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3月11日(土) 「安倍夫妻と不愉快な仲間たち」に対する責任追及の手を緩めてはならない [スキャンダル]

 注目を集めていた「アッキード事件」ですが、急転直下の展開を示しました。森友学園の小学校設立認可の申請が取り下げられ、籠池理事長が辞任したのです。
 これまで森友学園を応援し、数々の疑惑をもたれていた「安倍夫妻と不愉快な仲間たち」は、これで幕引きを図ろうとするでしょう。しかし、「瑞穂の国記念小学院」とのかかわりや設立認可、格安での用地売却、加えて加計学院の岡山理科医大学獣医学部設立にかかわる問題など疑惑は多く、引き続き国会への参考人招致をはじめとした真相解明に努め、安倍夫妻などの責任追及の手を緩めてはなりません。

 今の時点で籠池さんが設立申請を取り下げて辞任したのは、これ以上問題を長引かせたくなかったからでしょう。同時に、疑惑が疑惑にとどまらず、具体的な犯罪行為が明らかになってしまったからです。
 それは、建設費の見積もりが3種類もあるという事実です。これ自体異常なことですが、実際よりも高い見積もりを政府に出して補助金を騙し取っていたわけですから、詐欺罪に当たります。
 多すぎた分を後から返すと言っているようですが、騙し取ってから見つかって返すと言っている「オレオレ詐欺」のようなものです。お金を返したからといって、騙した罪が消えるわけではありません。

 籠池前理事長に対して野党は参考人招致を求めてきました。これに対して与党は「違法性が明らかではないから民間人の招致は慎重でなければならない」との理由で拒んできました。
 そもそも国会に参考人を呼ぶのは国政調査権の一環であり、国政にかかわる疑惑を解明するためです。違法性がまだ明らかになっていないから、参考人を招致して違法性があるかどうかを正すということでしょう。
 違法性が明らかであれば、国会ではなく警察に呼ぶべきです。しかも、今回の申請取り下げと理事長辞任によって籠池氏自身が違法性を認めて責任を取ったわけですから、与党の拒否理由は崩れたことになります。

 今回の問題の「違法性」については、引き続き全容の解明が待たれます。しかし、責任追及を、このレベルにとどめてはなりません。
 「安倍夫妻と不愉快な仲間たち」の政治的道義的責任の問題は残るからです。これらの人々は森友学園やその傘下にある塚本幼稚園での教育実践を高く評価して応援し、様々な形で人集めや金集めに協力してきました。
 その学園が新しい小学校を設立しようとして問題を起こし、結局はその申請を取り下げて理事長が責任を取っしたわけです。森友学園と理事長に問題があったことは明らかであり、それを評価して応援し協力してきた人びとについても責任は免れません。

 すでにこのブログで明らかにしたように、塚本幼稚園で開催されてきた「教育講演会」には、百田尚樹、曽野綾子、平沼赳夫、青山繁晴、竹田恒泰、渡部昇一、中西輝政、櫻井よしこ、田母神俊雄、中山成彬、米長邦雄などの「不愉快な仲間たち」がずらりと登場していました。ホームページに推薦の言葉を寄せていたのは、中山成彬衆議院議員(元文部科学大臣)、軍事評論家の田母神俊雄第29代航空幕僚長、西村眞悟衆議院議員(元防衛政務次官)、竹田恒泰慶應義塾大学大学院法学研究科講師の4人でした。
 森友学園からの陳情を受けていた鴻池祥肇さんも塚本幼稚園で開かれた「教育再生地方議員百人と市民の会」第10回定期総会で基調講演をしていました。また、NHKの経営委員である長谷川三千子埼玉大学名誉教授(日本会議代表委員)も昨年4月29日の『第11回「昭和の日」記念式典』で基調講演を引き受けています。
 これ以外にも、籠池さんの長男である佳茂さんは稲田朋美防衛相や山谷えり子元拉致担当相と関係があり、山谷さんとは「椛島有三日本会議事務総長に東京の事務所で紹介され」、事務所で半年ほどカバン持ちを担当していたこと、「職歴」に維新の足立康史議員の「私設秘書」と明記していること、籠池さんが橋下徹さんの選挙を応援して宣伝カーの上に並んでいる写真があること、松原仁議員(民進)が森友学園理事長や元在特会支部長に平沼赳夫議員(自民)を紹介した際の写真もあることなどが明らかになっています。また、塚本幼稚園に感謝状を贈ったり、文科省に「教育勅語のどこがいけないのか」と圧力をかけたりしていた稲田防衛相に至っては、初出馬の時から籠池理事長が応援し、稲田さんの夫は森友学園の塚本幼稚園で顧問弁護士をやっていた疑いがあります。

 なかでも、安倍総理大臣夫人の昭恵さんは分かっているだけでも3回も講演しています。その回数の多さはとびぬけており、この幼稚園に対する昭恵さんの思い入れの深さがうかがえます。
 だからこそ、新たに設立される小学校へも期待し、その名誉校長を進んで引き受けたのです。幼稚園で注入された戦前型の「愛国教育」が小学校で継続されるために「役に立ちたい」と考えたからです。
 しかも、3回の塚本幼稚園への訪問にはいずれも夫人付きの公務員が同行していたこと、そのことがばれては困ると思ったのでしょうか、事前の出張計画が提出されていなかったこと、講演料も40万円支出されていたと受け取られるような会計記録が残っていることも明らかになっています。昭恵さんは講演料の受け取りを否定していますが、講演してその料金を受け取らなかったとすれば、その分の利益を塚本幼稚園に供与したという新たな問題が生ずることになります。

 安倍首相自身も、2012年9月16日に塚本幼稚園での「教育講演会」で講演する予定でした。これは自民党総裁選に立候補することになったために中止されましたが、今となっては「危ないところだった。やらなくて良かった」とホッとしていることでしょう。
 しかし、講演をいったん引き受けたという事実は残りますし、籠池さんの息子さんは父親の名代として安倍首相に会ったことがあり、そのとき渡した名刺を傍にいた秘書に預け、後に講演を断るときに間違えて電話をかけてきたと証言しています。籠池さん自身も安倍首相からもらったという年賀状の文面を読み上げていました。
 つまり、安倍首相と籠池さんは直接電話をしたり、年賀状をやり取りしたりするような親密な関係にあったということです。ほとんど籠池さんを知らないかのような答弁をした国会での安倍首相の発言は真っ赤な嘘でした。

 昨日の記者会見で籠池さんは「安倍夫妻と不愉快な仲間たち」について、「何もしてもらわなかった」と発言していますが、これも嘘です。分かっているだけでも、小学校設立の資格に欠け、戦後教育の理念を否定する極めていかがわしい教育団体を権威付けで信用させ、持ち上げて宣伝する「広告塔」になり、学校の設立認可や国有地の格安取得、生徒の募集や募金・寄付金集めがやりやすくなるように様々な形でバックアップしていました。
 森友学園の特別扱いには、周囲がそれを信用したり忖度したり、共鳴したりして形成された「共通の思想空間」が大きく影響しています。度の形成において、安倍郁恵さんが果たした役割は大きく、安倍首相やその「不愉快な仲間たち」の責任も極めて大きいと言わなければなりません。
 だからこそ、責任逃れのための手段を取ったのでしょう。籠池前理事長の記者会見と小学校設立申請の取り下げ、森友学園の理事長の辞任は、まさに「トカゲのしっぽ切り」そのものです。

 籠池さんは疑惑の幕引きを図るため、「しっぽ」として切り捨てられることを知っているのでしょうか。それとも、「安倍夫妻と不愉快な仲間たち」を守るために、自ら進んで「しっぽ」になろうとしているのでしょうか。
 いずれにせよ、「しっぽ」を切ったまま、トカゲ本体の逃走を許してはなりません。昭恵さんはじめ「安倍夫妻と不愉快な仲間たち」の本格的な責任追及は、これからなのですから……。

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