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6月18日(火) 「死の灰の商人」となってしまった安倍首相に厳しい審判を [首相]

 人を殺す武器を売り込んでひと儲けをたくらむのが「死の商人」ですが、これはさしづめ「死の灰の商人」でしょう。高濃度放射性廃棄物(死の灰)によって人類を脅かす原発を売り込んで大儲けをたくらんでいるのですから……。

 イギリスで開かれる先進国首脳会議(G8サミット)に出席するために訪欧した安倍首相は、ポーランドを訪れてチェコ、スロバキア、ハンガリーを加えた東欧4カ国の首脳との会談を開催し、共同声明を発表しました。これには、経済、安全保障、エネルギー問題での連携が確認されています。
 これまでも、安倍首相は外遊で原発輸出の「トップセールス」にまい進してきました。東京電力福島第1原発事故後初の原子力協定にアラブ首長国連邦(UAE)、トルコと署名し、サウジアラビアとも協議開始で合意しています。
 また、インドのシン首相との間でも原発輸出の前提になる原子力協定に向けた交渉再開で合意しました。そして、今回の東欧4カ国との合意です。

 「アベノミクス」の第三の矢として閣議決定された成長戦略には、原子力規制委員会の規制基準で安全性が確認された原発の再稼働を進めると明記されました。原発を含めたインフラの輸出については、2020年に今の3倍の約30兆円にするという目標が掲げられています。
 そのために、首相・閣僚レベルが毎年10件以上をトップセールスし、官民一体で原発を売り込んでいくというわけです。安倍首相の一連の原発セールスは、それを先取りするものでした。
 しかし、自民党は昨年末の総選挙で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」を公約に掲げたはずです。安倍首相が先導する方向転換は完全な公約違反で、とうてい認められるものではありません。

 安倍首相は「日本は世界一安全な原発の技術を提供できる」と言い切っていますが、福島での原発事故の原因は今も分からず、「世界一安全」という根拠はありません。現場では放射能の脅威にさらされながらの収束作業が続き、汚染水の処理もできず、今なお15万人もの被災者が故郷を離れた生活を余儀なくされています。
 これまでも「安全神話」を振りまいて事故の原因を作ってきたのは自民党でした。安倍首相の原発輸出政策は、世界中に「安全神話」を振りまいてこの過ちを繰り返すだけでなく、過酷事故のリスクをも輸出することになりかねません。
 「死の灰」の最終的な処分方法は定まらず、国内のエネルギー政策に原発をどう位置づけるかさえもはっきりしていないのに、「世界一安全」だなどと言って外国に売り込むのは無責任きわまりない態度です。海外で「原発推進」の実績を積み重ね、国内での方針転換の地ならしにする思惑があるとすればもってのほかと言うしかありません。

 もし外国に輸出するなら、原発の廃炉ビジネスでしょう。福島第1原発の過酷事故を処理するために取り組んでいる日本こそ、事故処理のための技術開発において最先端にいるのですから……。
 福島での事故によって原発の恐ろしさ、その影響の甚大さを最も良く知る日本こそ、脱原発の世界にするために先頭に立つという歴史的役割を果たすべきではないでしょうか。このような歴史的役割に対する自覚や責任感を欠落させ、「死の灰の商人」となって原発売り込み外交の先頭に立つ安倍首相に対しては、来るべき選挙において厳しい審判を下さなければなりません。


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