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2月2日(土) このような暴挙に対する沈黙は民主主義への罪だ [社会]

 黙っていてはならない、と思います。日教組の教研集会に対する「グランドプリンスホテル新高輪」の会場使用拒否問題です。

 予定していた会場が使えないため、57回目になる教研集会で全体集会が中止に追い込まれてしまいました。
 これは初めてのことだといいます。プリンスホテルは憲法で保障された集会の自由を奪ってしまいました。
 右翼の抗議活動による混乱を恐れて、一度は認めた会場の使用を取り消してしまいました。このような裁判所の決定さえ無視したプリンスホテルの行為は、いかなる弁解によっても認めることのできない暴挙だというべきです。

 第1に、この暴挙は明確な民主主義の破壊です。会場使用を拒むことによって、憲法で保障された集会の自由は空文化されてしまったからです。
 もし、このようなことが認められれば、気に入らない団体の集会を妨害するために、混乱を起こせばよいということになります。右翼団体の活動を手助けし、助長するようなものでしょう。
 自由や民主主義は、それを破壊しようとするものと対決することによってはじめて守ることができます。プリンスホテルがこのような立場に立たなかったのは誠に残念です。

 第2に、これは企業としてのコンプライアンス(法令遵守)違反です。会場使用の取り消しには、東京地裁と東京高裁で、使用を許可すべきだとの仮処分の決定が出ていました。プリンスホテルは、この決定に従いませんでした。
 この日本は法治国家ですから、言うまでもなく、裁判所の決定を無視することは許されません。法令遵守の精神を大きく踏み外した誤りだと言うべきでしょう。
 プリンスホテルは、ルール無視の企業のあり方が批判を呼んでいることを知らないのでしょうか。経営者における遵法精神の欠落を、またもや実証しようとしたのでしょうか。

 第3に、これは日本という国を貶める行為だとも言えます。日本の首都のど真ん中にあって外国人も多く利用する一流ホテルで、右翼団体の抗議によって集会を開くことができないなんて、外国の人々が見たら一体どう思うでしょうか。それほどに、日本では自由も民主主義もなく、遅れている国なのかと思われるにちがいありません。
 このような事例が、国際社会においていかに異常なことであるのか、それがどれほど恥ずかしいことなのか、分かっているのでしょうか。プリンスホテルは確実に国際社会における評判を落としたに違いありませんが、しかし、それ以上に評判を落としたのは、この日本という国そのものなのです。

 黙っていてはなりません。何よりも、福田首相は率先して発言するべきです。日本の自由と民主主義のために、このような行為は許されないということを……。
 責任ある政党や政治家も、これに続くべきでしょう。今回の右翼の行動も、それに引きずられたプリンスホテルの決定も、厳しく批判されなければなりません。
 日本における政治の意志として、このような暴挙を許さず、集会の自由を守るのだという決意を示すべきです。憲法の精神に反する行為と闘うことによって、全ての国務大臣と国会議員は憲法第99条の憲法尊重擁護義務を果たさなければなりません。

 日本経団連の御手洗会長も、今日の社会における企業のあり方として、このような行為が許されないということをはっきりさせるべきです。地裁と高裁の仮処分決定を無視することは、日本経団連の企業倫理規憲章反だと言うべきでしょう。
 日本経団連はプリンホテルを除名しなければなりません。民主主義社会のルールを守れない企業は、会員としての資格を欠落していることを天下に示すべきです。
 もし、そうしなければ、プリンスホテルと同じような民主主義感覚しかないと誤解されるでしょう。遵法精神が欠落した「同じ穴のムジナ」だと、社会的な批判を浴びるにちがいありません。

 マスコミも、この問題を自分自身の問題と受け止めて抗議の声を発するべきです。自由と民主主義が欠落した社会で、まともなマスコミは生きていけません。自らのレーゾンデートルをかけて、プリンスホテルの暴挙を批判するべきです。
 「社説」で厳しく批判しているのは『朝日新聞』『毎日新聞』『東京新聞』だけのようです。他の新聞は、自由と民主主義に対する感度が問われているということが分かっていないのでしょうか。
 これが日本の民主主義にとっていかに重大な問題を提起しているのか、理解できないのでしょうか。新聞だけでなく、マスコミの本分を守ろうとするのであれば、テレビも週刊誌もこぞって厳しい批判を表明するべきでしょう。

 私たち市民も、このような行為を許さない決意を示さなければなりません。プリンスホテルの今回の行為に対する抗議や批判の意思を、何らかの形で示すべきです。
 最も効果的なのは、このようなホテルを利用しないことでしょう。民主主義のルールをわきまえない企業は、民主社会において社会的な制裁を免れないということを教えなければなりません。
 このようなことが二度と繰り返されないようにすることも必要です。混乱を恐れて会場使用を拒むようなことを許してはなりません。

 それにしても、プリンスホテルほどの一流ホテルが、どうしてこのような過ちを犯したのでしょうか。今回の決定がどれほど大きな間違いであるかを理解できるような幹部がいなかったのでしょうか。
 経営者の民主主義に対する感覚と遵法精神はこれほどに麻痺し、衰えてしまったということなのでしょうか。誠に、信じられない気持ちです。
 「日本社会は崩れつつある」「日本は危うい」と感ずるのは、このような暴挙に出会った時です。もし、これがそのまま許されるとしたら、その時こそ、本当にこの国は崩れてしまったのだということになるでしょう。

 そうさせないためにも、抗議の声を上げなければなりません。日本の企業と経営者に、まともな民主主義感覚とルールを守る必要性を教えなければならないのです。


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コメント 3

こんにちは
いくつかのブログには、相手が日教組だから、ホテル側の行為に理解を示したり、拍手を送っている記事がありました。本当に問題の本質を理解しているのかと疑問に思っています。こういう方々は、テロ容認派と考えてよいのでしょうかね。
by (2008-02-03 10:23) 

ぱらいそ

プリンスホテルの暴挙であることは言うまでもありませんが、暴挙も跳ね返す力がなければ正当化されるというのが現在の日本の否定できない現状です。

新聞の社説の反応は上に書かれていますが、選挙時に日教組の支援を受けているであろう民主党、社民党、そして上部組織である連合はどう思っているのでしょうね?建前でなく本音で。

彼らが本気で怒り、プリンスホテルグループは今後一切使わない宣言でもすればまた事態も変わると思うのですが、そうでなければやられっぱなしになるのも当然という気がします。五十嵐先生は労働組合の方々とも懇意でしょうから、ぜひ働きかけをお願いします。私自身は反日教組ですが(笑)。
by ぱらいそ (2008-02-03 15:32) 

労働者

こんにちは
5日づけで出したプリンスホテル側見解(http://www.princehotels.co.jp/kouhou/pdf/20080205kumiai.pdf
)を見ると、本当に腹がたってきます。一言で言えば開き直っているのですが、おれらは悪くない・悪いのは右翼が押しかけてくる日教組だ・近隣や他の客に迷惑がかかることを日教組は自覚しろと言わんばかり。
こんなホテルボイコットしてやる。プリンスではなくプリズン(監獄)ホテルだ。国民の自由を奪う手助けをするプリズンホテルだ。
by 労働者 (2008-02-14 14:04) 

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