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7月11日(月) 原発の背後に広がる大きな闇 [原発]

 原発の背後には大きな闇が広がっているということでしょうか。その一つの例が「やらせメール事件」でした。

 原発は安全だということに自信と確信があれば、何も「やらせメール」によって世論工作をする必要はなかったでしょう。今回の事件は、九電がそのような自信を失い、裏から手を回して誘導しなければ世論の支持が得られないと判断していたことを示しています。
 それは、今回だけのことではなかったのではないでしょうか。これまでも当然のこととしてなされていたために今回も機械的になされ、それが発覚したときにも、どうして問題なのかが理解できなかったように見えます。
 佐賀県庁も背後でこのような働きかけがあることを知っていたのではないでしょうか。情報を入手した共産党の福岡県委員会が県に通知していたにもかかわらず、全く対応していなかったのですから……。

 このような電力会社による裏からの働きかけは、世論工作だけではなかったようです。原発の地元の首長や議員への利益提供というもう一つの闇にも、ようやく光が当たるようになってきました。
 報道によれば、佐賀県の古川知事の政治団体「康友会」と「古川康後援会」に対して、2006年から09年まで、佐賀支店長と玄海原発所長がそれぞれ年3万円を献金していたそうです。人事異動で役職を交代すると、後任が継承する形で献金していたと言いますから、個人の自発的な意志に基づく献金ではなかったということは明瞭です。
 もし、個人献金を装った企業献金であったとすれば、政治資金規正法違反に当たります。企業献金は政党支部に対してだけ認められ、知事の政治団体に対しては認められていませんから……。

 また、別の形での利益提供も報じられています。これは建設会社「岸本組」に対する工事の発注という形を取ったものです。
 「岸本組」は九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長の実弟が経営している建設会社です。岸本さんが町長に就任した2006年8月以降の4年8カ月間で、電源立地地域対策交付金などの“原発マネー”を財源に使った町発注工事と九電発注の玄海原発関連工事を少なくとも約17億円分も受注したとされています。
 つまり、町長としての兄が弟の会社に工事を発注したというわけです。町長である岸本さん自身も、主要株主として株式の売却益や配当金で約1000万円も稼いでいたといいますから、「原発様々」というところでしょうか。

 以上は九電と玄海原発についてですが、女川原発(宮城県女川町・石巻市)や東通原発(青森県東通村)を持つ東北電力についても、別の形での利益供与が報じられています。役員報酬として県議に現金を渡していたというのです。
 地元の宮城・福島・青森3県の県議会議員のべ77人が東北電力の役員として迎え入れられ、月1回の役員会に出席するだけで年200万円超の報酬を得ていました。しかも、これは原発を推進してきた自民党会派内だけでの持ち回りポストだったと言いますから、まさに「役得」そのものです。
 このようにして、県議は東北電力に買収されていたということになります。原発の危険性に対する議会のチェックなどが効くはずがありません。

 このようにして、電力会社は地元の首長や議員を「買収」してきました。玄海原発の再稼働受け入れに対して、地元の玄海町の岸本町長がいち早く承認の姿勢を見せた背景には、このような事情があったのです。
 しかも、このような「買収」の原資は電力料金であり、最終的には電気代に上乗せされて利用者が支払うことになります。原発周辺の住民は、ひとたび原発事故が起きれば大きな犠牲を払わされるにもかかわらず、電気代という形で原発推進の原資を負担させられ、そのようなリスクの増大に協力させられて来たということになります。
 踏んだり蹴ったり、ということでしょうか。このような悪循環は断ち切られなければなりません。

 ところで、以上に紹介したのは九電と東北電力の2例ですが、他の電力会社の場合はどうなのでしょうか。他の原発の地元でも首長や議員への利益提供などはないのでしょうか。
 今こそ、マスコミは原発利権の実態を暴くべきでしょう。原発の背後に広がる大きな闇に光を当てることによって、マスコミ本来の役割を取り戻すべきではないでしょうか。
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