としてしょうがないとして、ガックリするのは、閉塞感に覆われている国民が高揚するような「政策」を打ち出せていないことだ。茂木敏充幹事長もパワハラ疑惑にまみれ「政治とカネ」の問題がくすぶったまま。この総裁選は、絶望的な選択肢のなさである。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「第2次安倍政権以降の自民党議員は『1強』の総理の歓心を買うため、平和憲法をないがしろにし、どんどん右傾化していきました。その結果、所属議員の多様性が失われていったのです。どの議員も同じような主張を展開していますから、選択肢がないのは当然と言えば当然です。加えて、官邸の顔色をうかがう議員や、世襲が優遇される状況になったことで、全体の質も落ち込んでいる。その結果が裏金事件だと言えます。もはや、自民党は自浄作用が失われており、総裁選を通じた疑似政権交代では何も変わらないでしょう」

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