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8月24日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月24日付に掲載されたものです。〕

*記事「岸田首相がハッシュタグ“#STOP風評被害”のデタラメ 処理水海洋放出強行に国内外から猛反」

 そもそも、〈STOP風評被害〉と訴えるのであれば、海洋放出を止めればいい、ということのようだ。処分方法を巡っては、代替案も検討されてきた経緯がある。

 国のALPS小委員会が約3年にわたって議論を重ね、5つの処分方法のうち海洋放出と水蒸気放出を〈現実的な選択肢〉として採用。2020年2月の報告書で海洋放出について、〈社会的影響は特に大きくなる〉と結論付けた。ALPS小委員会も、海洋放出は、風評被害を招く恐れがあると認識していたということだ。

 こうした議論の過程があったにもかかわらず、翌21年4月、当時の菅政権が海洋放出の方針を決定。処理水を貯める福島原発の貯蔵タンクが満杯に近づき、今回の放出開始に至った。海洋放出を選んだ政治判断が、風評被害を懸念しているのは間違いない。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「処理水にはトリチウムやその他の放射性物質も残存しています。希釈すれば安全なのか、実害が生じるのではないかとの懸念は拭えません。IAEAの“お墨付き”を得て政府は『安全』と言い張っていますが、『安全』と『安心』は別物。風評被害が出るのではないかという不安をよそに、スケジュールありきで海洋放出を強行しようとしている政府の姿勢こそ、風評被害を拡大させています。たとえコストや手間がかかったとしても、国民や周辺国が安心できる処分方法を採用するべきです」

 岸田首相は「聞く力」を自慢しているが、「聞かない力」の間違いだ。

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