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5月9日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』5月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「“バカの一つ覚え”に国民絶望 この政権では永遠に緊急事態」

 4都府県の緊急事態宣言を延長し、愛知、福岡両県の追加を決めた菅首相。7日夜の会見では、負担が続く国民に「深くおわびする」と陳謝したが、危機管理は結果がすべて。何度、頭を下げようがウンザリで、お決まりの決意はもうたくさんだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「GWを利用し『強力な対策を短期集中的に実施』と言った手前、菅首相は『人流の抑制』を成果のごとく、やたらに強調しますが、論点をズラさないでもらいたい。緊急事態宣言の目的は人流ではなく、あくまで『感染の抑制』です。感染者数は高止まり、重症患者は過去最多を更新。新たな宣言対象の2県のほか、『まん延防止等重点措置』の対象地域に北海道、岐阜、三重も追加されたことで、感染抑制は失敗したのです。ところが、菅首相は短期集中の是非を問われても、この期に及んで満足に答えない。『一人一人が意識を持って行動を』と、さも国民に非があるかのような発言も出ましたが、後手後手対応の揚げ句、緊急事態宣言や重点措置を乱発。自粛長期化で国民の危機意識を低下させたのは菅首相自身の責任で、内閣総辞職がスジです」

 恐ろしいのは、菅が五輪と同じ感覚で改憲の地ならしと台湾海峡有事に着々と備えていそうなことだ。

 昨夜の会見でも憲法の緊急事態条項創設について問われ、「新型コロナウイルス禍で緊急事態への国民の関心は高まっている」とシレッと回答。火事場ドロボー的感覚を隠しもしない。

 4月の日米首脳会談の共同声明でも菅は52年ぶりに「台湾」を明記。「自らの防衛力を強化することを決意した」と米国に誓った。防衛省は既に南西諸島に陸自ミサイル部隊の配備を進め、12式地対艦誘導弾の射程を改良し、約900キロまで大幅に延伸。相手の射程圏外から攻撃可能な「スタンド・オフ・ミサイル」計画を推進中だ。

 「仮想敵」はどう考えても中国だ。この計画は弾道ミサイル攻撃を相手国内で阻止する「敵基地攻撃」への転用も可能とされ、台湾有事に備えた米国の軍事行動への協力を求められる可能性も取りざたされている。要するに菅は自ら進んで米中対立に巻き込まれる危険な道を選んだに等しい。

 「まるで菅首相はコロナ対策よりも総選挙対策が最優先。強固な保守層を取り込むためのリップサービスかもしれませんが、コロナ禍の国民の不安や嫌中感情につけ込んだ惨事便乗型の政治姿勢は極めて危うい。政治的目的の達成には、緊急事態が長引いた方が都合がよい。まさか、そんなヨコシマな思惑にとらわれているのではないかと勘繰りたくなるほどです」(五十嵐仁氏=前出)

 有事をあおる菅は火事場ドロボーを上回る「火付盗賊」。国民が亡国政権の悪辣に決起しなければ、この国では緊急事態が永遠に続いてもおかしくないのだ。

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