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8月25日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月25日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「処理水放出は永久に続く「後は野となれ山となれ」の無責任」

 51年廃炉を目指す東電の計画は、大甘を通り越した机上の空論。汚染水放出は永遠に続くといっても過言ではないだろう。福島県内にある除染土にしても、東電は45年までに県外で最終処分するというが、これも道筋をつけられていない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「放出強行をめぐる問題は、政府が平然と約束を破っただけにとどまりません。IAEA(国際原子力機関)が『国際的な安全基準に合致する』との報告書を公表したのを錦の御旗に、科学的な安全基準をクリアしていると強調していますが、そもそも東電は信用に値する企業なのか。柏崎刈羽原発のテロ対策をめぐっては、原子力規制委員会から原発を運転する適格性を疑われている。侵入検知器は多数故障し、社員がIDカードを使い回すメチャクチャをやっていた。東電は当事者意識を決定的に欠いています」

 岸田政権が放出を決定した関係閣僚会議に出席後、ぶら下がり取材に応じた小早川は「風評を起こさないという強い覚悟、責任を果たしていくことが重要だ。私の責任の下、取り組みを実現していきたい」と言っていたが、その後、東電が開いた会見に姿なし。「漁業者の理解は得られたのか」と問われた汚染水対策責任者の口から出たのは、「〈関係者の一定の理解を得た〉という政府の認識の下、放出時期が示された」という逃げ口上だった。

 「政府も東電も風評を払拭すると強調しますが、それは実害がないのが前提。汚染水をALPS(多核種除去設備)で処理することでほとんどの放射性物質を基準値未満にし、除去できないトリチウムは薄めて放出するから影響はないといっても、長い間に蓄積し、悪影響を及ぼす恐れはゼロではない。シャニムに突っ走るのは、地元などの理解を得る自信がない裏返し。そうした姿勢がむしろ風評被害をエスカレートさせているのがなぜわからないのか」(五十嵐仁氏=前出)


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