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5月14日(水) 集団的自衛権行使容認を急ぐ安倍首相は何を目指しているのか [集団的自衛権]

 集団的自衛権の行使とは、自国が攻撃されなくても同盟国が攻撃されれば反撃することを意味しています。反撃すれば、当然、相手からも攻撃されるでしょう。
 こうして、日本は戦争に巻き込まれていくことになります。安倍首相はこのようにして日本を戦争に引き込みたいのでしょうか。

 こう問えば、「いや、それは戦争するためではなく、日米同盟を強化して抑止力を高めるためなのだ」と答えるでしょう。抑止力強化のための集団的自衛権行使容認論です。
 これは、安保法制懇の座長代理を務めている北岡伸一さんが特に強調されているところです。容認されても実際に行使されることはほとんどないから安心してほしいというわけです。
 それなら、なぜ集団的自衛権の行使が必要となるような事例を細かに示しているのでしょうか。実際に使うことはほとんどないと言いながら。

 このような事例の提示は、一つには国民を恫喝するためのものです。「このような事態になっても何もできないということで良いのか。それで、国民の安全が守れるのか」と。
 もう一つは、公明党を行使容認論に引きずり込むためのものです。具体的な事例の検討を通じて、徐々に公明党の反対論を切り崩していきたいということなのでしょう。
 最近になってから急浮上してきた砂川判決を論拠にしたこじつけ、「限定容認論」や「グレーゾーン対応先行論」も同様の狙いに基づくものです。このような恫喝やこじつけ、手練手管に依拠せざるを得ないところに、集団的自衛権の行使容認論がいかに根拠のないもので正当性を欠いているかが示されています。

 これほどの無理をしながら、なぜ安倍首相は集団的自衛権を行使できるようにしたいのでしょうか。それは、軍事面での能力を高め、自衛隊を米軍の助っ人として日本の領域外で活動できるようにするためです。
 その背景の一つは、小泉内閣と第1次安倍内閣の時にアメリカによってイラク戦争への加担を強く迫られたにもかかわらず思い通りに応じられなかったというトラウマの存在です。もう一つは、日米同盟の双務化を目指した祖父の岸元首相のDNAを受け継いでいるという事情です。
 それだけにとどまりません。集団的自衛権の行使容認を急ぐ安倍首相の本当の狙いは、アベノミクスという新「富国強兵」政策によって新「日本帝国」を再建し、安保体制を双務的な帝国主義的軍事同盟に変質させて日本の威信を高め、米英仏露などと並ぶ帝国主義列強の一員として世界をリードすることにあります。先進国列強による強力な軍事同盟によって途上国を抑え込み、帝国主義的な秩序の強化によって紛争の芽を摘むことができれば世界は平和になると思い込んでいるのではないでしょうか。

 
 「積極的平和主義」というのは、このような外交・軍事路線の別名です。集団的自衛権の行使容認、武器輸出三原則の転換と軍需産業の活性化、自衛隊の増強と制服組の能動性の強化、PKO活動での「駆けつけ警護」や武器使用の解禁なども、このような新しい路線の具体化にほかなりません。
 「戦争できる普通の(帝国主義的な)国」となることによって、このような路線を突き進もうとしているのでしょう。明日15日に発表される安保法制懇の報告書とそれを受けての安倍首相の記者会見は、このような新「日本帝国」に向けての出発を告げる号砲となるにちがいありません。



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