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12月10日(水) 圧勝報道による自民党のおごりから出た麻生副総理兼財務相の「トンデモ発言」 [解散・総選挙]

 言ってはならない人が、言ってはならないことを、言ってはならないタイミングで、言ってしまったということでしょうか。麻生太郎副総理兼財務相による唖然とするような「トンデモ発言」のことです。

 麻生副総理は長野県松本市での6日の演説で、株高円安による景気回復について、「その結果として企業は大量の利益を出している。出していないのは、よほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」と述べました。これに続いて7日の札幌市での演説で、少子高齢化で社会保障費が増えていることを取り上げ、「高齢者が悪いようなイメージをつくっている人がいっぱいいるが、子どもを産まない方が問題だ」と発言しました。
 麻生さんは、安倍政権の中枢である副総理兼財務相を務めています。その安倍政権が掲げている経済と社会保障という二つの重要課題について、このようなとんでもない発言を行ったわけです。
 「誠に、驚くべきことだ」と書きたいところですが、発言した人が麻生さんですから、「あ、そう」と思った人も多かったでしょう。「また、やったのか」と……。

 しかし、現政権の中枢にいて政治運営に責任を負うべき重要閣僚が、選挙で有権者に向かって言うような内容ではありません。円安・株高でもうけた人もいるでしょうが、急激な円安によって苦境に立たされ利益どころではない企業も少なくないのですから……。
 これは政府の責任ではありませんか。それを「(利益を)出していないのは、よほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」と切り捨てるとは、何という言い草でしょうか。
 円安の影響による企業倒産は、11月に42件で3カ月連続過去最多を更新したというデータもあります。これも「運が悪い」か「能力がない」せいだから諦めろと言うのでしょうか。

 また、人によっては「子どもを産まない方が問題だ」という発言の「方が問題だ」と感じたかもしれません。子どもを「産まない」のではなく、「産めない」というところにこそ、問題の本質があるからです。
 結婚して家庭を持ち、子どもを産んで育てるということが極めて難しくなっています。問題は子どもを産めない環境の方にあるわけですが、それは誰が作り出したのでしょうか。
 「非正規雇用で収入が少なく子どもを産めない」「産んでも保育所に預けられない」「保育費用や教育費を負担できない」「一人目は産めても二人目はとても無理」などの声が聞こえないのでしょうか。子育てにとって厳しい現実への解決策を示すことこそ政治家の役割なのに、「子どもを産まない」個人に責任を転嫁するかのような発言はとうてい許されるものではありません。

 当然にも、これらの発言は野党などから厳しい批判にさらされました。しかも、安倍内閣は女性の社会進出支援という政策を打ち出して選挙戦を戦っている真っ最中というタイミングでの暴言です。
 慌てた麻生さんは、この発言は女性が子どもを産みやすくするために保育施設の充実などの環境整備を進めることが重要だという趣旨だったと釈明しました。だったら、最初からそう言えば良かったじゃないですか。
 あのような発言になったのは、普段からそう考えていたからではありませんか。自民党圧勝の報道に気が緩み、ついつい本音が出てしまったということでしょう。

 麻生さんには、これまでも数々の暴言の「前科」があり、首相在任当時には漢字が読めずに顰蹙を買い09年総選挙で敗北して政権交代を招いたという「功績」があります。今回の発言も、自民党圧勝という選挙予測を覆す「功績」を生み出すかもしれません。
 失言による選挙敗北ということでは、1998年7月の参院選の例があります。この選挙では、恒久減税に関する橋本竜太郎首相の発言の迷走などによって当初は70議席を獲得すると予想されていた自民党が44議席と惨敗して内閣が総辞職しました。
 もちろん、今回もそうなるとはかぎりません。しかし、まだ投票態度を決めていない人が4割もあるということですから、98年7月参院選の時のように選挙終盤の情勢がガラリと変わる可能性も残されています。

 自らの失政の責任を国民に転嫁するような麻生副総理兼財務相による無責任発言を許さないためにも、きっぱりとしたペナルティを課す必要があるでしょう。そのための機会は、間もなくやってきます。

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