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2月23日(月) 「改革」の失敗がもたらした政治の劣化と右傾化(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.739、2015年3月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

政治改革の失敗②―政党助成金の罪

 政治改革によって「政治とカネ」の問題を解決するとして導入されたもう一つの制度が政党助成金です。1995年に始まり、国会議員5人以上か直近の国政選挙で2%以上の得票率を得た政党に年額320億円の税金が交付されます。その代わり5年後には企業・団体献金が禁止されることになっていましたが実施されず、助成金と企業・団体献金の2重取りという問題が生じました。
 2013年の助成金の割合は、自民党で64.6%、民主党に至っては82.5%にも達しています。助成金は使い残しても返納する義務はなく、「政党基金」などとして繰り越すことができます。13年には9党の基金残高の総額が147億5307万円にも及びました。
 助成金の配分額は1月1日時点の国会議員数などで決まり、16日までに届け出れば受け取ることができます。そのために年末年始の新党結成が繰り返されてきました。5人集めて「政党要件」を満たすことが先にありきで、綱領・規約などは後回しという粗製乱造ぶりです。
 最近でも、生活の党に山本太郎参院議員が入党して「生活の党と山本太郎となかまたち」に変わり、園田博之衆院議員が次世代の党から休眠状態の太陽の党に復党して助成金を受けられるようになりました。昨年解党したみんなの党に所属していた参院議員4人にアントニオ猪木議員が加わって新党「日本を元気にする会」も発足しています。
 政党助成金は手弁当で支持を訴えて資金をカンパしてもらい、機関紙誌や出版物で政策を訴えて収入も得るというような地道な活動を不要にします。その結果、政党としての体力が低下し、政党の堕落をもたらすことになりました。金目当ての離合集散はやまず、制度開始から14年までの20年間に政党助成金を受け取った政党は35党にのぼりますが、うち27党は解散・消滅しました。
 助成金は、吸入すれば気持ちがよくなるけれど身体が蝕まれていく「麻薬」のような制度です。その廃止こそ、本当の「身を切る改革」にほかなりません。国民にとっては1人当たり250円という税金が強制的に徴収され支持していない政党にも配分されるとんでもない仕組みであり、政党にとっては資金目当ての結成や体力の低下をもたらしてきました。双方にとってマイナスとなるこのような制度は早急に廃止するべきでしょう。

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