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7月29日(火) 全労連大会を傍聴して実感した労働運動の新たな息吹 [労働]

 西日本の旅から帰ってきた翌日から、東京・新宿で開かれた全労連の大会を傍聴しました。大会は3日間で今日の昼まで続いていますが、私は所用があって傍聴は昨日までです。
 大会での報告と発言を聞いた感想は、労働運動の新しい息吹を実感することができたということです。発言はどれも興味深いもので、労働の現場と運動の現状を理解するうえで大いに参考になりました。

 実は、全労連の大会を傍聴するのは、今回が初めてのことです。もう一つのナショナルセンターである連合の大会は何回か傍聴したことがあります。
 連合の方が大会の規模は大きく、マスコミの注目度が高いと言えます。連合の方が参加組織と組合員の数が多いわけですから、それも当然です。
 しかし、連合大会は2日間で発言者の数があまりにも少なく、ほとんど労働現場や組合運動の実情を反映するものにはなっていません。福島原発事故後の連合のエネルギー方針や電力総連の対応が大会で問題にされず、反省も表明されなかったことには大いに驚き、失望したものでした。
 それに比べれば、全労連の大会は3日間と長く、私が聞いた発言者だけでも63人に上ります。全労連大会の代議員は産別だけなく地方組織からも出ていますので全国各地からの発言があり、それぞれの地方での運動の状況や働く人々の息遣いまで感じられるような臨場感あふれるものでした。

 会場の正面には、「許すな! 「戦争する国」づくり 労働者使い捨て社会 つくりあげよう たたかいの砦 「150万全労連」」というスローガンが掲げられています。今回は「第27回定期大会」ですが、1989年の全労連結成から25周年という節目の大会でもありました。
 私は民間連合の結成大会を傍聴しています。全労連の結成大会も傍聴したかったのですが、ぎっくり腰が再発して身動きがとれなかったという苦い思い出があります。
 それから25年も経ったということになります。4半世紀の間、「階級的ナショナルセンター」の旗を掲げる全国的な労働組合組織が存続し活動してきたという事実は大変貴重なものだと思います。

 今回の大会では異例なことが二つあったのではないでしょうか。一つは議案への修正提案が出されたことであり、もう一つは議長選挙に対立候補が立ったことです。
 どちらも普通のことのように思いますが、少なくとも対立候補の登場はこれまでありませんでした。いずれも神奈川県労連によるもので、先進的な活動を活発に行っている地方組織からすれば現執行部の方針と人事には物足りないものを感じたということかもしれません。
 途中で執行部の見解表明があって修正提案は基本的に受け入れられ、代議員の発言でも団結維持のための立候補辞退が呼びかけられました。その結果どうなるかは現在進行中の本日の大会で明らかになるわけですが、「団結にヒビが入ってはまずい」ということで異論の提起を控えたり対立候補の擁立を自主規制したりというような配慮が必要ないほどに、全労連の活動が定着し団結が盤石になっている現れであると、私は理解しました。

 大会での発言では、全体として、労働と生活の隅々にわたって「キメ細かい」攻撃がかけられてきているという実態が鮮明になったように思います。それに対して、どこでも反撃が始まり、世論の支持を集めるようになって一定の成果を生み出しているという印象を受けました。
 会場でも何人かの知り合いに会って感想を聞きましたが、これまでの大会よりも元気で積極的な発言が目立つということでした。特に、春闘での賃上げ、最賃闘争の重要性、公契約運動への取り組み、公務員賃金の切り下げ、電機リストラ、派遣切り裁判での勝利和解、集団的自衛権行使容認・オスプレイ配備・原発再稼働などへの反対運動、震災復興、滋賀や長野、沖縄の県知事選、異なったナショナルセンターの傘下組合での共同の発展、組織拡大の経験と教訓、産別と地域労連の連携、地域での共闘の推進など、目まぐるしいほどに豊富な運動実態が次々に報告されました。
 比較的若い人や女性の発言者が目立ったというのも、未来に希望が持てる新たな息吹でしょう。争議の原告団からの発言なども含めて、連合大会との大きな違いを感じたものです。

 一方では「新しく募集をかけなければならなくなるので、辞めるなら求人広告代を出せ」と言ってなかなか辞めさせてもらえない。他方では「女性労働者の『鮮度』を保つため」と言って一定期間で雇い止めをするなどということもあるそうです。
 なかでも会場が最もどよめいたのは、「来年は給料なしで働いてもらえませんか」という申し出があったという発言でした。こんな冗談のような申し出を本気でするような経営者が出てきたというのですから驚いてしまいます。
 日本の経営者は腐り始めているということでしょうか。政府とその先頭に立つ総理大臣が最も腐っているのですから、それも当然かもしれません。

 いつもの大会以上に積極的で元気な発言が目立ったようですが、その背景には情勢の変化と運動の蓄積があるように思います。労働運動にとっては「待ったなしの出番」というべき新たな情勢変化が生じていますし、それに応えるべき運動経験が25年にわたって積み上げられてきたという実績があります。
 そこから生まれつつある新たな芽吹きに期待したいと思います。元気の良さを大会での発言にとどめることなく、実際の運動の発展によって日本を変えてもらいたいものです。
 今よりもずっとましな日本にするために……。働く人々が人間として尊重され、希望をもって働き、生活できるような明日のために……。

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