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2月6日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月6日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:密室で何やってんだか 自民党のお手盛り裏金議員聴取
 
 月刊誌「選択」(2月号)によると、5人衆のひとり萩生田光一は、きたるべき「萩生田派」旗揚げへ向け、若手や立候補予定者に次々に電話をかけ、“勧誘”を開始。「もう安倍派としてはやっていけないが、君たちが困らないようにしたい」と口説いているそうだ。5年間で2728万円もの裏ガネをつくっていたことが発覚したのに、反省ゼロである。すべて会計責任者の責任にしている。

 安倍派幹部のこうした態度も、民間企業では考えられないことだ。江上氏は、こうも指摘していた。
<私が勤務していた銀行業界は、バブルで事件を起こしたり、総会屋に不正融資をしたりして多くの問題を起こした><そして、トップは司直の手にかかって逮捕された。私の知っている限り、彼らが具体的に不正融資などを部下に指示したわけではない><私の知っている役員は「部下だけに責任を負わせるわけにはいかない」と従容として逮捕されていった><ところが政治家は、部下だけに責任を取らせて、すべて頬かぶりして時間が経過するのをじっと待つのである。これは不公正、不公平だろう>

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「どんな組織にも不祥事は起きるでしょう。真価を問われるのは、その時、どう対応するかです。真摯に向き合い、自浄能力を示し、膿を出せるのかどうか。ところが自民党は“お手盛り”の聴取で済ませようとしているのだから信じられない。いつから裏ガネづくりは始まったのか、何に使ったのか、それすら誰も説明しない。安倍派の幹部も反省の色が見えない。自民党議員は、それで国民が納得すると思っているのでしょうか。それもこれも、国民をナメている裏返しです」


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2月4日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月4日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:首相も安倍派も 裏金はもとよりその後の対応の醜悪に国民は唖然だ

 1月29日の参院予算委員会では、共産党議員が用意したパネルに「裏金問題」と明記したことに、自民側がケチをつけ、開会が30分遅れた。結局、裏金の文字を手書きのカギかっこでくくり、〈「裏金」問題〉とすることで片付いたが、実にバカバカしい。

 あまりにも当事者意識に欠けた幼稚なゴマカシに呆れていたら、2日の参院代表質問で岸田首相が仰天発言。裏金の定義を問われ、「文脈に応じて、意味、内容が異なってくる。一概に定義をお答えすることは困難」と言い放った。

 正式な出入金記録に記載せずに蓄財されたカネだから「裏金」と呼ぶのだ。実に簡単な話である。岸田派も刑事処分を受けており、会長だった岸田も当事者のひとり。裏金じゃないなら、誰がいくらもらい、何に費やしたのかを洗いざらい、表沙汰にすればいい。他人事にも程がある。

 「今なお1万4000人超が避難所暮らしを強いられている能登半島地震の被災対応を筆頭に、この国は問題山積です。何事も問題の定義ができなければ、問題は解決できません。能登の実態把握が遅れたのも納得です。岸田首相の発言は、政権を担当する責任を放棄したのに等しい。裏金ゴマカシ集団に政権を担う資格はありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 裏金はもとより、その後の自民の醜悪さに国民は衝撃を受けている。吐き気を催す集団が臆面もなく議員バッジをつけていること自体、もはや狂気の沙汰である。

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2月2日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月2日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:国民は騙されてはいけない 派閥解消、収支報告書訂正は犯罪隠蔽

■たった3日間のお手盛り調査

 来年度予算案の国会審議を控える中、自民党は野党の要求に渋々応じ、裏金議員の聞き取り調査を2日から始めるという。渡海政調会長や小渕優子選対委員長ら党幹部と弁護士が手分けして調査にあたり、安倍派や二階派議員が対象となる見込み。予算案の実質審議が始まる5日までに調査結果を国会に提出するというが、短期間で実態が解明されるとは思えない。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との癒着をアリバイ点検で押し切ったように、お手盛りで時間稼ぎをする算段か。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言った。

 「収支報告書の訂正は、違法行為を認めたのとイコールです。〈政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする〉とうたう規正法の趣旨に反した裏金議員は全員辞職するのが筋。順法精神の欠落した人間が法律をつくる立法府の一員なんてブラックジョークです。泥棒に盗人を取り締まる縄をなわせているようなもので、国民を代表する資格はない。30年前の政治改革をめぐっても、自民党は自分たちに有利な抜け穴をつくった。政党助成制度は企業団体献金の全面禁止が前提だったのに、二重取りしているのがいい例です。野党が規正法の厳罰化を求めていますが、裏金議員を残留させたまま議論に入れば、自民党が焼け太りする可能性がある。国民は何度も何度も自民党に騙されてきた。立憲民主党の泉代表はきのうの代表質問で『自民党には自らをただす自浄能力がない』と断じていましたが、自浄能力が残っているわけがないのです。今回ばかりは目くらましに騙されてはいけません」

 繰り返すが、自民党の派閥解消に向けた動きも、収支報告書の訂正も、「政治とカネ」の問題を解消するためではない。イチにもニにも犯罪を隠蔽するためなのだ。犯罪者集団による幕引きを許してはいけない。


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1月29日(月) 裏金疑獄があぶり出した自民党の腐敗と劣化――表紙を変えて延命させてはならない(その2) [論攷]

〔以下の論攷は『学習の友』No.846、2024年2月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 表紙を変えて延命させてはならない

 今回の裏金疑獄は、「令和のリクルート事件」だと言われます。リクルート事件は1988年に発覚した戦後最大の贈収賄事件で、関連会社の未公開株が政治家や官僚などに賄賂として贈られ、竹下登首相や宮澤喜一蔵相が辞任に追い込まれました。
 竹下後継として名前が上がった伊東正義総務会長は「表紙だけ変えても中身を変えなければダメだ」と言って要請を断りました。今回の裏金疑獄は、表紙だけ変えて生き延びてきた自民党がどれほど腐りきってしまったかを白日の下にさらしました。
 その後就任した宇野宗佑首相は女性スキャンダルで海部俊樹首相に交代し、参院選で自民党は過半数を失い「ネジレ国会」になります。さらに金丸ゼネコン汚職で政権を失い、政権復帰後も橋本龍太郎首相が参院選で敗北、後を継いだ小渕恵三首相が急死し、森喜朗首相に交代したものの「神の国」発言で支持率が急落して危機に陥りました。
 このとき、「自民党をぶっ壊す」と言って登場したのが小泉純一郎首相でしたが、結局は自民党を救うことになりました。その後も1年交代の短期政権が続き、総選挙で敗れて民主党政権に代わりますが、第2次安倍政権によって政権復帰に成功します。
 このように自民党は支配の危機に陥るたびに派閥間で政権をたらい回しにする「振り子の論理」によって目先を変えながら生き延びてきました。今回もこのような疑似政権交代で生き伸びようとするにちがいありません。
 それを許さず、追い込まれ解散で野党に政権を奪われた麻生首相の二の舞を演じさせなければなりません。表紙を変えても同じことを繰り返すにちがいないないということは、これまでの歴史が教えているのですから。

 唯一の活路は共闘による政権交代

 自民党の宿痾を治癒し「政治とカネ」の問題を解決するためには、政権から追い出して政治に緊張感を取り戻すことが必要です。そのための唯一の活路は市民と野党の共闘です。憲法を尊重し、平和・民主主義・人権を守り、国民要求の実現をめざす本格的な政権交代によって希望のもてる未来を実現しなければなりません。
 戦争法反対運動以来、野党共闘は多くの経験と実績を積み重ねてきました。これに危機感を募らせた自民党の激しい巻き返しに会って、一時は困難に直面しました。しかし、12月7日に市民連合を仲立ちとした政策要望会が開かれ、立憲・共産・れいわ・社民・参院会派「沖縄の風」の5党・会派が次期総選挙に向けて5項目の共通政策を確認しました。共闘の再構築に向けて重要な一歩が踏み出されたことになります。
 ここで強調したいのは、野党共闘に背を向けることは危機に陥った自民党を救うことになるということです。政治をまともなものに立て直すためには「政治とカネ」の問題で腐りきった自民党を権力の座から追い出して責任をとらせなければなりません。そのために必要で唯一可能な方法は、市民と野党が手を結ぶことです。
 「非自民非共産」を唱えて共闘から共産党を排除する動きがありますが、これは決定的な誤りです。今回の裏金疑獄発覚の発端は共産党の「しんぶん赤旗」日曜版のスクープでした。安倍元首相の「桜を見る会」や前夜祭の問題も共産党の田村智子副委員長の国会質問から明らかになりました。統一協会や勝共連合から敵視され、真っ向から対峙してきたのも、政党助成金を受け取らず「政治とカネ」の問題で最もクリーンなのも共産党です。
 「政治とカネ」の問題を正し自民党の金権腐敗政治を断罪する最適な有資格者は共産党ではありませんか。イデオロギー的な偏見や色眼鏡で見るのではなく、事実と歴史を直視するべきでしょう。立憲と共産の連携を軸に市民が結集する共闘を再建し、「受け皿」づくりによって活路を開くことこそ、2024年の最大の課題です。
 自民党の「オウンゴール」によって大きなチャンスが生まれました。派閥による政権のたらい回しを許さず、自公政権を解散・総選挙に追い込み、政権交代を実現することで今年を良い年にしようではありませんか。後世において、あのとき希望の政治への扉が開かれ、歴史が変わったのだと言われるように。


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1月28日(日) 裏金疑獄があぶり出した自民党の腐敗と劣化――表紙を変えて延命させてはならない(その1) [論攷]

〔以下の論攷は『学習の友』No.846、2024年2月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 「政治とカネ」疑惑の発覚と広がり


 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる「政治とカネ」の疑惑は、自民党と岸田政権を揺るがす大疑獄へと発展しました。物価高のもとで生活苦に追われる国民をしり目に、法の抜け穴を利用した不正な方法で私腹を肥やしてきた政治家への国民の怒りが爆発し、自民党と内閣に対する支持率は急落しました。
 この問題は自民党最大派閥の清和政策研究会(安倍派)に所属する議員がパーティー券収入のノルマ超過分についてキックバック(還流)を受け、裏金化していたとされるものです。しかし、このような形で裏金を得ていたのは安倍派だけに限られず、志帥会(二階派)、宏池政策研究会(岸田派)、平成研究会(茂木派)、志公会(麻生派)という主要な5派閥すべてに共通する問題でした。
 なかでも安倍派は組織的に裏金づくりを行い、その額も過去5年間で5億円と大きく、所属議員の大半に還流しているだけでなく、政治資金収支報告書に記載しなくても良いと伝えて口止めするなど悪質なものでした。このため、岸田首相は所属閣僚4人の更迭に踏み切り、安倍派の党役員も交代しました。
 臨時国会閉幕を待って東京地検特捜部は捜査を本格化させ、立件も視野に一斉に事情聴取や家宅捜査を行いました。この事件は長年続いてきた自民党各派閥の悪弊を浮かび上がらせるものですが、このような裏金作りがいつから、どのような形でなされ、何に使われてきたのか、事実の解明と責任の追及が行われなければなりません。

 重篤化した自民党の宿痾

 「宿痾」というのは、長い間治らない慢性の病気のことです。自民党は以前からこのような宿痾を抱えており、それが重篤化して死に至る病となるリスクが高まっています。それは右傾化と金権化でした。この宿痾によって全身がむしばまれているのが安倍派です。
 右傾化という点では改憲と軍事大国化の先兵となり、安保3文書の作成と敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有、大軍拡・大増税や改憲発議に向けての政策転換をリードしてきました。金権化という点でも、キックバックによって組織的な裏金作りを行い、収支報告書に記載せず、金集めに狂奔していた姿が明らかになりました。
 このような病気を治癒するためには、世論による批判と法的な規制が欠かせません。根本的には政権交代によって罰し、解党的な出直しを迫る必要があります。自民党は30年以上も前に、派閥による資金調達の制限や党役員と閣僚らの派閥離脱、派閥解消の決意などを掲げた「政治改革大綱」を決定していたのですから。自主的な改革や努力に任せても「百年河清を俟つ」に等しいことは、今回の事件によっても明らかです。
 政治資金集めのパーティーは事実上の献金にほかなりません。政党助成金が導入されたとき、企業・団体献金は5年以内に禁止されることになっていました。その約束が守られていれば、このような二重取りで裏金を作る悪弊は生じなかったはずです。パーティーを始めとした企業・団体献金を禁止し、政治資金の流れを透明化するための制度改正が急がれます。
 捜査の結果、政治資金規正法違反や脱税ということで逮捕され有罪となれば、議員辞職は免れず、公民権停止となって選挙に出ることもできなくなります。国民の信頼を回復するためには、少なくとも裏金受領の有無と使途を進んで明らかにして派閥を解消し、国会での証人喚問に応ずることが必要でしょう。

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1月27日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:自壊する裏金自民党 国民ソッチノケで内ゲバの醜悪

 実は、自民党はこの政策活動費を毎年10億円規模で党幹部に支出。2022年の収支報告書によれば、党幹部15人に計14億円強が支払われ、突出して額が大きかったのが茂木への9億7150万円だった。たった1人にこれほどの金額とは目が飛び出るが、自由に使える巨額を手にすることが自民党幹事長の力の源泉だ。

 政策活動費は選挙や飲食などに使われてきた。党のカネだから、もちろん一部は税金を原資とする政党交付金(政党助成金)も含まれる。このブラックボックスにもメスが入れられなければおかしい。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「政治資金が何に使われたのかを国民が検証できる形にすることが政治資金規正法の趣旨なのですから、『政策活動費』が法の精神に反しているのは明らかです。使途を表に出さないカネは、選挙で支持を依頼したり、票を買ったりなどの買収の原資になっているのではないかと疑われても仕方ない。癒着の温床になりがちな企業・団体献金を禁止すると同時に、政策活動費は使途を客観的に検証できる形に見直さなければなりません」


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1月25日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月25日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:こんな政治家が政権の中枢にいたのか 安倍派5人衆の卑劣と厚顔に国民は唖然


■親分に謝罪するヤクザの下っ端

 松野前官房長官に至っては会見も開かず、「適正に処理されているものと認識していた」とのコメントをホームページに掲載しただけ。

 高木前国対委員長もホームページに「政治資金収支報告書の記載は適切になされているものと考えておりました」という文言を載せ、知らぬ存ぜぬだ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「見苦しいのは、安倍派5人衆の面々が安倍元首相に謝罪していたことです。高木氏は派閥解消を決めたことについて『安倍さんにこうした事態になったことは大変申し訳ない』と、涙を浮かべていましたが、言うまでもなく、真っ先に謝罪すべき対象は国民です。そんなことも分からないのかと愕然としてしまいますし、どういう精神構造をしているのか理解できません。まるで、親分がつくった組を潰してしまったことに責任を感じるヤクザの下っ端のような発想です。国民に対して悪いと思っていないのでしょう」

 泣きたいのは、平然と不法行為を働く姿を見せつけられた国民の方である。

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1月22日(月) 『しんぶん赤旗』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『しんぶん赤旗』1月21日付に掲載されたものです。〕

 政治考 裏金事件 崖際の岸田政権
 目くらましの「派閥解散」

 今回の派閥解散は、岸田政権が「赤旗」日曜版のスクープを端緒とす国民の批判によって追い詰められた末の「奇策」です。
 政治学者の五十嵐仁法政大学名誉教授は、「諸悪の根源となっている派閥を無くすのは当然だ」と述べつつ、「派閥をやめて真相を解明せず幕引きにするということはあってはならない」と強調。「派閥の解消はトカゲの尻尾切り。それで目くらまししながら、世論の批判が沈静化するのを待つということだと思う」と言います。

 五十嵐氏は、「今まで何回も『派閥解消』と言いながら、例えば『勉強会』みたいな形で残って、ほとぼりが冷めた頃にまた復活するということが何度も繰り返されてきた」と指摘。「再び(派閥)が息を吹き返すような可能性をなくさないと問題は解決しない」と語ります。

 五十嵐氏は「『政策集団』というけれど、過去には派閥ごとに政策的なトーンの違いがあったが、全体として右傾化が進んできた結果、自民党の多元性が減少し、政策的な違いがなくなり、単にお金を集めて分配する役割やポストを獲得するための集団に変質してしまった」と指摘します。権力闘争と一体不可分の派閥政治は、まさに自民党政治そのものです。


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1月20日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月20日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:派閥解消で責任ウヤムヤ 岸田派も立件で「政治刷新」の噴飯

 17日に開催した刷新本部会合では7人の有識者を招き、意見を聴取。「外部有識者招聘」と言えば聞こえはいいが、会合はたったの1時間半だ。7人の有識者からどれだけの意見が聞けたというのか。形だけの会合だったのは間違いない。16日の会合には約150人の議員が参加し「派閥を解消すべき」「安倍派を介錯する」などと大騒ぎだったが、党内からは「ただのガス抜きだ」という声が上がっている。

 要するに、刷新本部はヤラセの猿芝居。岸田は3回あった会合全てに参加し、計5時間半にわたって意見を聞いたというが、その狙いも今やメッキの剥げた「聞く力」アピールだったに違いない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「刷新本部は、人選、期間、議論の中身全てに問題があります。第一に、『刷新』される対象の裏金受領議員がメンバーに入っている。期間については、たった2週間と短すぎます。これで25日に中間報告なんてあり得ない。議論の内容も『派閥解消』に矮小化している。本来、政治資金関連情報のデジタル化による全面的な透明化、企業・団体献金の禁止などを検討すべきです。刷新本部は『議論してます』というポーズに過ぎない。実際は、いかにして国民を騙すかについて相談しているとしか思えません」

 X(旧ツイッター)では、つい先日まで〈#検察がんばれ〉がトレンドに入っていたが、いまや〈#もう検察いらないよね〉がトレンド入り。〈「強きを助け弱きを挫く」、今の検察はまさにそれ〉〈巨悪集団自民党を守るための組織であるなら要らん〉といった批判が続出している状況だ。

 「大山鳴動してネズミ“3匹”では、国民は納得しないでしょう。組織的に裏金づくりを行っていたのが明らかなのですから、権限が強い派閥中枢を立件し、責任を取らせるべきです。これでは、真相解明もままならない。なぜ、検察は厳しく切り込まないのか。『今回は下っ端議員だけで見逃してやる』とばかりに政権に恩を売り、実を取ろうと考えているようにも見えてしまう。国民の不信感は高まるばかりです」(五十嵐仁氏=前出)

 92年の東京佐川急便事件では、金丸信副総裁が略式起訴と20万円の罰金刑でシャンシャンとなったが、国民が激怒し、検察庁の石看板にペンキがブチまけられた。今回も、再び同じことが起こるのではないか。国民の怒りは収まりそうにない。

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1月10日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月10日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:まさか小者で終わりではないだろうな【裏金議員逮捕】検察捜査の行方と今後の政局

 岸田政権では、2022年に薗浦健太郎前衆院議員がパーティー収入の過少記載で裏金をつくっていた問題で議員辞職。昨年9月には再エネをめぐる受託収賄の疑いで秋本真利衆院議員が逮捕され、昨年末は公職選挙法違反(買収)などの疑いで柿沢未途衆院議員が逮捕されるなど、「政治とカネ」の不祥事が相次いでいる。

 「岸田首相は『政治とカネ』の問題でまったくリーダーシップを発揮してこなかった。裏金問題も検察任せで、党総裁として率先して真相解明し、国民に説明する姿勢がない。池田議員が逮捕されたら除名しましたが、状況の後追いでしかありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 逮捕者が出るたびにトカゲのしっぽ切りをしていても、本体が腐敗しているのだからどうしようもない。

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