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6月7日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月7日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「いつ弾けるのか? 東証バブル、この先のシナリオ」

■大企業だけが儲かり国民生活は苦しいイビツな構造

 「円安に振れれば輸出企業は儲かるでしょうが、輸入価格のコスト増で庶民はますます苦しくなる。物価高がこれだけ国民生活を圧迫しているのに、まだ安定持続的なインフレに至っていないなどという理屈で金融緩和を続けるのはどうかしています。防衛費増額や“異次元”の少子化対策で今後も増税や社会保険料の負担増も相次ぐ。

 選挙対策なのか、岸田政権は少子化対策の費用を3兆円台半ばとしながら具体的な財源を示すことは年末まで先送りしましたが、いずれにせよ国民に負担させるつもりですから、一般家庭の可処分所得がさらに減ることは確実です。それでどうして子どもが増えるというのでしょうか。少子化は静かな有事です。対策の予算は、円安政策のおかげで濡れ手で粟の大企業に払ってもらえばいい。応能負担です。

 儲かった分を人件費に還元することもなく、ため込んできた内部留保に1%でも課税すれば、少子化対策予算なんて簡単に捻出できる。大企業は、従業員が消費者でもあるという基本原則を忘れているのではないか。家計の所得が上がらないことには、子どもの数も増えないし国の経済発展はありません。いくら株価が上がっても、大企業が内部留保をため込むだけで国民生活が豊かにならない政治は間違っています」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 今年の春闘で大企業の賃金が上がったのは自分のおかげというように岸田首相はアピールしているが、そんなものは光熱費の高騰や増税、社会保険負担増で相殺されてしまう。賃上げもできない中小零細企業では、労働者の家計負担増はハンパない。「五公五民」を超えて、江戸時代なら一揆が起きるレベルだという指摘もある。


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6月4日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月4日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「異次元の少子化対策 政治生命を賭すなら増税で信を問え」

 結論を先送りした財源の一部を賄う手段として、健康保険料の上乗せを念頭に「支援金制度」の創設を検討しているのも、お門違いだ。健康保険制度とは病気になった際の出費に備え、加入者全体で保険料をプールし、支え合う仕組み。受益者が万が一に備えて負担し合う健康保険料を、別の財源にすることは許されない。なぜ、誰も異を唱えないのか。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「防衛予算倍増の財源捻出に復興特別所得税や、新型コロナ対策の予備費を転用するのと同じ。純然たる『流用』で完全にタガが外れています。国民も慣れっこになってはダメ。75歳以上の人が加入する後期高齢者医療の保険料からも上乗せ徴収し、児童手当の財源に充てることに、正当性はない。『支援金』なる名称で『孫のために小遣いをあげる』ような良い印象を植え付けようとしているのも、後ろめたさの表れです」

 保険料上乗せの「禁じ手」を繰り出しても捻出できる財源は1兆円程度。「加速化プラン」に必要な3.5兆円にはほど遠い。足りない分は当面、借金で賄うというが、少子化対策のツケを次世代に回すというのは大いなる矛盾だ。加えて素案には、岸田が目標に掲げた「子ども予算倍増」について、こども家庭庁の今年度予算(約4兆7000億円)をベースとし、30年代前半での達成を目指すことも盛り込まれた。

 どう考えても、安定財源の確保には将来の増税が不可避だ。それでも岸田は「国民に実質的な追加負担を求めることなく、少子化対策を進めていく」と言ってのける。当然、選挙に不利になるような材料を与えたくないだけ。逆に選挙に勝ちさえすれば、平気な顔して「大増税路線」に方針転換しかねない。

 「増税を避けて通れないのなら、選挙で民意を問うのが筋です。それを隠し通して勝とうとするのは、本来の選挙の在り方に反します。嘘と詭弁のゴマカシ政治には、もうこりごりです」(五十嵐仁氏=前出)

 岸田は少子化対策を「国の基本に関わる最重要政策課題」に位置づけた。政治生命を賭けたも同然で、選挙をしたくてムズムズしているのなら、堂々と「増税」で信を問うべきだ。


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6月2日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月2日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「問題法案が次々と こんな政権がシレっと採決強行の「後の祭り」」

 実際、この1年間を振り返っても、岸田は霞が関が用意したシナリオに乗っかってきただけだ。マイナカードにしても、菅前政権が残した政策だし、原発回帰は経産省の振り付けである。防衛費倍増は安倍元首相周辺のタカ派の意向をくんでいるに過ぎない。

 総理大臣というポストに就き、親子そろって浮かれているが、この男には、自分の思想を掲げて国を引っ張っていくという姿勢がまったく見えない。

 作家の高村薫氏が週刊誌「AERA」で岸田について〈いろんな方面からつまみ食いで話を聞いて、アドバルーンを上げるんだけれども、いかんせんその先がない。現に「新しい資本主義」も、いまだに中身が見えません〉と言っていたが、その通りだ。「異次元の少子化対策」だって、人気取りで上げたアドバルーンに違いない。

 漂うだけの真空政権は、状況次第であっちこっちに流されていく。結局、他者にいいように利用されるだけだ。

 「象徴的なのは、岸田首相の外交姿勢です。もはや、彼の脳内は完全に“アメリカナイズ”されている。防衛費倍増も、アメリカの要望に沿ったものでした。本来は、アジア各国に目くばせし、緊張緩和に向かわなければならないのに、アメリカに寄り添い真逆のことをやっている。広島サミットでも、被爆地・広島開催という歴史的なタイミングだったにもかかわらず、被爆者が期待した『核兵器禁止条約』に言及すらしませんでした。それも、核大国であるアメリカの顔色をうかがったからです。信念がない岸田首相が政権を担う限り、今後もアメリカに利用されるだけでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 このままだと、岸田は今後も悪法をゴリ押ししてくるに違いない。国民はあらゆる選挙で岸田自民に「NO」を突きつけるべきだ。

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